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9話 影の竜

「さぁ、早く行きましょう。少し遅くなっちゃったけど、今から急げば日が暮れる前には町に着けるはずよ」


 今まで木陰で座り込んで休んでいたメンティーラさんがそういった。


「メンティーラ…もうちょっとくらいゆっくりさせてやっても…」

「大丈夫…」

「アシュレイ…本当に大丈夫なのか?」

「うん…」

「そうか…ならいいんだが…」


 ライさんは心配してくれているようだったが、私は本当にもう大丈夫だった。ムートにはさみしい思いをさせてしまうかもしれない事だけが心配だと思ったが、すぐにその心配は無くなった。ムートが大丈夫だと、そういっているような気がした。


「それなら行くか」

「えぇ、少し急げば日が暮れる前に森を抜けられるわ。森を抜けさえすれば日が暮れた後でも王都まで行けるわ」

「よし、リューゲ、警戒は任せたぞ」

「あぁ」

「シュヴァルツ…たちも…お願い…」

「「「「「ガウッ」」」」」

「よし、出発だ!」

「ムート…元気でね…」


 私がムートに別れを告げその場から立ち去ろうとしたその時


「ガウッ!!」

「っ!みんな!何か来る!」


 シュヴァルツとリューゲさんが警戒の声をあげた。そして…


「ゴアァァァァァァ!!!!」


 一匹の黒い竜が飛来し、ムートの墓を踏み潰した。


「シャドウドラゴン!?なんでこんな浅いところに…!!」

「そんなことはどうでもいいわ!それより今は逃げることを考えましょう!!」

「あぁ、ライ、メンティーラ、アシュレイ、ばらばらに逃げるぞ…固まって逃げたら全滅してしまうかもしれない…アシュレイ?」


 あのドラゴンはムートの墓を荒した。ムートの眠りを妨げた…私たちが去った後、静かに眠るだけだったはずのムートの眠りを…

 そこまで考えたところで、私は湧いてくる怒りに身を任せた。


「アシュレイ!?おい、早く逃げろ!」

「…『ダークランス』」


 アシュレイの目の前に約20個の魔方陣が展開される。


「っ魔方陣!?それに、何この数!」


 魔方陣から闇の槍が出現し、シャドウドラゴンに向かって飛んでいく。その間にアシュレイはドラゴンに対して上級鑑定を使う。


種族:シャドウドラゴン

性別:オス

Lv50

HP:10000/10000

MP:13000/13000

STR:500

DEX:380

VIT:600

INT:650

AGI:400

MND:540


 スキル

・飛行

・威圧Lv6

・咆哮Lv6

・ブレスLv7

・影纏Lv7


 属性

・影魔法Lv7


 シャドウドラゴン。上位竜に分類される竜種だ。そして、上位竜だけあってさすがに強い。でも、私の方が上だ。

 20個のダークランスがシャドウドラゴンに殺到する。しかし、シャドウドラゴンが影纏のスキルを使い影の鎧を展開すると、すべてはじかれてしまった。


「ゴアァァァァァァァ!」

「アシュレイ!逃げるんだ!」


 リューゲが叫ぶが、アシュレイは次の魔方陣を展開する。


「…『ダークランス・スピン』」


 アシュレイの目の前に再び魔方陣が展開される。今度は倍の40個。


「なっ、さっきの倍!?」


 魔方陣から回転する闇の槍が出現し、再びシャドウドラゴンに殺到する。

 シャドウドラゴンは影の鎧を貫くことはできないと思っているのか、その場から動かない。そして闇の槍がシャドウドラゴンに迫り…影の鎧を貫通した。


「ゴアァァァァァァァ!?」


 40の闇の槍が影の鎧を貫通し、シャドウドラゴンに突き刺さる。

 しかし、さすがに上位竜だけあって、致命傷を負うには至らない。


「ゴアァァァァァ!!」


 アシュレイに対する認識を無力な餌から敵に改めたシャドウドラゴンは影のブレスを吐く。


「『時空壁』」


 アシュレイの目の前の地面に魔方陣が現れ、そこに不可視の壁が現れる。そこにシャドウドラゴンの吐いた影のブレスが直撃し、そのまま消えてしまった。


「時空属性だと…!?」

「…『ダークランス・スピン』」


 ライが驚きの声をあげるが、アシュレイはそれを無視し、攻撃を続ける。無数の魔方陣がシャドウドラゴンを囲むようにして展開され、そこから再びアシュレイの魔法が放たれる。


「ガァァァァァァァ!!!」


 さすがのシャドウドラゴンも耐え切れず、そのまま倒れ込む。


「上位竜を…一人で倒した…」


種族:シャドウドラゴン

性別:オス

Lv50

HP:0/10000

MP:12500/13000

STR:500

DEX:380

VIT:600

INT:650

AGI:400

MND:540


 スキル

・飛行

・威圧Lv6

・咆哮Lv6

・ブレスLv7

・影纏Lv7


 属性

・影魔法Lv7


 私はシャドウドラゴンの死体に近寄り、吸血をする。


名前:アシュレイ・ルージュ

種族:吸血鬼

性別:女

年齢:7

Lv10 [4↑]

HP:39000/39000 [23000↑]

MP:75000/75000 [53000↑]

STR:2500 [1400↑]

DEX:2600 [1600↑]

VIT:4900 [2700↑]

INT:9800 [6200↑]

AGI:4600 [2700↑]

MND:780 [390↑]


 スキル

・吸血

・霧化

・高速再生Lv10

・飛行

・吸血吸収Lv10

・オールウェポンLv10

・隠蔽Lv10

・隠密Lv10

・大鎌術Lv10

・無詠唱

・テイムLv10

・上級鑑定

・連携Lv7(1280)

・指揮Lv2(20)

・怪力

・影纏Lv7(800) [2↑]

・威圧Lv6(320) New!

・咆哮Lv6(320) New!

・ブレスLv7(640) New!


 属性

・闇魔法Lv10

・光魔法Lv10

・召喚魔法Lv10

・時空魔法Lv10

・影魔法Lv7(1060) [1↑]


 称号

・転生者

・ドラゴンスレイヤー New!


 新しい称号が増えていた。意味はそのままだろう。そして相変わらずレベルの横に表示されている数字がなんなのかはわからないけど、置いておくしかできない。そして、もっとLvが上がると思っていたけど10までしか上がってなかったみたいだ。不思議だ。


「アシュレイ…すごいな…一人で上位竜を倒すなんて…いや、すごいなんてもんじゃない…」

「…ライさん」

「ん?どうした?」

「…怖がられるかと…思ってた…」

「あぁ、たしかに上位竜を一人で倒す少女なんて怖がられるかもな」

「っ…」

「でも、アシュレイは優しいってことを知ってるからな」

「…ありがと…」

「あぁ」


 こんな化け物みたいな強さを持っていたら怖がられると思っていた。でも、違った。ちゃんと怖がらずに接してくれる人がいた。

 それがわかって、私はうれしかった。

 この人たちとなら、一緒に居られるかもしれないと思った。

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