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戦争を語る仔  作者:
6/80

6 でしょうね

「何? 戦争の話ね?」

「そうだよ」

 空夜は彼女からトレイを受け取ると、椅子を引いて彼女を座らせた。桐珂はそれにゆっくりとした動作で座り込むと、自分のカップを取った。

「私がここにいていいのかしら? 席をはずしましょうか?」

 そうは言っても、座り込んで席をはずしそうな感じではない。

 空夜が秋比古の答えを待って、彼の顔を見る。

 秋比古は首を振った。

「空夜のことを知っているのなら、クレッフェの試験部隊についても知っているんでしょう?」

「そのお話をする?」

 秋比古は黙ってうなづいた。それから気付いたように声に出して、

「そうです」

「知っています。散花六部隊のことは、空夜に聞きました。それに、正規部隊の間でも噂になっていたのよ、その存在は」

「でしょうね」

 皮肉っぽくなりかけながらそれを必死で押さえているような、そういう声で答える。

 彼にしてみれば、戦場に一か月もいたかいないかという正規部隊の待遇は、うらやましいものなのだろう。正規軍と試験部隊では、終戦間際とはいえ、その待遇には天地の差があった。試験部隊は存在さえ明らかにされてはいないのだ。

「軍関係の話だって言ったな」

「あぁ」

 彼は大きくため息をついて、それからできる限り小さな声で語りだした。

「俺は今、リヴンに住んでる。宇宙センターのある港街だよ。あそこで先週、散花六部隊の生き残りのひとりで、俺も懇意にしていたクレハスという男が拉致された」

「クレハスって、……第四部隊の狙撃手だった?」

「そうだよ」

 秋比古は熱いお茶を口に含んで、おいしそうに飲み込んだ。


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