成人式への招待状
「真綾、成人式の招待状届いてたよ」
同棲中の彼氏、米崎凌河が招待状を私に渡してきた。
「もうそんな時期なんだ…」
ふと外を見ると季節は冬に近づいている。
金木犀の香りが消え、一気に冬の香りになった。
「行くよね?真綾は」
「うん、行くよ。久しぶりに地元の友達と会いたいしね」
凌河は少し不安げな顔をしていた。
「…凌河?どうしたの?」
「いや、真綾の同級生がとんでもなくかっこよくなってたりとかしたら、不安だなって」
随分と可愛らしい言動だ。
凌河は少しだけ他の男の子より不安感が強いのだ。
初めて出会ったのは大学入った年の秋。
たまたま履修した授業が他学部も履修できるもので、ひとりで受けていたところ法学部の凌河が「すみません。ここって配布する資料とかありますか?」と聞いてきたのがはじまりだった。
そのあと仲良くなるのはあっという間だった。
授業外でも会うようになり、出会いから3ヶ月経ったクリスマスに告白され、交際することになった。
そして今、私達は同棲している。
「真綾は可愛いから」といって、大学へ行く時も凌河は常に一緒に行動をする。
そこまで気にするほどじゃないはずだと思っているが、凌河の気持ち的に一緒にいてあげないと不安感が強くなってしまうのだろう。そう思い、私は凌河に不安感を与えず過ごしている。
「凌河、大丈夫だよ。地元の子はみんな早くから子供できて結婚したりしてるし、そんなアクシデントなんて起きないから」
「う、うん…」
不満そうな顔をしている。
凌河は私を突然強く抱きしめた。
「どこにも行かないでね」
「うん、わかってるよ」
凌河は私の唇にキスを落とした。