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第二十三話 鎮圧

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


Copyright © 2017-2019 芥川一刀 All Rights Reserved. 


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

「ヴィヴィアナ……!」


「気安いな。小汚い人形風情が」


 戦慄に満ちた声すらも不快だと言わんばかりのヴィヴィアナの態度に、零は押し黙る。

 下位の魔人程度なら、やり方次第でどうとでも出来るつもりだった。

 しかし、消耗したこの状況で上位の魔人を相手取るのは不可能と言っても良い。


「んでー、倉澤蒼一郎ー? 不愉快な術式の反応があったから様子見に来てみたんだけど、これはどういう状況なのかな?」


 不愉快な術式――、かつてルカビアンの十九魔人を壊滅寸前に追いやった、洗脳(ベレス)

 彼女もまた、洗脳(ベレス)によって同胞に牙を剥いた最強の魔人オズヴェルドによって、成す術無く一方的に殺された過去を持っている。

 殺されたことも業腹だが、それ以上に奉仕種族(オウラノ)支配種族(ルカビアン)の身も心も意のままに操ることを可能とした術式の存在に悍ましさを感じずにはいられなかった。


「グァルプが地元に攻め込んで来たので、仲間と共に叩き潰しに来たところですよ。で、来てみたらびっくり。グァルプの雇用主が魔術でヴァリーを操っていた。そういうわけです」


 ヴィヴィアナは蒼一郎に友好的な態度を取っているが、彼女にとって蒼一郎に好感を持つ理由は、かつての生徒ヴァルバラが蒼一郎に懐いていることと、話が通じる純粋種だからという二点のみに限られる。

 そして、彼女が蒼一郎に殺意を持つ理由は、かつての生徒ライゼファーを完全消滅させたこと。

 総評としては、今はまだ、一応、殺すのを止めておいてやろう――、ということになる。


 当然、蒼一郎もそれを理解している。

 蒼一郎にとって、いや、一名――メアリを除いて、この場にいる全ての者にとってヴィヴィアナの登場はあまりにも都合が悪過ぎた。


「へぇ……? それでお前は何をしているんだい?」


 術者が分かっていながら、何故、その術者を殺していないのか。

 操られたヴァリーを放っておいて、お前は一体誰と戦っているのだ。


 回答次第では――。


 作り笑いを浮かべたまま、暴力的な視線に射貫かれるが、以前程の圧迫感は感じなかった。

 明らかに自分自身の能力が向上していることを実感することが出来た。


 このまま彼女と戦っても勝てないことも自覚させられたが――。


「ええ、まあ、自分が不甲斐ないことは否定しませんよ。ですが、その前にグァルプを殺しておけなければ何を仕出かすか分からないでしょう?」


「貴様等、どういう関係だ……?」


「馴れ馴れしいんだよ。さっきから何なのお前」


 突然、湧いて出て来たかつての同胞が、仇敵と親しげ(?)な様子で会話をしている様に、零は口を挟まずにいられなかったが、ヴィヴィアナの態度は全くもってつれないものだった。


「ああ、コレ? グァルプですよ」


「は……?」


 蒼一郎に正体を教えられ、呆気に取られた表情を浮かべたが、何らかの確信を得たらしく、彼女はすぐ様破顔した。


「うわ、マジでグァルプだ。うはははは! 何やってんのお前!? 存在規模ちっさ!! 核を破壊されてどうやって復活したか知らないけど、お人形さんの操り人形に成り下がっちゃった? ま、好き勝手絶頂やり腐ってたみだけど、残念無念グァルプの生涯は今度こそここで終わるのだー」


 零の返事も待たず、気の抜けた声で指を鳴らし、 事前準備も発動までの予兆さえも無く、光の大洪水(ヴァーザイン)に匹敵する魔力の奔流が零に襲いかかる。


「フォーメーション! 光の大洪水(ヴァーザイン)!!」


 魔人を眼前にして尚、トロール達は零の言葉に何処までも忠実だった。

 決して高いとは言い難い知能を総動員して、光の大洪水(ヴァーザイン)を発動させ、ヴィヴィアナの攻撃を完全に相殺し切った。


「うわ、グァルプのくせに相殺しやがった。なまいきー。次はどうやって殺そっかな?」


「我が主よ、魔人ヴァルバラを開放し、洗脳(ベレス)で魔人ヴィヴィアナを虜にすべきかと」


 零の言葉に蒼一郎が動きを止める。


――あの術式は一体にしかかけられないのか? 脅威だが、魔人さえも洗脳する術式を手に入れることが出来れば……、だが、どうやって手に入れる?


 魔人を殲滅するためにも洗脳(ベレス)は必要不可欠だ。

 この場でオライオンを無力化し、カトリエルや、ブリジット・ヴァラスの元に連れて行けば何か分かるだろうか?

 

――その術式が欲しいので、殺すのはちょっと待ってください。


 口にしようとして止めた。無理だ。

 ヴィヴィアナにとって大切な生徒の尊厳を傷付けられた。

 その怒りは張本人たるオライオンを殺すまで鎮まることは無い。

 気持ちと行動理念は蒼一郎にもよく理解出来る。


 しかし、そうなるとヴィヴィアナの存在が邪魔だ。


 不愉快な術式の反応があったから来てみたんだけど――


 彼女の言った言葉だ。ヴィヴィアナはあの術式を知っている。

 嫌悪と憎悪を感じているのも容易に察せられた。

 

『みんなは魔人以外の存在はゴミ虫だ~なんて言うけど、僕らはそのゴミ虫に何度遅れを取って、何回封印されたと思う? 全滅したことだって一度や二度じゃないんだ』


 ふとライゼファーの言葉を思い出し、蒼一郎は洗脳(ベレス)が、かつての帝国が魔人を全滅させた術式であることを察した。


――辿り着いた……。魔人を壊滅させて俺達が平和な日々を過ごす術に。だが、どうやって手に入れる?


「尤もなことだ。しかし、零よ。貴様、グァルプと呼ばれていたな。魔人グァルプ。まさか、それが貴様の正体か」


「如何にも。しかし、今は氷の団の将、オライオン四天王の一人、絶無の零。それを違えるつもりは断じてない」


「魔人が何故、私に、人間に力を貸す?」


「あ、それ私も知りたい。ヒトモドキって一番最初に言い出したグァルプが何でヒトモドキの真似をなんか始めたんだろーね?」


 蒼一郎の存在を余所に事態が動きかけるが、意識してか、否か、ヴィヴィアナの問いかけが蒼一郎に一時の猶予を与えた。


「良いだろう。かつて我は倉澤蒼一郎と戦い敗北した。始まりは其処からだ」


 零は視線を蒼一郎に向ける。この場にいる全員がつられたように蒼一郎に視線を向けた。

 蒼一郎は居心地の悪さを感じながらも、零を睨み付ける。


「敗北自体は何度もあった。だが、一対一の戦いで追い込まれたことも、敗北したことも初めての経験だった。正直、感心したよ。奉仕種族オウラノが此処まで進化、進歩していたとはな。我々が進むことを止めてしまっている間にも、オウラノは人として進化し、我々との差を埋めつつある。それを実感した」


 零の双眸が大きく見開き、声には熱が込められていく。


「不死では無いからか!? 非力で無知であるが故に先へ進もうとするのか!? 世界が滅び、主を失ったオウラノはルカビアンを模倣して国を! 文明を産み出した! 四千五百年も時をかけた割にはお粗末な出来なのは否定すまい! だが! それでも先へ進めるだけ、ルカビアンよりは上等だ! 最初は無であるが故の渇望! トゥーダス・アザリン! 倉澤蒼一郎への復讐心が全てだった! 今は違う! 渇望と復讐を捨てたわけでは無い! しかしそれ以上に先に進み、足を止めることをしたくは無いのだ! そして、私の望みの全てを得るには!! 帝国よりも、氷の団と共にある事が最善なのだ!!」


「だから氷の団が敗れるのは都合が悪い、そう言いたいのか」


「如何にもだ。何より我は、本来の力を、魔人としての力をほぼ完全に失っている。魔人としての再起は困難を極める。最早、後ろ盾無くしては生きていくことなど出来はせんよ」


「まー、ご高説だけど、倉澤蒼一郎はオウラノじゃない。別次元からやってきた純粋種なんだけどねー」


「最早、その男のルーツなどどうでも良いことだ。倉澤蒼一郎はウラノを再評価する切欠だ。ルカビアンよりもオウラノの方が進歩し、我がそのオウラノに看過されたのは紛れも無い事実なのだからな」


「あっそ。で、もう一つ。その小さな記憶容量で覚えているかどーか知らないけど? 私は昔からヴァリーと仲良しで、この娘の先生をしていたこともあったんだよね。可愛い可愛い教え子を操り人形にされたんだ。お前ら全員皆殺しだ。倉澤蒼一郎。一応、聞いといてあげる。この場にいる人間で生かしておいて欲しいのは誰?」


「其処の返り血に染まったレザーの女以外は全員敵です。今の所は」


「おっけー、おっけー、任せて了解~。まずはヴァリーを開放しないとね。それから倉澤蒼一郎。お前は後でおしおきだね」


「なんで」


「術者はソコのソレなんだからグァルプなんて後回しにしてヴァリーから助けなきゃダメじゃん? ま、純粋種って言っても所詮凡人だしぃ? んっふっふ~う♪ 何やらせよっかなぁ」


「あんま無茶なのは死にますからね? 純粋種ってだけでスペック的にはオウラノ寄りですからね?」


 ルカビアン式の罰ゲームが何なのか。不安を感じた蒼一郎が懇願するように申し立てるが、ヴィヴィアナはわざとらしい笑い声で返事をして具体的な返答はしなかった。


――マジで何させる気だ、このアマ。


 心の内で不安を感じるが、蒼一郎の不安など小さなものだ。

 零やオライオンに比べたら、本当に小さなものだった。


「いい気になりおって、ヴィヴィアナ。貴様もルカビアンを裏切るつもりか?」


「裏切るって言われてもねぇ。身内は、ヴァリー、ライゼファー、ハーティア、ガラベルだけだし? 後は被災者繋がりってだけで一応、同族意識っぽいのは無くも無いけど、別に馴れ合う程の仲でも無くない?」


 ヴィヴィアナに限らず、大半の魔人が四千年以上前から常日頃から感じていた事だ。

 彼等は地殻変動という惑星規模の大災害から逃れることに成功した生存者という共通点があるだけだ。


「そりゃー、お前が処刑される時は嫌いとも、裏切り者とも言ったけど? 同じルカビアンって言っても、ただの他人だしねー。オウラノとか、倉澤蒼一郎みたいな中途半端で正体不明な生き物でも、関係を築いちゃったら、そっちを優先するのは当然だよね。諸外国がテロで数億、数兆死ぬことよりも、自分の家のペットが一匹死ぬことの方が大事件なのは言うまでも無いでしょ? ま、私達の中で誰よりも早くそれに気付いたのはヴァリーなんだけどねー」


「え、貴方達にとって、自分はペットみたいな生き物なのですか?」


 蒼一郎の問いかけを敢えて無視して、ヴィヴィアナはわざとらしい笑い声をあげる。


「ま、コイツは大切なライゼファーを殺した憎いあん畜生だけど、純粋種の文明人で話が通じる奴だし、ヴァリーのお気に入りだからねぇ。わだかまりはありまくりだけど、ライゼファーを喪った上に、ヴァリーのお気に入りまで失うんじゃマイナス続きで割に合わないから、水に流してやることにした。お前なんかよりも、コイツの方がずーっと大事な奴なわけ。と言うわけだから、倉澤蒼一郎はヴィヴィアナ先生の寛大な沙汰に死ぬ程感謝するよーに」


「新たに縁を結んだ相手が女神のように慈悲深くて安堵するばかりですよ」


――舐めた口を利きやがって。


 口にした瞬間、瞬殺されるのは火を見るよりも明らかだ。

 社会生活で培った経験が反射的におべっかを口にしていた。


 わざとらしいかと逡巡するも、ヴィヴィアナは満足気に頷き、「うぇっへっへっへぇ~♪」と気持ちの悪い笑い声を満足気に漏らし、意外と対人経験、社会経験が薄いのではと蒼一郎に疑問を抱かせた。


「ガラベルも少しはそういうことを言ってくれれば良いのに……」


「ま、何にしても戦力は整った。後顧の憂いは無い。ヴァリーを返してもらう!」


 ヴィヴィアナの悲哀に満ちた声を無視し、レーベインベルグを構え直す。

 ついでに術者のオライオンを最優先で殺せという彼女の考えも無視して、切っ先を零に突き付ける。


「生憎だが、お前に構っている暇は無い」


「あ゛ァ?」


 眼前に立ちはだかる蒼一郎と一合だけ刃を交わし、薄く脇腹を薙いで通り抜ける。


 零の眼前には――、


「魔人であろうとも、この洗脳(ベレス)に抗うことなど!!」


「莫迦だねぇ。オウラノですらルカビアンを支配出来る魔術を私達が知らないとでも思ってたのかな? ましてや、対策の百や二百、取っていないとでも? 三千年前の術式なんてとっくに丸裸なんだよ、盆暗」


 洗脳(ベレス)を真正面から受け止めると同時にオライオンの臓腑を撒き散らすヴィヴィアナの姿があった。


「残念無念。お前のご主人様は哀れにも――」


「好都合だ」


 勝ち誇るヴィヴィアナを尻目にその脇を駆け抜け、零の拳がオライオンの頭蓋と心臓を貫いた。


「くふ……ふふふふふ、ふはははははは……!! 遂に手に入れた!! 手に入れたぞ、洗脳(ベレス)を!!」


「あらら……、オウラノを評価するなんて態度を見せておきながら、結局それ? で? 洗脳(ベレス)を手にしたからって何? コイツ等が言うところの上位の魔人は既に無効化する手段を知ってるわけなんだけど?」


――チッ……魔人を殲滅する絶好の機会だと思っていたが、所詮は三千年前の魔術。クソの役にも立たないか)


 零と共同戦線を張り、ヴィヴィアナを殺してオライオンから洗脳(ベレス)の術式を奪い取ることも考えていたが、今や有効的な手段にはならず、ヴィヴィアナと敵対する意味も無い。


 だが――。


――奴は何故、オライオンにヴァリーを開放し、ヴィヴィアナに洗脳(ベレス)を使うように唆した? 何故、オライオンを殺し、その肉体、知識、技能、洗脳(ベレス)を奪取して悦んでいる?


 その疑問を浮かべるには遅すぎた。


「フォーメーション、獄炎地獄(エクスコア)!!」


「舐めるな!!」


 それまで戦闘の巻き添えに晒されても棒立ちを維持していたトロール達が動き、炎が荒れ狂う。

 反射的に原初(フォルメス)の火を召喚し、零の戦術級軍用魔術を焼き殺し、その余波で残存する敵兵力を完全に焼殺する。


「糞が!!」


 焼殺する――、そのつもりだった。殺意を込めたその一撃はそれ程多くを殺すに至っておらず、トロールの巨体が炭化し、塵と消え、灰の向こう側では、オライオンの姿を手に入れた零が哄笑をあげていた。


「まーまー、落ち着きなって倉澤蒼一郎。グァルプはこのヴィヴィアナ先生が殺してやるから」


「随分と余裕だなぁ? ヴィヴィアナよ」


「は? 何当然のこと言ってんの? 研究成果を奪われまくった万年非常勤研究者のグァルプさん」


「殺す」


「あっはっはっは、やってみろよ、ゴミ虫~」


「ああ、殺すさ。但し、殺すのはお前が大事にしている生徒だがな」


 未だ焦点の定かでないヴァルバラがもつれた足取りで零に近付いていく。


「お前……!」


 零の右腕がヴァルバラの心臓へと伸び、轟音と共に零の右半身が吹き飛んだ。

 それを成したのは鉄扇を広げたメアリであった。


「ここまで隙を見せるなんて罠を疑ったけど、普通に隙だらけだったのね」


「貴、様……」


「わお」


 ヴィヴィアナが殺意を向けて、零に警戒心を煽り、挑発することで意識を集中させたところで、蚊帳の外に出ていたメアリにハンドサインを送り、意識の外から殺させた。


 それすらも蒼一郎からしてみれば――


「何度も同じことを言わせるな。貴様は殺す」


「殺ったの私なのに?」


「私が殺してやるからって言ったのにー」


 メアリとヴィヴィアナが口々に不満を漏らすが、それを無視して左半身のみになって倒れる零を睥睨する。


「その如何わしい術式は上位の魔人には通用しない。だが、下位の魔人になら通用する者が何人かいる。ヴァリーや、下位の魔人を洗脳して殺し、力として蓄え、いずれは上位の魔人にも牙を剥き、更なる力を身に付ける。グァルプの力を取り戻す、いやそれ以上の力を得る。それが貴様の狙いか」


「流石は我が宿敵と言っておこうか。概ね、貴様の考えている通りだ」


 洗脳(ベレス)の脅威を知らず、その対策が取れていない魔人を洗脳して殺し、己の力として取り込み、やがて上位の魔人を殺す。

 零の目論見に気付いた蒼一郎が動き出す。


「そうか。それは世界にとっても、俺にとっても脅威だ。今度こそ死ね。灰すら残さん」


 原初(フォルメス)の火を召喚し、満足な抵抗すら出来なくなった零を焼き殺す。

 火力過剰だと分かっていても、肉片、血液、骨片、頭髪の一本ですら灰にしなくては安心出来そうにも無かった。

 零の死を証明するかのようにヴァルバラが膝から崩れ落ちかけ、それをヴィヴィアナが支えた。


「大丈夫?」


「ヴィヴィアナ先生……、おにーちゃん、ゴメン。油断した……」


「良いの良いの。洗脳(ベレス)を完全に遺失させたつもりでいたから油断して、ヴァリー達に対策教えるの怠ったヴィヴィアナ先生の責任だから」


「で、委員長さん。これからどうする? オライオン四天王も、オライオンも死んだ。殺し甲斐のある敵はアルキス・トリエンナ……トリエンナ家を皆殺しにしてしまう?」


「出来れば反帝国派の貴族が集まったところを殲滅してしまいたかったんけどな……」


 反帝国派の貴族に支えられた氷の団は壊滅したも同然。

 だが、それは氷の団を糸口に反帝国派の貴族を一網打尽にするという目論見が完全に潰え、氷の団も、反帝国派の貴族も、小さな残党、小さな火種を多く残すことを意味する。

 問題はそれだけでは無い。メアリに、魔人と繋がりがあることが露見してしまった。


「あらあら、用が済んだら挨拶も無しにいなくなるなんて」


「友達甲斐の無い奴等め……」


 背後を振り返ると既にヴィヴィアナとヴァルバラの姿は無く、蒼一郎は苦虫を嚙み潰したような顔で頭を抱える。尤も、彼女達がこの場にいても何かの解決になるどころか、状況を悪化させることが目に見えていたが」


「取り敢えず、反逆者達の首を獲りに行きましょうか」


――俺のことを言っているんじゃないだろうな……。


 問い詰めることも出来ず、蒼一郎は無言でメアリの後に続くのであった。

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