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15.インタビューウィズエレノラ

よろしくお願いします!

 俺とモニカは、エレノラに聞きたいことを聞きまくった。何も考えてなさそうなツラをしているが、腐ってもこいつは女神だ。どんな考えがあるのかを知りたかった。


 ちなみにナズナはエレノラの髪を弄り回して遊んでいるだけである。一切、興味がないのだろう。


「そもそも、お前は何で肉体まで用意して、現世に来たんだよ。あれか? 俺に会いたかったのか?」


「モニカたちから散々なことを言われても、まだそのセリフが吐けるメンタルは評価するよ。おめでたいね」


「おめでたいってそれ絶対良い意味じゃないだろ」


「当然! ……で、私が受肉した理由だけど、簡単に言って、暇つぶし。だね」


 エレノラがアンバランスな胸を張って、自信満々に言う。

 おっと? まさか、本当に何も考えていないのか? 見た目だけじゃなく、中身も幼女なのか。もしかして。


「それと、君が、私が可愛かったら敬ってやるよ。なんて言ったからだよ。私は敬われたい。チヤホヤされたい。つまり、原因は君にある。QED」


「ちょお待てや。何、責任転嫁で証明終了してんだ? お前はアホか? パフムの花の香り嗅いじゃったのか?」


「しょうがないじゃないか! 神様って本当に退屈なんだよ!? 思わず抽選で人を選んで転生させちゃうくらいには!」


「それで俺が呼び出されたのかよ。次回からは厳密な審査を通すべきだな」


「自分で言うくらいならその態度を改善してほしいものだね」


 うむ。なるべく前向きに、できる限りの努力をしつつ善処する方向性で考えてみよう。


「では、目的はないのですか? これからどうするか。などは?」


「全然?」


 ケロっとした表情で、エレノラは言った。腹立つなこいつ。美幼女じゃなかったら蹴とばしているところだ。


「一応、皆のパーティに入ろうかなって考えてるよ」


「いや、考えてるよ。じゃねぇよ。俺たちの同意抜きで決めてんじゃねぇ」


「私、けっこう使えるよ? 攻撃魔法とかはあんまり使えないけど、支援魔法なら得意だし」


「え? お前、神様なのに攻撃魔法使えないの?」


「この体では、ね。あんまり大きい魔法を使っちゃうと、余波で肉体がミンチになるから」


 うえぇ。マジかよ。俺、幼女のグロ画像は見たくないぞ。


「お前、絶対攻撃はするなよ」


「わかってるって」


 ホントかよ。心配だなオイ。


「そもそも、肉体がその子どもであるなら、冒険に出ることも危ういのでは?」


「そこはホラ、私は後衛にいればいいし。ラインズが身を挺して私を守って死んでくれるし」


「おいコラ。俺が死ぬことまでプランに入れるんじゃねぇ」


「なるほど。戦力も増加して、邪魔者も消える。一石二鳥ですね」


「お前も肯定しちゃダメだろ! 俺なら何を言ってもいいわけじゃねぇからな!?」


 つくづく、俺の周りにはまともな女子がいない。本当に優しいのはナズナくらいだろ。多分。


 そのナズナだって、アホの子だけどな。見た目からして。


「そもそもな? お前はどこに寝泊まりするつもりなんだよ。さすがに、幼女一人じゃ、クラウスさんも認めてくれないだろ」


「え? 君の部屋でしょ? 何を言ってるの」


「お前が何を言ってんだ! ……マジで?」


「マジマジ。大マジだよ」


「エレノラさん。それは大変危険です。こいつは大罪人だと思ったほうが良いですよ。性犯罪者です」


「なんだ、大罪人って。そこまで悪いことはしてねぇだろ。全部未遂だろうが」


「未遂だとしても心当たりがあること、そして未遂を全く悪いと思ってないところが危険だということに気づいてください。冗談抜きで」


 お、おう。冗談抜きで注意されてしまった。この年になって。恥ずかしい。


「まあ、ラインズはヘタレのクソ雑魚童貞だから。いざ、ってなると何もできないはずだよ」


「ふざけんなよ。お前に俺の何がわかるってんだよ。……大体あってるよバカヤロー!」


「確かに。それもまあ当然ですね。それでしたら、経済的負担はラインズにかけましょう」


 俺の意思が全く入らずに、着々と幼女を養わなければいけないことが確定していく。

 幼女を養う。意外と素敵な響きだな。まあ、俺はロリコンじゃないが。


「難しい話は終わった?」


 いつの間にか、エレノラの髪をツインテールにしていたナズナが、いつも通りのアホみたいな面構えで問いかけてくる。


 そんなに、難しい話ではなかったと思うが。


「それで、エレノラちゃんは結局、ラインズの妹さん。ってことでいいんだよね」


 あ? 突然、何をのたまっているんだよ。論理が飛躍しすぎだよ。大気圏も超えるかってくらいの勢いだぞ。


「あ、そうそう。それであってるよ。オールオッケー」


 エレノラもエレノラで、妹設定を認めていた。確かに、今後、いちいち女神です。なんて自己紹介するわけにもいかないから、都合はいいと思うが。


 自称女神なんて、マジで頭がおかしいと思われそうだ。


 それにしたって、なんかこう、俺の意思を確認しなさいよ。あなたたち。


「それで、話し合いの結論はどうなったの? 要点だけわかりやすく教えて!」


「俺の妹、エレノラ。俺の部屋に住む。俺たちのパーティに入る。支援魔法が得意。以上」


「えっ!? 冒険者になるの!? 大丈……」


「その下りはもうやったんだよ。蒸し返すんじゃねぇ」


「えー!?」


 そもそも、例えこの肉体が滅んでとしても、こいつは死ななそうだ。確証はないが。なら、そこまで心配することもないだろう。


「よーし。明日、サクっと冒険者登録するぞ。エレノラ、いいな?」


「うん」


 よし。大体話はまとまったな。


「では、私たちは、そろそろこの辺りで」


 モニカたちはそう言いながら退出していった。


 多分。この後は風呂か。……今日は突撃しないでおこう。疲れた。

 隣の部屋から、『見張りは、交代制ね』とか聞こえてくるし、望み薄だな。


「あ、エレノラは、女風呂か?」


「当たり前でしょ」


「残念」


「本心を隠そうともしないな」


「隠す必要がないからな。ほらよ」


 俺は、召喚で作り出した衣服とタオルを放り投げる。

 さりげない気づかい。これは精神的イケメンの必須要綱だ。今更、手遅れかもしれないが。


「サンキュー」


 エレノラは素っ気なくそう言って、とことこと行ってしまった。女神とは思えない軽々しさだ。


 あ、そういえば、クラウスさんにエレノラの事情を話すのを忘れていた。風呂はその後だな。


 数十分後、本当に何事もなく、俺たちは風呂を終えた。

 後は寝るだけ。といった状態だ。


 就寝前に女子の部屋に行って遊んだりはしない。そんな青春イベントは、きっと、モニカの氷のように冷たい視線で打ち砕かれてしまうのだろうな。試してないけど。


「よし、エレノラ。床は使わせてやる。俺はベッドで寝るぞ」


 俺は、寝間着でベッドに座るエレノラにそう告げた。偉そうに話すことで、一応、この部屋の主は俺だという主張をしているのだ。……偉そうなのは元々か。


「恩着せがましいな! 私が文句言える立場じゃないけど!」


「わかってるじゃないか。じゃあ、それで」


「でも! 私も! ベッドで休ませてもらうからね!」


 ……うぇ?


 俺が戸惑って、何も言えないでいると、エレノラは俺が既に寝転んでいるベッドにダイブしてきた。さすがに、掛布団の中に入るようなことはしてこなかったが。


 風呂上り特有のポカポカとした空気と、今までの人生で一度もなかった美幼女との急接近に、思わずドキドキしてしまう。これは、童貞には辛すぎる。


「ふーん。えっちじゃん」


「は? キモ」


 俺が苦し紛れに放った一言は、幼女の辛辣な言葉で一刀にして切り捨てられる。


 正直、申し訳ないと思っている。


 そして、互いに何も言えない重苦しい空気が、部屋を包んだのだった。


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