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この男、魔王で冒険者  作者: 牛丼屋の奴隷
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この男、依頼を受ける

話が長くなりそうなので、分割にします。






1、 アレンはギルド右側の壁にある依頼掲示板の前に来ていた。


「う~む……。ゴブリンやオークは常時討伐対象で討伐部位ごとに銀貨か。アラクネが結構いい稼ぎになりそうではあるが……。悩むなぁ」


 独り言を嬉々として言っていると隣から声がかかる。


「やぁ、初めまして。何かお悩みかな?」


 長髪の優男風な人物が声を掛けてきた。アレンは一瞬嫌な“気”を感じたがそれ程気にしないで返答する。


「どうも、何か羽振りのいい依頼が無いかと面ってな。お主のおすすめなどあるか?」


「この依頼なんてどうかな?」


 男が手に取った用紙には≪古城に住む悪霊退治依頼、金貨10枚≫と書いてある。

 アレンも金貨10枚に思わず目がいく。しかしここで疑問も残った。たしかに悪霊と言えばスケルトンやグールなどのアンデット系だと予測ができるが、そこまで強いとは思えない。いかに弱い人族であろうと様々な戦闘職についている事も知っている。神官や僧侶などであれば楽そうではあるが……。これは少し調査してみるかと意気込むのであった。


「すまないな、この依頼を受けてみようと思う。お主の名前はなんと申すのだ?」


 その問いに優男はニッコリと微笑んで“ハールマン”と答えてギルドを後にした。


 アレンは受付に例の依頼書を出したが受付の反応はいまいちであった。


「アレンさん、この依頼を本当に受けられるのですか?」


「あぁ、そのつもりだが何か不都合でもあるのか?」


「こちらとしては特に不都合はないのですがこの依頼自体半年程前からありまして……その言いにくいのですが、30人程依頼を受けて全て行方不明になっているいわくつきでして」


 やはりなとアレンは少し関心する。しかし金貨10枚は魅力的だ、何せ人族の中で生きていくにはどうしても金が必要になっていくのである。


「心配には及ばん、今日冒険者になったヒヨッコの生死など関係あるまい。それに俺は天涯孤独の身だ、死んだところで影響はない」


「そこまで言うのであればこの依頼を受理します。古城の場所は町の西口から出て街道沿いに進んでいただいて、大きな池が見えてきたらその周辺にあるはずです」


 わかったと短い返事をするとアレンはギルドを後にする。善は急げとばかりにすぐ出発するのであった。



2、 アレンは街道をひたすら走る。夜になれば古城の場所が分からなくなる可能性もあると思ったからだ。


 街道の脇に人影あるのに気がついた。もしかしたら盗賊かと思い威嚇をしてみる。


「そこにいるやつ、何者だ!?」


 すると木の影からギルドで会ったあの優男が現れたのだ。


「ま、待ってくれ!怪しい者じゃない!ギルドで会ったばっかりじゃないか、僕だよハールマンだよ!」


 何故やつがここに?と疑問が湧いたが特に気にする必要もないなと思考を切り替える。


「何故ここに?」


「いや~実はね、登録したばかりの君にこの依頼を進めたんだけどどうしても気になってね!どうだい僕はこれでもシルバーの冒険者なんだ、依頼に同行させてくれないかい?」


「別にいいが“命の保障”はできないぞ?」


「任せてくれ!これでも死線は幾度となく潜り抜けてきたんだ」


 ここから2人は一緒に古城に向かう事となった。




3、池の前に到着し、その奥に佇む古城を目の前にする。蔦が絡まりまさに古城といった風貌だ。


「あれが依頼にあった古城か……」


「そうみたいだね、ここからは気を引き締めて行こう」


 アレンはここ一帯に少しばかり瘴気が漂っていることに気がつくが、自分には特に害がないと思うとそのまま、古城の中に入っていく。



 古城の中に入るとさっそくヴァンパイアバットの群れが襲いかかってきた。


「ようやく魔物のお出ましかっ!」


 盗賊から奪った鉄の剣を振って10匹はいたであろう、ヴァンパイアバットを瞬殺する。討伐証明の右耳と魔石を回収し、ギルドでもらった麻袋につめていく。


「すごいね~僕の出番はひょっとしてないかも」


 そんなハールマンの発言を受け流し、アレンは城の奥へと進んで行く。





4、 城の奥、広場らしき所につく。そうするとそこら辺に散乱していた骨が形を成し、複数のスケルトンとなりアレン達に襲い掛かる。


「ふーむ、雑魚ばかりだな」


 またもやスケルトンを蹴散らし、魔石を回収しているとハールマンが唐突に語りだした。


「僕が独自に調べた結果なんだけどね、どうやらここにヴァンパイアが出没するという噂があってさ。もし本当にヴァンパイアなんていたらギルドからちゃんとしたメンバーが派遣されると思うんだ、だけどそれが半年もない……どうしてだと思う?」


 アレンはため息をつき、ハールマンの方へ振り返る。


「それはお前がそのヴァンパイアだからだろ?」


 ハールマンは一瞬驚き目を見開くが、ニヤニヤしながらその問いに答えた。


「君は凄いね~今まで低レベルの冒険者を狩ってたんだけど、君は新人でありながら実力はしっかりとしているようだ」


「答えになっていないのだが?」


「クックック、そうさ。僕がそのヴァンパイアだよ!自ら古城の依頼を出し、冒険者をここに誘い込む。でも最近は失踪するって噂が出回っているから中々食事にありつけなくて困っていたんだ」


「だからたまたま見つけた俺に声を掛けたと?」


「ご名答!あの町に着たばかりみたいだったんだけど、来るかどうかは少し賭けではあったんだけどね」


「まぁ御託はいいから、戦いといこうか」


「君は結構せっかちなんだね。僕には絶対勝てないよ?何せヴァンパイアだからさっ!」


 ハールマンの目が真っ赤に染まり、身体からは瘴気が漂う。肌も青白く、まさにヴァンパイアという姿だった。



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