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第二話 行った先にもクズはいた

第二話 行った先にもクズはいた


「おお、成功だ。みなのものよくやった。そして、ようこそ勇者の方々よ。

 私はこの国ジャークニークの王、ロックデー・ナッシーじゃ」

 どうやら本当に召喚されたようだ。

 一緒に来た連中は、俺を含め男が5人、女が8人。残りは白い空間で息絶えた。

 パートナーを失ったビッチ4人が泣き叫んだり茫然自失となったり、残りの8人のうちクズ男4人は「どうなってんだよ」とか「ふざけんな」とかアドレナリン全開の雄叫びを上げている。生き残ったクズのパートナーである最後のビッチ四人はオロオロと周りを見回し挙動不審だ。


「どうやら、勇者の方々は混乱されているようですな。

 おい、イーナッリ。おまえがきちんと説明して落ち着いたら連れてこい」

「了解しました、陛下」

 部下らしき頭の禿かけた小太りのおじさんが王様に向けて礼をした後、俺たちの乗っている魔方陣に一歩近づく。


「貴様ら、せっかく招いてやったというのにうるさいわ!

 おい、衛兵。騒ぐ奴は猿ぐつわを噛ませ。抵抗するなら縛り上げろ」

 イーナッリは王様への態度と180度逆の高圧的物言いで俺たちに叫ぶ。


 周りから衛兵が騒ぐ連中に近づく。


「ふざけんなよ、てめーら」

「死にさらせ」

 生き残っていたクズ4人が衛兵へと向かいよせばいいのに謎の存在からもらったスキルを発動した。


「凍り付け!氷結」「吹っ飛べ、メガトンキック」「吹き荒れろ風、サイクロン」「潰れろ!スーパータックル」


 本当に学習能力のない奴らだ。

 氷系の魔法を使ったクズは自分自身が凍り付いて生命活動を停止した。

 キックを放った奴は、相手の衛兵も吹き飛んだが自分の右足も砕け散った。右足一本で一人やったのは奴らにしては快挙かも知れない。

 風魔法を使った奴は悲惨だ。自分の周りに竜巻が発生し、自らが切り刻まれて細切れになった。

 最後に体当たりを噛ました奴は、ぶつかった衛兵と一緒に吹っ飛び、二人仲良く壁で真っ赤なシミとなった。

 クズ連中全滅である。


 そしてビッチにもアホがいた。

 風魔法を使った奴のパートナーだ。


 なんと、肉片になった奴に回復を使ったのだ。もちろん効果は開腹だが……

 既にミンチになっている奴を開腹ってなによと思っていると、スキルを使ったビッチ自信が臓物をぶちまけて倒れた。

 なんと言うことだ。対象がいないと自分が開腹するというのか。


 しかし、状況は最悪だ。


 明確に敵対行為を行ったクズ連中のおかげで俺たちもやばい。

 残ったのはビッチ7人。

 全て連れ合いを失ったばかりで混乱している。


 もはや逃げるしかないのか。こっちの連中の思惑も分からないのに……

 命には代えられん。


 俺は全力で王様が消えたのと反対方向の扉へ向かって走り出した。


 向かってくる衛兵は全て躱す。

 クズたちみたいに自爆するわけにはいかない。

 集中すると衛兵の動きがスローに感じられる。


 とても自分の動きとは思えないが今はありがたい。

 あっという間に両開きの扉にたどり着き、力一杯押した。


 扉はドカンと言う破裂音とともに吹き飛び、向かいの石壁をぶち抜く。

 ていうか、俺なんでこんなに力持ちなの?

 疑問は尽きないが、今はそれどころでは無い。


 止まること一瞬、壁に空いた穴を見ると、どうやらここはかなりの高層階らしい。

 右の廊下と左の廊下から異変を感じた兵士らしき人影が迫る。

 迷っている暇はない。

 俺は自分のバカ力を信じて、壁に空いた穴から先に見える塔の屋根に向かって大ジャンプした。


『扉をぶち壊した奇跡よもう一度』と願いを込めて床を蹴った。

 バゴンと床が砕ける音がする。


 俺は跳んだ。いや、飛んだと行った方がいいほどの大ジャンプだ。


 やばい……。飛びすぎだ……。

 このままでは塔を通過するという勢いがある……。


 とっさに塔の先端に突き出た避雷針のような金属柱をつかむ。

 金属柱はブニャリと曲がったが折れることなく俺の体重を受け止めてくれた。


 壁に空いた穴からこちらを指さし叫ぶ人影が見える。


 ここも安全地帯ではない。


 俺は塔の屋根から周囲を確認する。


 今、俺がいるのはお城と呼ぶのがふさわしい建築物だ。

 石造りで中央にさっきまでいた城があり、周囲に4つの塔と城壁がある。

 城壁の外には堀があり、その周りには城下町が広がっている。

 なかなか大きな町のようだ。

 町の外には平野が広がっており、町との境界には石の壁がある。

 外へ通じる道は8カ所ほどあるようだが、いずれも検問のようなものが配置されている。

 

 まずは、どこへ逃げるかだ。

 俺は城と反対の縁から下を見た。

 堀があるが水深は不明。飛び込んで浅かったら大惨事だ。


「しかたない」俺は壁にとりつき、やったこともないボルダリングに挑戦することになった。最も上るのではなく降りる方向にだが……

  

 石組みに隙間が多く、以外と簡単に堀の高さまで降りることができた。幸い、降りる途中で町の人から注目を浴びることも、塔の中から兵士が現れることもなく、目立たないところで対岸に飛び移り町へと入り込む。


 俺は堀から町の外縁方向へ移動しながら目立たない場所を探す。ゆっくり落ち着いて確認したい。

 大きな通りから少し入り込んだところに、客足がほとんど見られない寂れた書店があった。

 俺はこの店で本を読むふりをしながら状況をあらためて考察することにした。







キリがよいところまで書いてみます。

需要があれば続きを書きたいと思います。

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