7.ゲームセンターの姫
「ライカちゃん、今日も来てる?」
「いるよ。奥でスマブラやってる。」
ゲームセンターの常連客たちは、まるでアイドルの話をするように彼女を語る。
ライカは店の店員とも顔なじみで、客にも人気だった。
それは彼女が常連だったからだけじゃない。
プロゲーマーとしての知名度、SNSでの影響力、そして——彼女自身の"サービス精神"のせいだ。
僕は奥の対戦スペースへと足を踏み入れた。
ライカはいた。
ゲーム機の前に座り、何人もの男たちに囲まれている。
「おいおい、ライカちゃん、負けたら罰ゲームな?」
「え〜? じゃあ、何してほしい?」
ライカは甘い声で笑いながら、隣の男の腕にそっと手を這わせる。
指先で優しく撫で、耳元で囁くように言った。
「勝ったら、ご褒美ちょうだいね?」
男たちは歓声を上げた。
彼女の指が、肩から腕へと滑る。
ゲームの最中なのに、身体を密着させている。
僕はただ、その光景を見つめるしかなかった。
久しぶりに僕以外の男と接したライカは、まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のようだった。
ゲームをしながら、男たちの体に触れ、笑い、煽る。
彼女の手が、男の太ももに滑るのを見ても、もう僕には止めることはできない。
ゲームの腕は一流の彼女、街のゲーセンごときで負けるのはあり得ない。
しかし、今の彼女は、男の身体に欲情し集中力を欠きミスを連発、店の中は常連客で異様な雰囲気に包まれ男達のエスカレートする要求に応えていく。
——ライカはもう、僕のものではない。
この日を境に彼女は、ゲームセンターの男たち全員のものになってしまった。
それが最初だった。
その日以来、ライカは僕公認でゲームセンターの客と関係を持つようになった。
「ご主人様」が僕から彼らに代わっただけだ。
僕が何か言える立場ではない。
彼女は僕が壊したのだから。
黙認するしかなかった。




