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8杯目☕️平常運転(バイト)は、いつだってカオスです。

2025年内に投稿しようと思ったのに、年明けてしまいました。

明けましておめでとうございます。

2026年は投稿スピード上げるのが目標です。

「え……ええっと、これは……」


2週間に一度の定休日。

呼び出される形で出勤した真雄の目の前には、ご飯ものやケーキ、ゼリーなどのデザートが所狭しと並んでいた。

そのすぐそばで、土岐は頭を抱え、上城と北里もまた困ったような表情を浮かべている。


「新メニュー考えてるらしいよ」


「新メニュー、ですか?この間考えてたやつは……」


「それがね」


花帆は少し視線を逸らし、気まずそうに口を開いた。


「新メニュー考えようと思う」


「……はあ!?」


それは、昨日のことだった。

遠久村の言葉に、土岐の手からペンが滑り落ちた。


「新メニューって、七夕用じゃなく?」


「それは、それとして」


北里の指摘に一応は頷きながらも、遠久村は話を続ける。


「映えメニューを考えたいと思う!」


その一連の出来事を聞き、真雄は内心で同情しつつも、ふと疑問を覚えた。


「っていうか、なんで俺と藤代さんが呼ばれたんですか」


「そりゃ、藤代は胃袋要員だろ。高瀬は……まあ」


「これからの勉強になるだろ」


(これ、他にスタッフが捕まらなかっただけだな……)


発案者である遠久村は、食材を買いに行かされているらしく、今この場にはいない。


「まあ、お前らは食べながら、味の感想とメニュー名を考えてくれ」


「メニュー名ですか?」


「そうなんだ。遠久村さんが考えたメニュー名が、これでね」


テーブルの上には、色とりどりの料理が所狭しと並んでいた。見た目は華やかで、可愛らしいものも多い。北里は一枚の紙を差し出す。真雄はそれを受け取り、書かれた文字に目を通した。


「えっと……『誠を貫く覚悟パフェ』『局長の決断パスタ』『副長の微笑みオムライス』……」


真雄は言葉を失ったまま、メニュー名と料理を交互に見下ろす。


(――料理名が、合わなさすぎる)


「で、これが名前に合わせた料理なんだけど……」


北里はそう言うと、真っ黒なフォンダンショコラをテーブルに置いた。中央にナイフを入れると、切れ目から赤いソースがどろりと溢れ出す。


「これが、信念を貫くケーキ」


「え!?怖っ!!黒!?」


思わず声が裏返るほど、その料理名は完全に一線を越えていた。もはや発想が料理の域に収まっていない。


「でも、味は全部おいしいよ!」


その言葉の説得力を裏づけるように、花帆の前には空の皿が山のように積まれていた。いつの間に食べたのかも分からない。中には、どう見ても失敗作としか思えない見た目のものまで、きれいさっぱり消えている。


「藤代さんは、この状況に慣れているんですか?」


「うん。まあ、遠久村さんの無茶振りは、これが初めてじゃないからね」


やはり、遠久村の無茶振りは今回が初ではなかったらしい。土岐が頭を抱えながら小言を漏らす声が、すぐそばから聞こえてくる。


「くそ……近藤さんじゃなければ、今ごろ殴れてたのに」


「近藤さんじゃなくても、ダメだよ」


「ただいま!待たせたなー!」


大きな声とともに現れたのは、両腕いっぱいに紙袋を抱えた遠久村だった。袋の口からは、生クリームやフルーツ、見慣れない飾り菓子が無遠慮にのぞいている。


「いやー、つい買いすぎちまってさ! 安いとテンション上がるだろ?」


場の空気などお構いなしに、遠久村は紙袋をどさりとテーブルの上に置いた。その衝撃で、中身ががさがさと音を立てる。


土岐はこめかみを押さえたまま、低い声で言った。


「……これ以上、何を作る気なんですか」


「そもそも、あんたのネーミングセンス、どうにかならないのか!」


限界に達した土岐が詰め寄ると、遠久村は笑いながら胸元を掴まれる形になる。


「落ち着いてください、土岐さん!」


「そうだよ、翔人(はやと)!」


慌てて止めに入る上城と北里。その騒動を前に、花帆と真雄はただ食べながら成り行きを見守るしかなかった。


「これも、いつも見る光景だよ」


「……勉強になります」


「よし。まあ、まずは何を出すか決めるか」


あれからいくつか試作品が作られたが、どうやら闇雲に数を増やす方針はやめたらしい。何品も作っては却下され、そのすべてが花帆の胃袋へと消えていた。


「藤代さん、本当に大丈夫ですか……?」


「んー?全然!余裕だよ!」


そう言って、花帆は最後の一口を幸せそうに頬張る。

花帆の元気はカロリー消費と比例する――そんな言葉を、真雄はふと思い出した。その隣で、土岐はすでに半ば諦めたような表情を浮かべている。


「問題は、味じゃねぇんだよ。映えと、現実の両立だ」


「そうそう。お客さんが『頼みたい』って思わなきゃ意味ないからね」


真雄は並べられた皿を見渡した。どれも味は申し分ない。しかし、決め手に欠けるのも事実だった。


「やっぱり、料理よりデザートですかね」


「期間限定メニューなら、そのほうが動かしやすいな。そうなったら、ケーキだろ」


上城の言葉に、土岐がきっぱりと言い切る。


「ホールで作れば複数出せるし、上城もそのほうが楽だろ」


「デザートの方が得意だし、料理よりはアイディアも出しやすいです」


土岐と上城を中心に、話は自然とまとまり始めた。先ほどまでの混乱が嘘のように、周囲からも次々と頷きが返る。

場は、一度収束しかけた――そのはずだった。


「いや」


そう切り出してから、


「映え狙うなら、パフェだな!」


声を上げたのは遠久村だった。


「ビッグなパフェとかどうだ!いろんな盛り付けもできるし、なんといっても話題になる!」


「おお!」


「それ、喜ぶの藤代だけだろ」


土岐の言葉どおり、歓声を上げたのは花帆だけだった。


「ビッグパフェなんて、この店のコンセプトに合わないじゃないですか」


「大盛りは、今流行ってるからね」


「流行りには乗っていかないとな!」


「いや、だから!」


遠久村の一言に、土岐は今にも声を荒らげそうになっていた。


そのときだった。


「ミニパフェとケーキを日替わりにしたら、いいんじゃない?」


先ほどまで黙々と食べていた花帆が、ぱっと顔を上げて言った。


「日によって出すメニューを変えるの。今あるケーキを少量に切って、何種類か出したりとか。そうすればロスも出ないし、気に入ってくれたら通常サイズで頼んでもらえるかもしれないよ!」


一瞬、言い合いの声が止まり、場に静けさが落ちる。


「……それだ」


「でかした、藤代!」


「それでいこう!」


「さすがだよ、藤代さん」


次々に上がる声に、花帆は少し照れたように笑った。


「えへへ、ありがとう」


「問題は名前だな」


ひと通り方針が決まり、場に残ったのは最後の課題だった。一瞬、沈黙が落ちる。


「じゃあ、“誠の甘味決戦”はどうだ!」


その空気を破ったのは、やはり遠久村だった。


「……あー、もう埒が明かないので、遠久村さんは黙っててください」


土岐の声は低く、しかし即断だった。

ほんの数秒考え込むような間を置いてから、土岐は真雄へと視線を向ける。


「高瀬」


「名前は高瀬が付けろ」


「俺!!!???」


土岐から突然飛んできた指名に、真雄は思わず声を裏返した。


「思いついたやつでいいんだよ」


「そうそう!なんでもいいよ」


味方になってくれそうだと思っていた上城と花帆に、立て続けにそう言われ、真雄は完全に逃げ場を失った。


「え、えっ、ちょ……」


視線が集まり、頭が真っ白になる。考えれば考えるほど、さっきの遠久村の案が頭をよぎって、逆に何も浮かばない。


「あー!!もう!!これでいきましょう!!」


場を収めるように、真雄は半ば叫ぶように言った。


「すみません!これお願いします」


「私も、お願いします」


その後――

誠堂では、あるデザートがひそかな話題を呼ぶことになる。日替わりのケーキと小さなパフェを、ひと皿に盛り合わせたものだった。


そして、その名前は。


「お待たせしました。“なんか甘いやつ”です」


こうして、“なんか甘いやつ”は期間限定メニューとして、ささやかな話題を呼んだ。

今回は女子2人のプロフィールです。


・藤代花帆[ふじしろかほ]

誕生日12/13 age20 服飾学生2年

身長151cm4〇kg。

イメージカラーオレンジ。瞳はオレンジ。茶髪の三つ編みカチューシャボブ

前世▶︎籐堂平助。京都出身。早番ホール担当。

童顔で小柄な見た目とは裏腹に大食い。

上京したばかりでホームシック中の時に、同じ出身地の北里が出してくれた郷土料理の味に惚れ、まかない付きという理由で働き出した。番希望なのも勤務後にご飯屋さん巡るため。活発で元気。元気=カロリー消費と言われている。



・佐々原清夏[ささはらきよか]

誕生日7/6 age22大学4年生

身長168cm体重5〇kg。

イメージカラー紫 。瞳は紫。女性にしては高身長だが本人的にはコンプレックス。黒髪ロング。仕事中はポニーテール。

前世▶︎原田左之助。東京都出身。早番ホール担当。

ドイツ人と日本人のハーフ。弓道が得意。女子校育ちでもあり容姿も相まって女子からモテる。クールで落ち着いたお姉さん…etc。真雄を影から見ていた理由があり。

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