糊
糊
湿気る本
午前2時の川沿い
彼らはひっそりと大から小に生まれ変わる
各々が1つ1つ意思を持ち始める
彼らは当時と変わらずに雄弁に語りだす
しかしそれらはとうにハッピーエンドへの道を閉ざし
己が道を歩み続ける
起承転結、結転承起
もはや典型などない
バラバラになった本たちは道の一部となったり、空の青さになったり、誰かの心になったりしたようだ。
僕はその中でゆっくりと息を潜めた。
僕はここにいてはいけない。
僕はここにいてはいけない。
だから蹲って、このまま砂になるのを待っているつもりだったのに。
君は僕の肩を
あんまり強く叩くもんだから、
顔を上げないといけないじゃ無いか。
立ち上がらないといけないじゃ無いか。
凝り固まった僕の心が剥がれていくようだ。
そのせいで、身体中が傷になってもいいじゃないか。
僕は歩けたんだ。
僕は歩けたんだ。
それを誇りに思うよ。
それに感謝をするよ。
今の僕は前よりずっと好きなんだ。
だから、ただ一言君に
「ありがとう」と言わせておくれ。