変わっていく朱莉
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朱莉が宗介と出会ってから一ヶ月……上京してからは二ヶ月が経った頃、その変化は顕著に表れていた。
今までは都会のストレスでほぼ寝付けず、勉強も捗らなくてついていけなくなっていた朱莉。
だが、宗介と出会った日からは驚くほどすんなりと寝付けるようになっていた。
話したいときにいつでもメッセージを返してくれ、自分が直接話したいと思ったとき、その心を察してくれたのかは分からないが、必ず向こうから電話をかけてもいいかという問いが来て二つ返事で応じていた。
また、休日には必ず何処かへと連れ出してくれて、朱莉が行きたかった場所を順調に消化していった。
その際のデート費用は全て宗介が受け持ってくれており、朱莉が出そうとするのを察してそれを上手くかわしたり、いつの間にか支払いが終わっていたりと至れり尽くせりである。
その事について謝る朱莉に対して、自分がそうしてあげたいだけだから気にしないでと答える宗介。
その顔は本当に嬉しそうな心からの笑顔を浮かべており、朱莉としては申し訳ない気分は治らないのだが、段々と素直にその好意を受け取るようになっていった。
こうしたストレスフリーかつ癒される日々を送っていった結果、朱莉の心の傷は完全に癒えており、それに合わせて成績はグングンと上がっていった。
元々がついでに受けた程度で合格してしまうほどに地頭は良かったのである。
授業についていけなかったのも都会の慣れない雰囲気のせいであり、それが癒された結果、従来の吸収力を取り戻したのであった。
そうして明るくなれば人も寄ってくるものであり、友人と呼べる人も何人か出来たのであった。
新しく出来た友人から遊びに誘われる事もあったのだが、休日の予定は全て宗介とのデートで埋まっていた朱莉。
申し訳なく断る彼女だったが、そのデートを心底楽しみにしている様子の朱莉を強く誘えるわけもなく、朱莉がいなくなった後でとても素敵な彼氏がいて羨ましいと噂をしていたのであった。
朱莉は田舎娘ではあったが、宗介とのデートで次第に垢抜けてきたことと、元の顔とスタイルは良かったので、大学内でも彼女を狙おうかという動きはあった。
しかし、その度に友人達が朱莉には誰も太刀打ち出来ないほどの素敵な彼氏がおり、付け入る隙は全く無いという話をして回っていた。
こうして余計なナンパに心を砕く事もなく、良き友人と、宗介という素晴らしい男性のおかげで上京生活にすっかり慣れてしまっていた朱莉。
そう、圭太へ毎日のように送っていたメッセージが数日おき、挨拶だけに変わる程度に。




