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理解の深まった二人

時間は巻き戻って圭太から電話がかかってくる少し前の話であった。


「大学の夏休みはどうするの?」


休日に一緒にいるのが当たり前となった宗介から尋ねられる朱莉。


「元々は田舎に帰ろうと思ってたんですけど……」


「けどって事は今は違うってこと?」


「二ヶ月近くも私が向こうに行っちゃったら寂しいんじゃないかと思いまして」


宗介とのデートを繰り返し、友人からは羨ましがられていた朱莉の心にも変化が訪れていた。


少なくとも宗介が自分と一緒にいる事が楽しく、安らぎを得ることが出来ていることを信用する事は出来るようになっていたのだった。


「うん、もちろん寂しいよ。

朱莉が向こうに帰るんだったら、僕もついていこうかなって思ってたくらいには」


「そ、宗介さんみたいなキラキラした人には、私の故郷みたいなど田舎は似合わないですって!

……うん、私もこの夏は帰らずにこっちで過ごします。

両親にはお盆の時に顔を見せれば良いですし」


「お盆の時は帰っちゃうんだね……あ、なら、逆にお盆の時に朱莉の両親をこっちに招待したらどうかな?」


「両親をこっちにですか?」


唐突な宗介の提案に目を丸くする朱莉。


だが、そんな彼女を気にせずに宗介は自分のアイデアを続けた。


「確か新婚旅行でこっちに来たっきりだから、朱莉の状況を羨ましがっていたんだったよね。

この機会に両親をこちらに招待して、朱莉が完璧にエスコートすれば、こっちでしっかりやっていけてると思って安心してくれるんじゃないかな?」


「それは確かに……でも、完璧なエスコートなんて……」


「大丈夫、もちろん僕も一緒に着いていくから。

朱莉のご両親なら是非とも挨拶したいしね」


本当に嬉しそうに話す宗介に、これは既に決定事項になっているなと考える。


最近はこういう宗介の強引さも分かってきたのだが、その全てが自分のためである為、嫌な気分は全くしていなかった。


「それじゃ、お盆にこっちに来れないか話してみますね。

……因みに、私の両親にあったら何て話すつもりですか?」


「え、そりゃ決まってるよ。

こんな素敵な娘さんを育て、信じて上京させてくれてありがとうございます。

それを認めてくれなかったら、そもそも朱莉と出会えてなかったんだからね」


「……も〜、すぐにそういうことを言うんだから!!」


そう言って朱莉は顔を赤くし、照れ隠しに近くにあったクッションを宗介に投げつけた。


そう、ここは宗介が住んでいるマンションの部屋の中。


まだ付き合っている訳ではないのだが、デートを重ねてお互いを理解しあった結果、最近ではお家デートをする事も多くなっていたのであった。

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