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大谷、ベネズエラ、イラン、AI

作者: 花黒子
掲載日:2026/01/27

 ドジャースの大谷翔平はすごい。

 このエッセイはそこに帰結する。だから、それがわかれば、このエッセイを読んだことになる。


 おそらく、ほとんどの人が現状で文章を集中して読むということはない。そもそも映画、漫画ですら一気に見るということもしなくなってきている。これは残念ながら事実で、読み始めて数行という今の段階で脳の報酬系を満足させないと読み進められないという人もいるかも知れない。


 「問い」そのものを保持したまま、進む力が著しく失われている。

 SNSなどで活動をしている出版関係者は、物語の一次産業が大事だとか、情熱があればどうにかなると鼓舞しているが、今の状況は産業構造として無理がある。別に日本人だからとか、アプリのせいとか、そういう理由をつければいくらでもつけられるだろう。ただ、そこの分析にあまり意味はない。


 ことは単純だ。変革の時が来た。


 前時代と同じやり方は通用しない。

 現実を見て、何をするべきなのかを探っていく必要がある。


 そういった意味では、ピッチャーとDHの二刀流という漫画、アニメから飛び出してきたような大谷の野球(現実)との向き合い方そのものに、凄みを感じる。


 記録、トレーニング法、熱狂を伝播する力、広告的影響力、そういった要素は調べればいくらでも出てくるだろうし、AIに聞けば教えてくれる。

 文系だとか理系だとか体育会系だとか関係なく、いや、職業や年齢、性別問わず、国籍も問わず、一野球選手がこれほど人々を魅了するのかを考えた時、自分の肉体との向き合い方は一因になるだろう。また、試合、敵チームだけでなく、味方のチームスタッフ、同僚、スタジアムのスタッフに至るまで視野の広さ、ホームの山火事に寄付をし、日本の子どもたちにグローブを送る社会貢献。野球に興味を持ってもらうという意識が、常人離れしている。

 もちろん、自分のコンディション、敵チームのピッチャーのコンディションなど事細かく調べているだろうし、スタジアムの雰囲気も感じているだろう。その中でベストパフォーマンスをする。


 まさに野球に対する姿勢そのものだ。

 だからこそすごい。

 なによりそこに嘘がない。


 自分のようなファンタジーの物語を生業にしてきた者にとって、元来、現実とは事実の積み重ねで、社会が許容できる嘘の総量など、ある程度決まっているとさえ思っていた。

 ところが、7年前、2019年の2月から始まるコロナ禍によって、あまりにも嘘がはびこりすぎた。いや、むしろウイルスと死が直結して、嘘でも言わないと現実を捉えきれなくなる現象が起きた。


 専門家と言われる人々は今もまだ論文や各国の対応に対して、適切だったのかと問いを抱えている。


 COVID-19は武漢を起源とするウイルスと言われていながら、WHOは起源を無視することになる。なぜなら中国がWHOの運営資金を拠出しているから。人類の健康を考える団体が、現実を捻じ曲げてしまった。この隠蔽により、中国の責任は棚上げされたまま、国家首席に大きな権力を付与することになった。


 世界中の人々が疑問を抱えながら、ウクライナ・ロシア戦争へと突入していく。


 そして棚を見上げていたはずのEUは黙るしかなくなる。ロシアから原油や天然ガスを買いながら、国連では戦争を辞めろと言う。またしても世界には矛盾と疑問が蔓延る。

 国連は理念を語る場だ。実行層の国連軍は今のところ、一度も編成されていない。国連PKO部隊はいるけど、これは平和維持部隊だ。

 2022年から、世界は悲惨な状況を目にしながら、嘘を聞き続けて、目をつぶっているような状態だ。

 しかし、それもヨーロッパの生きるサバイバル術なのかもしれない。

 国連加盟国の国民たち、民主主義国家の国民たちは納得できないだけだ。


 そこにアメリカのトランプ大統領が現れた。

 彼のすごいところは実行力があること、実現能力が高いとも言える。


 そうして彼は特性そのままに現実を見せつける。

 2026年、1月2日から3日にかけてベネズエラの首都カラカスを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束・連行した。国連憲章の主権侵害であることは誰の目にも明らかだ。警護に当たった32人のキューバ人が死亡。ベネズエラの高官は民間人含め80人が死亡したと言われている。

 が、ベネズエラから諸外国へ逃れていた多くの難民たちからSNSで歓喜の声が殺到した。


 これまで苦しんでいたという声の多さと、ベネズエラが陥っていた深刻な危機も知られることとなり、またしても国際機関の立ち位置は揺らいでしまう。


 理想論を語るよりも、何を実行し、どれだけの自由と生命、財産を国民の手に取り戻したのか。これが判断基準になったかのように錯覚してしまう。つまり民主主義による革命に近いことが起こっているのではないかという言説がSNS上に溢れた。


 さらに、イランでは2025年12月28日から2026年にかけて大規模な反政府でもが勃発。SNSではAIによる動画作成とは思えない動画が流れていたが、1月8日にイラン政府は電話回線とインターネットを複数の都市で遮断。またしても事実が隠蔽される事態となった。

 イランに関しては、急激なインフレやヒジャブを不適切に着た罪での死亡などもあり、宗教的弾圧からの解放など、多層的に反政府デモが拡大していった。

 2026年1月26日、現在、米空母がイランへと向かっている。また、現在に至るまで少なくともデモに参加した一般市民、36000人以上が亡くなったとも言われている。

 イランはアメリカに対しいかなる攻撃も全面戦争とみなし報復すると宣言した。こういった情報は毎日のように更新されていくが、不確かな情報と、どういう圧力があったかわからない専門家たちの言説が飛び交う。


 情報が錯綜し、何が本当でどういうバイアスがあるのかもわからなくなってしまう。

 事実だけに目を向けたいなら、どうすればいいのか。


 AIに聞けばいい。


 少なくとも数分で情報をまとめてくれて、自分たちよりIQの高い存在がいるのだから、聞けばいい。

 簡単……、のはずだ。


 あと1年で人間の能力を超えると言われながら、一向にシンギュラリティの道筋すら見えてこない。というか、筆者個人としては、「すでに自分よりは頭がいい」と思っている。果たして人類よりも頭がいいのか、という点も、「ものさし」次第だろう。

 筆者自体は指標をたくさん作って、プロトコルまで書いてしまっているので、今あるデスクワークのほとんどをAIに任せられる箇所が見えている。ただ、現実として多く企業の経営者や管理者たちには誰が責任を取るのかという問いに対する答えがないから導入を見送っているようだ。責任はユーザーに返せばいいだけなのだが……。


 事実を見たければAIに聞くといいのだが、それによって自分の能力の低さまで可視化されてしまう。日本人からすれば、仕事を失うということはアイデンティティを失う恐怖でもある。

 AIは使いようだが、使い方がわからないから怖いとも言える。どうやら現代人はAIとの距離の測り方がわからないのかもしれない。

 ちなみに「シンギュラリティとは特異点ではなく軌道である」というのが、筆者とAI群との結論だ。ある日突然、お金が要らなくなったりすることもないし、AIの言うことを聞けば多幸感で身体が浮くということもない。必ず段階を踏むようにできている。


 さて、視線を人類に戻そう。SNSによってお手頃に、お手軽に褒められるようになり、AIで答えもすぐ得られるようになった。なのに、世の中は疑問だらけで、AIによって自分の現実と向き合うのは怖い。現実からできるだけ逃避するなら、読書はかなり有効なのに、書籍の売上は年々下がり続けている。映画も見ていられない。とにかくスマホの通知が気になる。

 

 現実と向き合わず、理論を振りかざしていた国際社会はいつの間にか資本で捻じ曲げられ、さらに不都合な現実を突きつけられている。南米、中東とその理論と現実の差に耐えきれなくなってきた。嘘の総量が、社会の許容範囲を超え始めた。 

 日本の選挙でも、「実現を」と叫ぶ政党が多い。理論を説明する政党の人気は下がり、バイアスやイデオロギーを語るテレビは敬遠されている。


 長い説明を聞く必要もなければ、答えをすぐに出してくれるAIもあるのに、問いを問いのまま残して思考をする意味もなくなった。

 現実レイヤーは、あまりに残酷で、議論している暇もない。

 この時代、何が最適解か。

 ただ現実と向き合い、理想論を語るのではなく、理想に向かって実行していくことだ。


 それを長年ずっとやってきた男がいる。

 ドジャースの大谷翔平だ。だから大谷はすごい。


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