知らない天井
最初の男性のセリフが少し乱暴だったので修正しました。
「う……ううん……」
何だか良い匂いがしてきた事に気付いた朱莉が目を開ける。
何度もパチパチと目を開け閉めし、現状を把握するために周囲を見渡し……唐突に跳ね起きた。
(え……ここ、どこ!?
ま、ま、まだ夢の中って事だよね?)
動揺しながら辺りを見渡すが、やはり朱莉には全く覚えのない場所であった。
整理整頓された綺麗な部屋にある、大人が2人以上は寝れそうな大きなベッドの上にいた。
そして、ふと自分の格好を見ると、下着姿にやたらブカブカとした大きなシャツを一枚着ている事にも気付く。
「いや、これは絶対に夢……あ、いた!?
ゆ、夢じゃない?」
動揺を抑えられない朱莉は自分の頬を思いっきり抓るが、そのまましっかりとした痛みとして脳に届けられ、これが現実だということを思い知らされる。
「あ、気が付いたんだね」
「え、だ、誰ですか!?」
突然声をかけられ、朱莉は飛び跳ねそうになるのを必死に堪える。
その方向を見ると、朱莉が過ごした一ヶ月間でも見た事のないようなイケメン……それも、高身長でスマートな体型という、やたらキラキラした男性がそこに立っていたのであった。
「あ〜そっか……倒れてたから全然覚えてないんだ。
その辺りの事は説明するから、とりあえずをこっちに来なよ。
いま、朝ごはんの支度してるところだから」
「は、は、はい」
状況は分からなかったが、イケメンの登場によって朱莉はやや落ち着きを取り戻した。
というのも、やはり今の状況で真っ先に思い浮かんだのは自分の貞操だったのだが、こんなに住む世界が違うキラキラとしたイケメンが、芋臭い田舎娘である自分に手を出すわけがないであろう。
確信を持ってそう考えた事によって落ち着きを取り戻したのである。
「はい、それじゃお姫様はこの席に」
「あ、ありがとうございます」
男性に連れられてリビングへとやってきた訳だが、彼はテーブルに備え付けられた椅子をスッと引き、朱莉の着席を促した。
(こ、これが都会の男性って事!?
お……お姫様とか、エスコートとか、本当にそんな事する人いるんだ)
恋愛漫画では似たようなシチュエーションを見たことのある朱莉であるが、まさか自分が同じような事を経験するとは思わなかった。
ドキドキしながらも着席すると、彼はテーブルの上にコトコトとお皿を置いていく。
「簡単なものでごめんね。
ベーコンエッグとサラダ。
それに評判のお店で買ってきたクロワッサンとコーンスープ。
飲み物は……コーヒーは飲める?」
「えっと、砂糖とミルクたっぷりなら」
「くすっ……りょーかい。
それじゃ、とびっきり甘いカフェオレを淹れてあげるね」
そう言って男性はチャーミングに笑い、朱莉はその笑顔に終始ドギマギしているのであった。