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異世界で5歳児からRESTART  作者: 柊 月
一章 流れ流され、異世界へ
3/3

おっさんに拾われる

おっさん登場ー

イケメンおっさんです。

「……い」


あのまま流されてどうなったんだろう。死んだのかな。だったら、きっと死因は溺死だと思う。

じゃあ、ここは死後の世界?

にしては真っ暗だ。社会科の授業で習ったのは、こんなに真っ暗な感じじゃなかったと思うんだが。


「…い、…お………ぶか」


何か、誰かの声が聞こえる。低いから、男の人の声。お迎えでも来たのか?

…ん?待てよ、可笑しい。体に感覚がある気がする。普通、死んだら体に感覚って無いんじゃないの?

もしかして、こんなに真っ暗なのって…


「おい!大丈夫か?」

「んにゃっ」


はい、普通にぱっちり目開きました。やっぱり目を閉じてただけだった。ってか、はっきり聞こえた声が思ったより大きくてびっくりした。

目を開くと、おっさんがいた。日本人っぽくない、なかなかに彫りの深い顔をしている。(とび)色の髪と深い蒼の瞳。うむ、なかなかにイケメンさん。おっさんだけど。あ、二回もなかなかって言ってた。

黙ったまま、じーっとおっさんを見ていたら、おっさんは心配そうに声をかけてきた。


「おい、どうした?どっか怪我でもしてるのか?」


あ、そうだ、それ忘れてた。取り敢えず、手を握って開いて、問題無し。体の方は……ん?

自分の体を見下ろして固まった。ぺたぺたぺた…うん、やっぱり。


「大丈夫か、チビ」

「ちょい待て大丈夫じゃない、縮んでる」


そう、縮んでた。そう言えば、さっき何か違和感あったわ。

で、どのくらい縮んでたかというと、5歳児くらい。どうやら、川の(ほとり)に倒れてたようなので、そこの水を鏡代わりに確かめました。目で確認はしたけど信じられなくて、ぺたぺた体を触りまくる。ちなみに、「縮んだ」と聞いたおっさんは。


「そうか」

「いや、そうかじゃねぇわ、おっさん」


変な顔をするでもなく、吹き出すとかでもなく、1つ頷いただけだった。思わず突っ込んだよ。もっと呆れられるとかすると思った。


「ところで、お前は何処から来たんだ?」

「そもそも此処どこ」

「此処か?此処はカルヴァン王国の辺境の町、ロダンだが」

「うわ、全然知らねぇ」


さらりと普通は有り得ないだろう出来事をスルーしたおっさんが尋ねて来たので、逆に訊き返すと全く知らない答えが返って来た。目を覚まして最初に見たのがこのおっさんだった時点で、日本じゃないことはわかってたけど、この感じだと地球ですら無さそうだ。遠い目をする郁に、おっさんは更に訊いた。


「全然知らない?確かに此処は辺境ではあるが…それで、名前は?何処から来た」

「……ルカ。遠い、遠いところから流されて来た」


名前は、「(かおる)」から取って並び替えて「ルカ」と名乗った。こういう時、本名は簡単に言っちゃ駄目、って何かで見た気がする。何処から来たか、ってことに関しては、たぶん「日本です」って言ってもわからないように思えたから、只「遠いところ」って言った。まぁ、恐らく地球じゃ無さそうだし、間違ってないと思う。

そうしたら、おっさんは考えるような素振りを見せたあと、頷いて言った。


「遠いところか……ふむ、ルカと言ったか。お前、行く宛は?」

行く宛?そんなの、

「ない」


これは正直に答えた。

「それなら、うちに来るといい」

思いがけない申し出に、目を瞬かせる。


「え…いいの?」

「ああ」

「自分で言うのもおかしいけど、おっさんからしたら見ず知らずの人間だよ?」

「別に構わん。拾った縁だ」

「素性もよくわかんないでしょ?」

「素性なら知っている。ルカだろう?」


あんまりあっさりと言ってくれるので、色々言ったけど、おっさんは私を自分の家に置く、というのを撤回する気は無いようなので、結局はおっさんの家に厄介になることにした。

このおっさんは、良いおっさんなのかもしれない。

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