18.土気色の人形
レビューを頂きました!
笑っていただいたようで何よりです!
レビューやブクマなどのおかげで、作者のモチベは爆上がりでございます!
これからも、笑えるような物語を書いていきたいと思いますので、何卒、応援
よろしくお願いします!
初めてのスライム戦を終え、俺たちは再度、研究所内の探索を行っていた。
とりあえず、階段から上は放っておき、一階を完全に調査しきることを目標としている。
「先ほどのスライムは、おそらくこの研究所でも最弱の種族でしょう。さっきのように気を抜くと、本当に死んでしまいますよ」
「そうだぞ、エレノラ。支援魔法が得意だとか言ってたのは何だったんだ?」
「ラインズ。今のは君への言葉だよ。戦闘能力でモニカに負けてて恥ずかしくないの?」
「私は二人に言ったんです」
でしょうね。すいませんでした。
先の戦闘から、モニカはずっとこの調子だ。
確かにな? 俺はさっき間抜けな姿を見せたかもしれない。でも、それは油断したからであって。ガチれば余裕だったし? そんなに心配することもないんじゃないか?
と、思ったが、口には出さない。また怒られてしまいそうだからな。
「でも、スライムって種族が俺には向かないと思うんだよ」
「いきなり何を言ってるのさ」
エレノラが、怪訝な眼でこちらを見る。
最近、これがデフォルトになってきている気がするな。信頼ゼロかよ、俺。
「俺の攻撃方法は全部、物理攻撃なんだよ。召喚魔法を使うにしても、な」
「確かに、石を落としたりしてるだけだもんね」
ナズナが俺に追従する。
「その言い方だと召喚魔法の格落ち感半端ねぇな!? 事実だけど!」
「本当に、あなたのその魔法。持ち腐れにもほどがありますよ」
モニカも、召喚魔法にはもっと良い使い方があると考えているようだ。
確かに、欲しい物を生み出せる。というだけで、とんでもない能力だろうな。
しかし、それは大きな勘違いだ。
「召喚魔法の絶対的ルールその一!」
「うわっ」
「なんですか急に」
「キモっ」
散々な言い草だなお前ら。別にキモかねぇだろうが。
だが、この程度のことにいちいち反応していられない。
「召喚するものの価値によって消費魔力が変動する!」
「それは知ってるよ」
「前に聞きましたね」
「わかってるよ。改めて確認しただけだ」
ナズナは初耳って表情をしているが。
多分忘れてたな。
「ルールその二! 俺がよく知らないものは召喚できない!」
つまり、SFに出てくるような現実的にありえない機械などは当然無理。
地球に存在していて、俺が名前しか聞いたことがないような化学薬品等も無理。
おまけに、パフムの花など、異世界特有の物も無理ときたもんだ。
この、詳細を知っている必要がある。という仕様がどれほど厳密なものなのかはわからないがな。
剣が召喚出来ていたので、そこまで厳しくはないと思いたい。
「なるほど、パフムの花が召喚できなかったのはそういうことですか」
「そうだな。少なくとも、俺が見たこともない物は召喚できないらしい」
「ねぇ、その話いつまで続くの? 飽きた」
エレノラが文句を言ってくる。
そもそもお前がちゃんと説明しとけば、俺がわざわざ実験なんてしなくてもよかったんだけどな!
「あと一個だ。っつーことで、三つ目! 生物は召喚できない!」
「ふーん」
「おいナズナ。なんだふーんて。興味無しか」
「だってどうでもいいもん」
「よくねぇよ! この仕様のせいで俺のサキュバス大量生産作戦がおじゃんになったんだぞ!」
俺は血の涙を流して、熱弁する。
正直、他の縛りはどうでもよかったが、これだけはショックだった。
おかげで、ストレスやらナニやらが暴発しそうな勢いで溜まっているのだ。
風呂とか覗かせてくれないだろうか。先っぽだけでいいから。
「大声で何叫んでるんですか!」
「うるせぇよ! お前らにはわかんないよ! この男の子の苦しみはよ!」
「なんでちょっと泣いてるんですか! 気持ち悪い!」
ずずっと鼻をすすり、俺は前を向いた。
そろそろ探索に集中しよう。
エレノラがさっきから俺のスネを蹴り続けているしな。子どもかって。
「あ、扉があるよ」
ナズナが、新しい部屋を見つけたようだ。
見ると、左の壁に文字の痕跡があった。掠れていて、読むことはできないが。
ここから先は、一層注意しなくてはいけないな。
流石に、ふざけてはいられない。
金属製の扉を開けると、まずそれらが目に入った。
ずらりと並べられた土気色の人形。西洋風の甲冑をかたどっているように見えなくもないが、明らかに、人間が着れるような形ではなかった。
胴体には土器を思わせる不可思議な文様が描かれており、魔法的な存在であることを感じさせた。
全長二メートルほどのそいつらの中の一体は、俺たちが部屋の中に入った瞬間、その体に光を灯す。
「クレイゴーレムです! 本当に気を付けてください! スライムなんかとはわけが違います!」
モニカがこれまでになく緊迫した声をあげる。
それほど、こいつが危険だということだろう。
ゆらりと立ち上がったそいつは、敵意をむき出しにして、ゆっくりと歩む。
事前情報では、ゴーレムという種族は体は材料となった素材に依存した硬度と、魔法耐性をもつらしい。
確か、クレイゴーレムはそこまで硬くないという話だったはずだ。
それでも、この研究所で最も強い種族。甘く見てはいけない。
「エレノラ! 支援魔法を頼む!」
「まっかせといて!」
「ナズナも、なるべく強い魔法を!」
「うん!」
「モニカは俺と壁役だ!」
絶壁だけにな。
「なんだか失礼な目線を感じましたが任せてください!」
土の巨人は、雄叫びなどは発さない。
ただ、駆動音を鳴らしているだけだ。
戦闘が、始まった。




