衣装
皆の注目がサチとテェーナに向かう中、ドナと私は移動を始めたが、マイクの碧い瞳と目が合う。「わたしの母国でも彼女達が興行したら、人気がでそうだ」とサチとテェーナのデモンストレーションを見た時、マイクは夢中になっている様子だった。てっきり今も二人のダンスに、他の観客同様、熱中しているのかと思っていた。
護衛という役目からの責任感からなのか。ちゃんとこちらにも目を配ってくれている。
「ミーシャ、急いで!」
「は、はいっ!」
ドナの声に早歩きで廊下を進み、控え室へ戻る。
その後はもう早や着替え。
ドレスではないので、一人で着替えはできる。
上半身は、ビーズやパール、そしてフリンジが飾られたマゼンタ色のブラトップ、そして大ぶりの金メッキのネックレスのみ。おへそがでるローウエストの、マーメイドラインのロングスカートは、ウエスト周りに模造宝石と小粒の鈴が飾られている。腰を揺らす度に、微かな音色を奏でるようになっていた。
本当は、動きやすいスリットが深く入ったタイプのものを着ることも考えたが、デュカン帝国もエルロンド王国と同じで、脚を見せる=下着を露出しているという認識となる。いくら異国の伝統衣装です……と言っても、令息はともかく、令嬢は嫌がる可能性があるので、ロングスカートタイプの衣装にしていた。
着替えが終わったので、腕輪とアンクレットをつける。靴は履かず、裸足で踊るが、広間まではパンプスで移動だ。
顔には、占い師として店でも使っていた、透けるようなベールをつけた。髪はおろした状態で完了だ。
「ミーシャ! あんた、本当に色っぽい体をしているねぇ。興業の後、気をつけなよ。まあ、そっちですこし小金を稼ぎたいなら、止めないけど」
そう私に伝えるドナは、衿や袖、スカートに、フリルがふんだんにあしらわれた青のドレスを着ている。スカートは何枚もの白のペチコートを重ね、脚を大きく上げた際も、下着が見えないようになっていた。タイツもちゃんと履いている。まとめた髪には、羽のついた帽子を被っていた。
「そっちで稼ぐつもりはないので、気を付けます。それに踊っている時以外、この姿は見せないようにするので」
そう答えながら、モスグリーンのロングローブをはおった。
「ふふ。そうだよね。あんた、真面目だから。じゃあ、行くわよ」
「はい!」
ドナと二人、控え室に出ると、そこにマイクがいてビックリしてしまう。
「あら、マイク! あんたは仕事熱心だね。ここは公爵邸だよ。警備は万全なはずさ。広間で踊りを見ていて良かったのに」
「わたしの役目は鑑賞ではなく、美しき踊り子たちの護衛ですから」
「あんたも真面目よねぇ。じゃあせっかくだから騎士様。エスコートいただいても?」
「勿論ですよ」
マイクにエスコートされ、ドナはご機嫌。
一方のマイクは一瞬こちらを見て、でもすぐに視線を前に戻して歩き出す。
踊り子として、どんな衣装を着ているのか。
マイクは興味を持ってくれたのかしら?
でもあいにくローブを着ているので、完全に当ては外れたわよね。
こうして大広間に戻り、サチとテェーナと交代で、ドナのソロダンスがスタートした。
サチとテェーナの時と変わらない、陽気でアップテンポで、ノリがいい音楽が流れる。ドナはそのメロディにあわせ、スカートを大きくたくし上げ、ハイキックしてみせたり、素早い足のステップを踏む。側転のような動きや、大きな脚の開脚で、会場の招待客を大喜びさせている。皆、その迫力と勢いに、すっかり魅了されていた。
この盛り上がりを見ていると、ソロダンスのトリが私でいいのか――と一瞬不安になったが、今さらどうにもならない。少し、緊張しているのかな。そう思った私は、シャンパンを一杯のみ、気持ちを落ち着かせる。そうしている間にも大盛り上がりで、ドナのソロダンスが終わった。
遂に私の番となる。
お読みいただき、ありがとうございます!
2月22日の12時半頃に新作を公開します。
なんと描き下ろしの見事な表紙絵ありです!
https://ncode.syosetu.com/n3408ij/
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まだクリックできません。明日、ロゴバナーも設置します。
それでは本日も通勤&通学、いってらっしゃいませ。
これから家事の方、頑張りましょう~!



























































