不完全なパズル
この世界から、消えてしまいたいと。
生きる意味なんてないと、君は言った。
その気持ち解るよって、僕は言った。
だけど本当は、そんなの解りっこないんだ。
僕と君は、別々の人間だから。
君の悲しみの大きさを、僕がちゃんと理解することはできないんだ。
もしも全てを理解できたなら、君が一番欲しい言葉をかけてあげられたかな?
泣いてる君を、もっと元気づけてあげられたかな?
ごめんね。
何もできなくて、役に立てなくて。全然力になれなくて、悔しいよ。
僕は、君が好きなんだ。
だから君には、何よりも自由でいてほしい。
けど、僕の気持ちは矛盾してる。
だって君に、『消えたい』なんて思わないでほしいから。
僕の傍からいなくならないでって、願ってるから。
知りたいよ。君はどうして苦しんでるの?
独りで悩まないで。もう何も我慢しないで。僕が隣にいるから。
『生きる意味』なんて、なくていいんだ。そんなもの、命が終わってからの、後付けでしかない。
ただ君がここにいるだけでいい。
君が、生きてくれるだけでいい。
歩くのに疲れたら、立ち止まって、空を見上げよう。
それから、どんなことが悲しくて、どんなことが辛いのか、僕に聞かせて。
涙枯れるまで泣いて、本気で怒って、心に溜まった痛みを吐き出して。
一回、二回、三回と。
毎日、少しずつ、笑顔を増やしていこう。
そしたら一歩ずつでも、幸せの景色に近付けるから。
君と僕。見た目も、性別も、心も違う。
僕らは凸凹で、穴だらけのパズルみたいに不完全だけど。
例えばぴったりと、完璧に解り合えなかったとしても。
足りない隙間を埋め合うことなら、きっと、できるから。