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47.ハニトラ要員

よろしくお願いします!

 ガウェインの聖天魔術が暴れまわり、辺りのモンスターどもは根こそぎ討ち滅ぼされた。

 もはや唖然ともしないように、クルトが口を開く。


「今ので、レースはこっちが有利になった。モンスターが集まらない内にさっさと通り抜けるぞ」


 そう言いながら駆け出した彼に、俺たちも追随する。

 ってか、さすが高位冒険者だな。身体能力高ぇ。足速ぇ。


 ガウェインはかなりの範囲を制圧したようで、前方を見据えてみると、誰もいない道が見えなくなるまで続いていた。

 再交戦は少し先になるだろう。


 モンスターがいなくなり、少し余裕が出てきたため、俺はエレノラに話しかける。

 少しだけ気になることがあるのだ。


「エレノラ。お前、あの騎士たちがなんでここに来ているのか見当がつくか?」


「何かの任務なんでしょ。詳細なんて知らないよ」


 現在、彼女は走るのが面倒だという理由で、ガウェインに運ばれている。

 下心から、俺が背負ってやろうかと尋ねたが、何もなかったかのようにスルーされた。


「なーんか怪しいんだよな。勘だけど」


「君、自他ともに認める国家権力の狗じゃなかったの?」


「当然! 何か後ろ暗いことがあったとしても、俺は強い方の味方だからな」


「わーお。清々しいほど死んでほしいね」


 そこまで言われる筋合いは……ないこともないか。

 まあ何にせよ、彼らがどんな事情でこのダンジョンに来ているのかは知っておく必要があると思うんだよな。

 極端だが、俺たちがダンジョンボスを倒したことでエイゼン家、並びにその支配下にあるトータスに致命的な損害が起こる可能性もあるわけだ。

 適当には行動できない。


「さすがに、何か重要なことがあったら俺たちに事情を話してるよな」


「わかりませんよ。騎士なんて家柄で選ばれた馬鹿が大多数です。マトモな判断もできないかもしれません」


 モニカが、俺の左隣から口を出してくる。

 こいつのこの騎士ヘイトは何なんだ。陰キャモードか?


「さっきから思ってたけど、お前騎士に何か恨みでもあんの? やたら嫌ってるな」


「人には人の事情があるんです! 詮索するのはマナー違反ですよ」


「は? お前、マナー違反で俺が止まると思ってんのか?」


「そうでしたね! そういう人ですよあなたは! ……でも、これだけは言えません」


 神妙に、彼女は俯いた。

 ……これは、意外と重めのエピソードを抱えてそうだな。


「言える範囲で! 先っぽだけだから!」


「食い下がりますね!? そんなに聞きたいんですか!?」


「当たり前……どぅおっ!?」


 突然、俺とモニカの間を割って入ってきたナズナが、俺の肩を掴み激しく揺らした。

 結構強めに揺らされて、舌を噛みそうになる。


「ラインズ! 人が嫌なことはやらないんだよ!」


 小学生低学年レベルの注意喚起に、流石に驚きを隠せない。

 というか、言ってること自体はお笑いなのに、存外普通に怒っているのに少し驚いた。

 こいつら仲良すぎかよ。塔が立つぞ。


「……悪かったって。でも、その手は離さなくていいぞ」


 俺はモニカに向かって謝罪をした後、ナズナの手の感触を堪能する。

 女の子側から触れてもらえることなんてなかなか無いぞ。


 ……改めて考えると、もしかして俺ってキモい奴なのでは?

 顔は絶世のイケメンなんだが。


「モニカにもいろいろあるんだからね?」


 ナズナは最後にそう言って、手を離した。


「……話を戻そうか。騎士たちがここに来た理由についてだったね」


 エレノラが、妙に落ち着いた態度で会話を軌道修正する。

 なんだかあいつが年長者に見えてくるな。実際、年長者なんだが。


「私たちに言えないということは、何か悪事でも働いているのでしょう。妨害されては困る類いの」


「機密事項だから。かもしれなくね? その場合、騎士たちを出し抜こうとしている俺たちが戦犯になるかもしれねぇけど」


「普通に言い忘れた。ってことは無いの? 皆、考えすぎな気がするけど」


 モニカ、俺、ナズナの順で、次々と意見を並べていく。


「まあ、今の時点では大した結論は出ないね。けど……」


 エレノラがそう言い、さらに続ける。


「どんな事情であろうと、調べた方が良さそうだね」


 エレノラが、悪い顔でニヤリと笑う。

 幼女とも女神とも思えない、悪魔的な笑みだ。


 まあ、俺も同じことを考えていたんだが。


 それが機密事項であるなら、手に入れた方が良い。

 一般人には言えない情報なんて、どれほどの価値があるのだろうという話だ。

 情報にもよるが、上手く活用すればお小遣い程度にはなるかもしれない。


「とりあえず、お前らの誰かがハニートラップでもすればいい。男でそれが効かない奴はいねぇ。隙を見て情報引き出すべ」


「確かに、私はかわいいからね」


「頭湧いたんですか?」


「嫌だよそんなの!」


 三者三様の反応を見せ、彼女らは拒絶する。

 いや、エレノラだけは若干乗り気だな。

 機会があったら彼女をハニトラ要因として送り込んでみるか。


 ……なお、俺にハニトラ中の女の子を眺めたいなどという煩悩は無い。

 いざ実行するのであれば、特別衣装は用意してやるつもりだが。



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