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MEZAME  作者: 夜風
1/9

MEZAME 1&2&2.5


「はぁっ!はぁっ!くそ!何でこんなことに‼︎」



ここは、某所にある穂盛江夢(ほもえむ)学園。男子校である。


本日も健全な同性愛の授業をしている途中、事件が起きた!


それは3組のマキオくんのパンツが盗まれたことでも校長が実はヅラだとバレたことでもない。


突如空から吸血鬼がやってきたのだ。


吸血鬼は生徒の血を無差別に吸っていく。すると生徒は「アーーッ♂」などという意味不明な声を上げて倒れてしまったのだった。


穂盛江夢学園の生徒である桜川咲夜(さくらがわ さくや)も必至で逃げる。咲夜は同性愛に興味がなく、常に授業をサボっている不健全な生徒である。自分が逃げる中で周りの奴らはみんな吸血鬼のエサだ。


「スーハースーハー…ああ、せめて死に際にこの匂いだけでも…!」


「おいヒロシ!何やって…ってソレ俺のパンツじゃねーか!」


「ち、違うんだマキオ!これには誤解が…」


がぶっ。


「「アーーッ♂」」


吸われた。なんかあそこでバカやってるバカが吸われた。咲夜は呆れつつも必至で逃げる。


「くそっ、こんな気持ち悪い学校に入れられただけでもおかしいってのに!急に吸血鬼なんて出てきやがって!」


非現実的な現実を受け入れられない。


「こんなことなら前の学校で貰ったラブレターの返事でも書いておくんだった…!」


リア充死ね。


「この先どこへ逃げればいいんだ…!もう逃げ場はない……‼︎⁉︎」


目の前に、いた。吸血鬼だ。


リア充もとい咲夜の前に吸血鬼が現れた。やったぜ。


だが吸血鬼はそのまま動かない。じっと咲夜を見つめている。


「な、なんだ…」


咲夜は訝しげな目を向ける。すると吸血鬼は、


「…//」


頬を赤らめたように見えた。だが吸血鬼に感情などあるのだろうか。さらに、


「……」


咲夜に向けて四つん這いになり、尻を見せる。


「…え」


動揺した咲夜の上から突然鞭が降ってきた。


「えぇ…まさか」


「…//」


そういうことらしい。えぇ…やだなー。R18にしたくないなー。ちょっと表現を和らげるかなー。みたいな作者的思考を持った咲夜。だがこれで吸血鬼を撃退できるかもしれない。


「くっ…!」


覚悟を決めたのか、鞭を持って―



ぴしっ。


あうっ。


ぴしっ。


あうっ。


ぴしっ。


あうっ。


(諸事情により表現を抑えています)



こうしてなんやかんやあって世界は救われた。


おわり


MEZAME 2




「うあああああ‼︎」



早朝6時。目覚まし時計が鳴るよりも早く、少年―桜川咲夜は悲鳴を上げる。


悪夢を見た。


突如自分の通う高校に吸血鬼が出現し、生徒たちの血を吸い最終的にはその吸血鬼が咲夜に惚れた、という内容だ。


聴けば変な内容なのだが咲夜本人にしてはとんでもない地獄だった。


まあ夢は夢だ。


夢は夢だし、夢なき夢は夢じゃない。あ、これ別作品だと咲夜は思う。


とりあえず早く学校に行かねば。



そこそこ繁栄した街・芸百合(げいゆり)の端にある穂盛江夢学園が咲夜の通う男子校である。


日々同性愛を学ぶため生徒たちは汗を流しながら活動をしている。咲夜は同性愛に興味のない不健全極まりない生徒であり、授業もサボるのが日課だ。ではなぜこの学校に通ったのか…。まだ誰も知らないままだ。


ホームルーム前の穂盛江夢学園は騒がしい。あちこちから「おぉう♂」とか「アーッ♂」とか聞こえてくる。生徒たちが自習をしている証拠だ。


向こうでは「おいヒロシ、俺のジャージ知らね?」「しっ⁉︎ししし知らないけどぉ⁉︎マキオは物の管理がなってないなーまったくあははは」「ちょ、ヒロシ今後ろに何隠した⁉︎」などと声がする。この2人は昨日死んだはずじゃ…と咲夜は思ったが夢の話だった。でもとりあえず死ねと心底感じた。


「…そういえば、今日から教育実習の人がくるのか」


こんなふざけた学校に教育実習に来るなど、相当哀れだなと咲夜は思った。


ホームルームの時間になると担任が入ってくる。


「えー、今日から教育実習の人がこのクラスの副担任をすることになった。どうぞこちらへ」


その副担任とやらが教室に入ってくる。


―ん?この顔どこかで…。


咲夜はじっくりと見つめるが思い出せない。


すると副担任は咲夜の視線に気付き、


「……//」


―ま、まさか…


咲夜が何かを察した瞬間、空が大量の雲で覆われたのだった。



MEZAME 2.5



「ぬわぁ~!!遅刻しちゃうよ~」



少女―性全 如神根(しょうぜん じょしね)は駅に向かって走る。


遅刻はいつものことだったがその朝はいつも通りではなかった。


そこそこ繁栄した街・芸百合の端にある湯利江巣(ゆりえす)学園が如神根の通う女子校である。


日々同性愛を学ぶため生徒たちは汗を流しながら活動をしている。如神根は同性愛に興味のない不健全極まりない生徒であり、遅刻するのが日課だ。ではなぜこの学校に通ったのか…。まだ誰も知らないままだ。



駅では一緒のクラスの二人の少女―近藤 夢否 (こんどう むいな)中田 梓 (なかだ あずさ)が待っていた。


「ごめん~遅れて」


急いで駆け寄る。


「処女っち遅い!電車来ちゃうよ!!」


夢否が文句を言う


「その名前でよばないでよ!!」


「ダ~メ!遅れた処女っちが悪いんだよ」


「もぉ~やめてくれないとコンドームって呼んじゃうんだから!」


「そんなのどうでもいいからさ、電車きちゃうょ」


梓が二人の会話を遮る。


「「どうでも良くなんかないよ!!」」


はもった。


「梓ちゃんだって中出しって言われたら嫌でしょ!」


如神根が言い返す。


「嫌だけどさ、遅刻で怒られるのも嫌だ」


「わがままだな~どっちか我慢しな」


夢否が言う。



そんなこんな話していたら、駅のアナウンスが鳴り始めた。


それは、三人が乗るはずだった電車の発車のしらせだった。



「「「あ…」」」



くだらない会話のせいだ如神根の苦労は無駄になったのだ。



「あぁ~また遅刻か…そうだ!せっかくだから学校サボろうよ」


夢否が提案する。


「いいね!いいね!」


「え…それってまずくない」


賛成する如神根と反対する梓。いつもの光景である。


「二対一でサボり決定ね!じゃあさっそくどこ行こうか」


二人の話がどんどん盛り上がっていく。


「いっつもこうなんだから…」


あきれる梓であった。



その時はしゃいでいた如神根が男の人とぶつかった。



「あっ…ごめんなさい!」


「すまない。僕の方こそよそ見をしていてね。」


とても色白でこの世のものとは思えないほどイケメンだ。


「そうだ、君たち穂盛江夢学園へ行くにはどの電車にのればいいのかな?」


男がそう問いかけた。だが、如神根の耳には届いていなかった。


なぜなら。同性愛に興味のない不健全極まりない生徒の彼女はこの男に見とれていたからだ。


「かっこいいひと…」


回答になってない。


如神根にかわって梓が答える


「三番線の電車に乗ればいけますよ」


「そうかい。ありがとう」


男が笑顔で去る。


行ってしまう。如神根は追わなければいけない。そんな気がした。


「あ、あの!送りますよ」


とっさのでた言葉だった。


「何言ってるの処女っち!これから遊ぶって言ったじゃん」


「ごめんねコンドーム。送ったらすぐ行くから中出しと二人で遊んでて」


ひどい名前だけどR18にしたくないな。みたいな作者的思考を持った梓であった。




如神根と男と別れた無否と梓。


梓が聞こえない声でつぶやく。


「二人っきりになれて嬉しいな…」


そう。彼女は同性愛者の健全な生徒の一人であったのだ。




電車に乗った男と如神根は会話を楽しんでいた。


「悪いね。案内してもらって」


「いえ!ぜんぜん大丈夫です!でもなぜ穂盛江夢学園に?」


この男は学生には見えない。あそこは普通の男子校だったはず。


「僕教育実習生でこれからあそこでお世話になるんだ。でもいまいち場所がわからなくてね。」


「そうだったんですか!先生なんてすごいです」


あそこの高校の生徒が羨まし。


「君は湯利江巣学園の生徒だよね?」


「あ、そうです!」


「制服でわかったよ。君の学校と穂盛江夢学園は繋がりがあると聞いたよ。近いうちに何か一緒にイベントをやるらしいね。」


「そうなんでか!?私あんまり話聞かないんでしらなかったです」



会話の途中だが電車が目的の駅についた。



「君にはまた会えるかもね。ここからは一人でも大丈夫だよ。ありがとう」



男はそう言うと電車から降りた。



もう行ってしまう。まだ会ったばかりなのに。せめて名前だけでも…



「あの!」



男は振り返った。



「お名前伺ってもよろしいですか?」



男は優しく微笑んでつぶやいた。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォ!!



しかし彼の声は反対車線の電車にかき消されてしまった。



ドアが閉まる。



「まって!」



しかし電車は止まらない。



あぁ…行っちゃった…結局何も聞けなかったよ…



静かに窓の外を見る。



「また会えるかな…」



そうつぶやくのだった。大量の雲で覆われ始めた空を眺めながら。



おわり








































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