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最強の女戦士ここにあり  作者: 田仲真尋
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オタム剣技大会~part2~

さあ、一回戦の始まりです。

この大会は各ブロックの勝者がトーナメントへ進み、最終的に優勝者を決めるという方式です。組み合わせによる運も必要不可欠となります。

サーシャ様の運は、どうなのか?僕は得意の棒占いで占ってみました……最悪です。今日のサーシャ様の運勢は凶と出ました。

ちなみにラッキーアイテムは横断幕という結果が。

僕は早速、横断幕を広げサーシャ様を応援することにしました。

それをサーシャ様は横目で確認して不機嫌な表情をされていますが、無視しましょう。

絶対に勝って貰わねばなりませんからね。


「それでは始めてください!」


マスカルポーネクワイエットはサーシャ様と同じような細身の剣――いや、サーベルでしょうか?とにかく変わった物を持っています。


「いくわよ!」


あの構えは突きだ。やはりサーベル!?その割にはどうも分厚いような……あれはスミロドンか!

そのサーベルは剣というより槍に近い。まるでサーベルタイガーの牙のような作りである。なかなか手に入らない、名剣である。


「おりゃあ!」


マスカルポーネクワイエットは、その剣で渾身の突きを放った。その速度もかなり早い。

しかし俊敏性はサーシャ様の十八番。難なくかわします。


「スピードがあるわね、この小娘!これならどう、蓮華気!」


マスカルポーネクワイエットは今度は、無数の突きを放ちました。

前の突きの残像が残るほどの連続の突き。

するとサーシャ様は、何を思ったのかマスカルポーネクワイエットと同じ構えから突きを放った。

速度は、ほぼ同じ……いや、全く同じです。それだけでは、ありません。サーシャ様は剣の先端をマスカルポーネクワイエットのスミロドンの先端に合わせるように突きを繰り出しているでは、ありませんか。


「な、何のつもりよ!?」


「なあ、あんた男だよな?」


さすがは、サーシャ様です。この緊迫した時でも緊張感のないことないこと。


「お黙り!私は女よ!」


「ちっ!男だって認めろよ。おっさん!おりゃあ!」


サーシャ様の力を込めた一撃はマスカルポーネクワイエットの剣を押し込むように放たれました。

その瞬間、バギッ!と鈍い音がしました。


「な、なに?この違和感。」


「あんたの剣は突き専用だろ?だったら、もう終わりだよ。先っぽを見てみなよ。」


マスカルポーネクワイエットのスミロドンは先端が潰れてしまっていた。一方のサーシャ様のスパロウティアズは無傷。やはり只の剣ではありません。相手の剣だって名だたる名剣なのですから。


「そ、そんな。私のスミロドンが……完敗だわ。貴女なかなかやるわね。サーシャっていったかしら覚えておくわ。それと、もう一つだけ教えてあげるわね。実は私、こう見えて男なのよ。ふふっ。びっくりしたでしょう?」


「いや。知ってたし。おっさんだってこと。」


「キーッ!やっぱり生意気な女ね。覚えてらっしゃい。」


こうしてマスカルポーネクワイエットは棄権し、サーシャ様は一勝を上げたのでした。

先ほども申した通り、この予選は各ブロック毎に一人の勝者を決めるわけですが、その方法はトーナメント戦です。予選といえど一度でも負ければ、それで終わり。従ってマスカルポーネクワイエットの戦いは、これにて終了ということになります。

残念なことに、最後の最後で自分が男だと認めてしまった為、サーシャ様と僕の賭けにも勝負がついてしまいました。

だが!そう簡単に僕が罰ゲームを呑むと思ったら大間違いです。


「お疲れ様でした。サーシャ様。いやぁお見事でしたね。」


「まあ楽勝だな。それよりピート、賭けは私の勝ちだったぞ。あいつ自分で男だって認めたからな。今晩は豪華な肉を期待しているわよ。」


ま、まずいです。何とかせねば。そんな僕の視界に、ある一角が映りこみました。

あれだ!


「サーシャ様?あそこを見て下さい。Dブロックの勝者が決まったみたいですよ。」


「はあ?それは無いでしょ。まだ一回戦しか戦ってないんだぞ。」


「いいえ。あそこは、あの黄金の剣士で決定みたいですよ。だって他のエントリー選手は全員、棄権したみたいですから。恐れをなしたのでしょうね。やっぱり凄いな、ダマンって。」


僕はチラリとサーシャ様を見てみました。

たぶんこれで、サーシャ様の意識はダマンへ全て向けられたはずだ。憎き父の仇へ気を逸らす作戦です。――なに?汚いって?何とでも言って下さい。僕は全く傷つきませんから。


「あれが……ダマン。」


サーシャ様の瞳の奥底から真っ赤な闘志の炎が吹き出ているような、そんな気がしました。


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