第2話 世界樹の声
「人間、森殺した。ユマの仲間。たくさん死んだ。人間。人間。全て人間のせい」
そう言い残してラタトスクは自分の巣穴の中に戻ってしまった。
「人間のせい…。そうか、だからか」
最近ユグドラジルに傷が目立つようになったのは。残されたユマは呟いた。
そしてユマはリアッカに下に降りるよう指示を出す。
「ユマ、どこに行くつもり?」
それを止めたのはヴェズルフェルニル。
「ミズガルズ」
それだけを言い残し、ユマは第二階層、人間世界のミズガルズに向かっていった。
ユグドラジルは世界の中心であると同時に世界そのもの。
そして世界の分身であり、命でもある。
九つの世界の全ての植物は全てユグドラシルと繋がっている。
森が、植物が傷つけ、無くなれば無くなるほどユグドラシルに傷がつく。
しかしそれはどれも小さなものの為致命傷にはならない。
しかし注意してほしいのはユグドラシルは一生に一度だけ、
自分の遺伝子を分けた種を九つの世界のどこかに落とす。
もしその育った樹が何らかの原因で倒されてしまったら?
…その瞬間ユグドラシルは致命傷を負い、最悪の場合は死に至る。
傷ついたユグドラシルは世界を不安定にさせる。
ユグドラシルが倒れた事は世界の崩壊を意味する。
しかし世界の崩壊は余程の事がなければ起こる事はない。
第一ユグドラシルが自分の子孫を残しているかどうかも分からないのだ。
それはユグドラシルの守護者であるユマもまた。