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最強の女戦士ここにあり  作者: 田仲真尋
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ザラスを抜けて

僕たちがザラスに入ったのは辺りが闇に包まれた頃でした。

本当は昼過ぎにでも入国できたのですが、人目にできるだけ触れないように、という機転を僕が利かせて夜に、入国しました。


ザラス国内に目立った混乱はありませんでしたが、そこかしこにキリエス兵が配置されています。

これはもう、元の木阿弥に戻った――いえ、それ以上にキリエスに尽くすことになりそうですね、ザラスは。


僕たちは軽く食事をとってから、すぐにこの国を発つことにします。

サーシャ様を狙うザラスの本拠地ですからね、一刻も早くフェイトフル・リアルムへ向かわねばなりません。


食事の席で町の人々が、こそこそと口にしていたことも気になります。

それは近いうちに、このザラスとフェイトフル・リアルムが戦争を始めるのではないか、という噂でした。

僕の考えから言わせてもらえば、キリエスに戻ったザラスという国ですから、遅かれ早かれそうなるのは目に見えています。

とにかく、早く旅立ちたい気持ちを抑え真夜中になるのを待ちます。


深夜になり僕たちはひっそりとザラスを発ちました。

闇夜を綺麗な満月の光が照れしてくれています。気温は低く寒さが身に凍みますが何だかワクワクします。

夜中に外を歩くことがあまりなかったからでしょうね。

こんな時、恋愛をテーマにトークしたら絶対盛り上がりますよね。でも二人ともそんなキャラではありませんしね。残念です。


僕らは黙々と歩きました。

そして数時間ほど経ってから休息をとることにしました。

ここまで来ればザラスにも見つからないでしょう。


「ファイア!」


僕は薪を拾い暖をとるため焚き火を用意をしました。

それから疲れた体を癒すため仮眠をとることになりました。



――薄く目を開くと、どうやら夜明けのようです。

サーシャ様とシエルさんはまだ眠っているようなので、今の内に朝食の準備でも始めますか。

近くの川で魚を捕り、急いで戻ろうとした、その時でした。

異様な殺気を複数感じます。


「これはサーシャ様たちのいる方向だ。」


僕たちの寝床へ戻ってみると、サーシャ様とシエルさんは臨戦態勢に入っていました。

お相手はザラスの兵士四人です。


「またですか。」


本当にしつこい人たちです。


「どこ行ってたのよ。」


「朝食に魚をちょっと。」


僕はそう言いながら剣を抜きました。


「おお、魚だ。焼いていい?」


こんな時でもシエルさんはマイペースでした。


「やっと見つけたか。この役立たず共が。」


ザラスの兵士の後ろに馬車が一台停まりました。

中から大柄の男が降りてきます。


「ハラスメント様、申し訳ございません。」


どうやら彼が今回の親玉のようですね。


「申し訳ございません、じゃねえよ!お前らがザラス国内でこいつらに気づいてりゃあ、こんな所まで俺が来る必要なかったんだろうが。まったくどいつもこいつも。」


なんというパワハラ野郎でしょうか。これじゃあ部下が可哀想です。


「よし、それじゃあさっさと始めようか。」


ハラスメントは自分は剣も抜かずに高見の見物を決め込もうとしている様子です。


「私があいつをやるわ。」


サーシャ様のご指名はハラスメントでした。


「じゃあ残り三人をピートね。」


「いやいや、計算がおかしいでしょうシエルさん。ここは平等に二人ずつということで手をうってくださいよ。」


「小さい男だなお前は。しょうがない、じゃあ二人やればいいのね。」


本当ならば僕は従者という立場なのですから、朝食の準備でもしていたいのですけどね。

もう一つの剣士だった自分の血も忘れてはいません。

たまに人を斬りたくて斬りたくてしょうがない時もあります。

まあ、それが丁度今です。

別にストレスがたまっているわけでも人の血を見たい訳でもありませんよ。

僕はただ、ご主人を守る為に戦うだけであります。


「さあ、行きますかサーシャ様。」



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