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第2話は安定の学園ネタ?

 ”初めて”会った俺とルナリアは学校へと向かった。ルナリアも今日から俺と同じ学校へ転校してくるそうだ。

「あ、そうそう学校では私の事ルナリアって呼ばないでね。」

 正門に着いた所でそう言い残してルナリアは職員室の方へ向かっていったんだが、じゃあどう呼べばいいんだ?

 俺はいつも通りに教室へ向かう。いや、いつもより少し早い時間に登校してるからいつも通りって訳でもないけど。

「あ、おはよう冨樫。今日うちのクラスに転校生くるらしいぜ?」

 偶然か必然か俺のクラスは他のクラスより1人少なかったから、転校生は俺のクラスへと振り分けられたらしい。俺は知らなかったふりをしてクラスメイトと会話を続ける。

「こんな時期に転校か、どんなやつなんだろうな」

「さっき先生が話してるの聞いたら女の子らしいぜ。可愛い子かなぁ?」

 そんな話をしているとチャイムが鳴り先生とルナリアが教室へ入ってきた。

「みなさん、もうご存知の方も多いでしょうが今日からこのクラスに新しい仲間が増えました。早速、転校生を紹介しますね。」

 担任の先生がそう言いながら黒板に名前を書く。こんな転校生の紹介がほんとにあるのかーと思いつつ黒板を見るとそこには「影島リナ」と書かれていた。

「初めまして、今日からこのクラスで一緒に勉強することになりました、影島リナです。この間まで親の仕事の都合でイギリスに住んでいたので日本の事はまだよく分かりません。いろいろ教えてください、よろしくお願いします。」

 イギリスに住んでたのか………ていうか影島リナって偽名か?ルナリアの方がよっぽど偽名っぽいが。

「じゃあ席は………一番後ろの冨樫の隣に座って貰えるかしら。」

 そう、奇数だった俺のクラスでは一人だけ隣が居ない席がある。それが教室の一番後ろ窓側という最高ポジションの俺の席。隣が居ないから小テストなんかは3人で回せって言われるけど前の奴らも面倒だからわざわざ回さずに俺は自分で丸付けしてる。つまり不正し放題だったんだがこれからは交渉が必要になるな。

「よろしくね、冨樫君。」

 そう言いながら座ったこいつは俺の事は知らないふりをしているのか、それとも本当にルナリアとは別人で俺の事なんか知らないのか、完璧な他人行儀だった。

「あ、よろしく影島さん。」

自慢じゃないが俺のキャラからしていきなり女の子を下の名前で呼ぶなんてことはできないから安定の苗字呼びだ。そしてそのまま授業が始まりふつうに1日が終わった。

アイツは休み時間には女子に囲まれていて全く話しかけられなかったし、放課後になってもクラスの奴らの興味は尽きないようで遊びに誘われていた。俺はまた今度話せばいいかと、いつものようにそのまま帰ろうとしたんだが……

「ケースケ」

 その時隣から俺にそっと紙を渡してきた。紙には体育館裏への呼び出しが書いてあった。しかも、夜中の。って夜中の学校!?

「おいこれどういう………ってもう居ないし。」

 俺が読んでいる間に影島リナ……ルナリアは女子たちと話ながらもう帰っていた。しょうがない、どういうつもりなのか直接聞くためにもこの呼び出しに応えるしかないな。



 体育館裏への呼び出しなんてラノベの中で、不良が目についた気に入らない奴…丁度俺みたいな友達が居なそうな奴から金銭を巻き上げるためか、女の子から告白するくらいでしかありえないと思っていた。

 まぁどうやら俺はラノベの主人公になったらしいから、今更こんな古典的なラノベみたいな状況でも驚きはしないが、ヒロインであるルナリアから呼び出されたのなら後者であって欲しいと思う。

 でもあいつ色々とおかしいし、まず夜中の体育館裏って時点で告白の可能性は低いから、もしかしたらこれからあいつにボコボコにされるのかもしれないな。それともこのまま朝までここで待ちぼうけさせられるのか。

「ごめんケースケ、呼び出しといて遅れちゃったね。」

 そう言いながらルナリアは現れた。

「このままここに待ちぼうけさせられるかと思ったぞ。」

 俺も軽く笑いながらそう返す。

「で、何の用事なんだ?ルナリア、それとも影島さんって呼んだほうがいいか?」

「んー、今は他に人はいないしルナリアでいいわよ。でも学校とか他の知り合いが居る所ではその名前を呼ばれると困るのよね。」

 そういえば、どちらが本名なのか聞いてなかったな。

「お前の本名ってどっちなんだ?」

「どっちも本名と言えば本名よ。私の名前、普段はルナリア・エルで通してるけど実際はもっと長いから、ミドルネームの一つがリナなの。ルナリアなんてこっちじゃ珍しいし、リナって名前はここでもよくあるでしょ?影島はこっちでお世話になってる人の名字」

 たしかに、日本人でルナリアなんて名前がそうそう居るとは思えない。リナなら…カタカナは珍しいかもしれないが漢字なら普通に居る名前だ。

「なるほどなぁ、で用事は何だったんだ?こんな時間にわざわざ呼び出して。」

「そう、朝バタバタしてて全く説明してなかったから、ちゃんと説明しておこうと思ってね。」

 説明?ラノベの主人公ってある程度共通点はあるけどそんな説明が必要な事あったか?

「まず、ケースケは主人公だけどまだちゃんとした主人公じゃないの。今はまだ方向性も不確かなごちゃごちゃしたライトノベルの世界でしかない。ほのぼのした学園ものなのか、殺伐とした異能バトル系なのか、それを決めなきゃ主人公にはなれないから。」

 確かに、いきなり変な力を持った女の子が空から降ってきたと思ったらただの学園ものをしてるし、方向性も何もないラノベっぽいものを詰め込んだだけの状態じゃあ収集がつかない。

「っていうか俺が決めんのかそれ」

「そう。ケースケが望めば望んだままの世界になる。まぁいきなり地球滅亡の危機とかはさすがに困るけど。」

……俺、一体どうすればいいんでせうか。

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