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8話 森の異変

 ダークウルフに抱き着きながら考える。

 もし、私がシャドウベアーを倒していたなら、シャドウウルフは死なずに済んだのではないだろうか。

 もし、私がシャドウウルフをシャドウベアーの魔法から守っていたなら、シャドウウルフは死なずに済んだのではないだろうか。

 もし、私がただ見ているだけではなく戦いに参加していたなら、シャドウウルフは死なずに済んだのではないだろうか。

 シャドウウルフを殺したのは、シャドウベアーではなく、私ではないのだろうか。

 そんなことを考えていたとき


「クーン…」


 ダークウルフが私の顔を舐めた。


「それっ…くすぐったいっ…」


 私はすぐにダークウルフから顔を離した。

 すると、ダークウルフは私の顔を覗き込んできた。言葉は分からないけど、なぜか言いたいことは分かった。

 その顔は、お前のせいじゃないと言っていた。だから、心配するなと言っていた。

 そして、私は初めて気が付いた。自分自身が、無意識に見捨てられることを恐れていたことに。

 シャドウベアーを倒すことによってライさんたちに怖がられ、見捨てられることを。

 シャドウベアーを死なせてしまったことによって、ダークウルフたちに見捨てられることを。

 私は無意識に恐れていた。


「うん…ありがとう…」


 私はダークウルフにそういった。そしてまたダークウルフの体に顔をうずめる。ダークウルフはじっとおとなしくしていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 しばらくしてライさんとメンティーラさんが戻ってくる。剥ぎ取りを終えたのだろう。


「待たせたな。とりあえず、シャドウウルフを弔ってやろう」

「うん…あ…ちょっとまって…」


 少し待ってもらうように伝え、私はシャドウベアーの死体に近づく。そしてその死体に吸血をする。


「っ…吸血鬼…」

「ライ…落ち着け…」

「あぁ…」


 吸血を行ったことによりアシュレイが吸血鬼だと分かった瞬間、ライの表情が険しくなる。しかし、それにアシュレイが気づく前にリューゲがライをなだめ、ライの表情は元に戻る。


名前:アシュレイ・ルージュ

種族:吸血鬼

性別:女

年齢:7

Lv6 [1↑]

HP:16000/16000 [3000↑]

MP:22000/22000 [3000↑]

STR:1100 [140↑]

DEX:1000 [210↑]

VIT:2200 [500↑]

INT:3600 [800↑]

AGI:1900 [300↑]

MND:390 [60↑]


 スキル

・吸血

・霧化

・高速再生Lv10

・飛行

・吸血吸収Lv10

・オールウェポンLv10

・隠蔽Lv10

・隠密Lv10

・大鎌術Lv10

・無詠唱

・テイムLv10

・上級鑑定

・連携Lv7(1280)

・指揮Lv2(20)

・怪力 New!

・影纏Lv5(160) New!


 属性

・闇魔法Lv10

・光魔法Lv10

・召喚魔法Lv10

・時空魔法Lv10

・影魔法Lv6(420)


 称号

・転生者


 しっかりとスキルが追加されているのを確認して、ライさんたちの元に戻る。


「おまたせ…」

「あぁ、じゃあ、さっそく弔ってやるぞ」

「…うん」


 ライさんがシャドウウルフの死体を少し開けたところに置く。


「メンティーラ、頼む」

「分かったわ。でも、火葬用の魔法なんて使えないから、簡易的なものになるわよ」

「あぁ、かまわない。アシュレイもいいか?」

「うん…大丈夫…」


 メンティーラさんが魔法を使う。


「『ファイア』」


 シャドウウルフの死体に火がつく。


「ありがとう…ごめんね…助けられなくて…」


 シャドウウルフにお礼と謝罪をする。そしてしばらくシャドウウルフの死体が燃えていくのを眺めていた。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「そういえば、なんでシャドウベアーがこんな浅いところにいたんだろうな…」


 そうリューゲさんがつぶやいた。


「確かに、聞いた話によるともっと奥の方に居るはずだが…何かあったのか?」

「分からないけど…今は帰ることにしましょう。今から移動すれば日が暮れる前には森を抜けられるわ」

「あぁ…帰ったらギルドに報告することにしよう。さて、墓でも作ってやるか。アシュレイ、少し灰を持っていくだろう?」

「うん…持っていく…」


 異変について、ダークウルフなら知っている気がしたけど会話はできないから聞きようがないから、あきらめることにした。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 それから、シャドウウルフを燃やした灰を、ライさんからもらった瓶に入れてメンティーラさんからもらった紐で瓶ごと首から掛けれるようにしてもらった。時空魔法を使って保管してもよかったけど、ライさんたちはまだ私が時空魔法を使えることを知らないからそうしてもらった。


「よし、じゃあこの木の板を立てたら完成だな」


 さっきからシャドウウルフの墓を作ってくれていたライさんがそういった。ライさんが持っている木の板は、さっき木から削って作ってくれていた。木の板を建てる予定の場所の下には瓶に入らなかった灰が埋まっている。こんな森の中で墓を作ってくれたライさんたちには感謝しなければ。


「そういえばアシュレイ、あのシャドウウルフに名前は付けてあるのか?無いならシャドウウルフって書くが…」


 名前か。そういえば付けていない。どうしようか…


「今から…つける…ちょっと…まって…」

「分かった。いい名前を付けてやれよ」


 一匹だけつけるわけにはいかないから六匹全員の名前を考えなきゃいけない。ちょっとシンプルになっちゃうけどいいか。

 まずダークウルフ。こいつはオスだからオスらしい名前にしなきゃな。うーん…よし。


「あなたの…名前は…シュヴァルツ…よろしくね…」

「ガウッ!」


 次に一番近くにいたシャドウウルフ。この子はオスだっけ、メスだっけ…メスだね。じゃあメスってわかるように付けてあげないと。えーっと…うん。


「あなたは…レティ…よろしくね…」

「クーン」


 次のシャドウウルフ。この子はオスだ。じゃあ…


「あなたは…ガンツァ…これから…よろしくね…」

「ガウ」


 次のシャドウウルフは…いた。この子はメスか…それじゃあ…


「あなたは…シィ…よろしくね…」

「クーン…」


 残りは…あそこの子か。あの子は…オスか。よし…


「あなたは…ロン…よろしくね…」

「ガウゥ」


 これで五匹つけ終わった…あとは…あの子はオスだから…うん。


「ライさん…」

「お、名前決まったか?」

「うん…あの子の…名前…ムート…」

「ムートか…よし。あとはこいつを…これで完成だ」


 土で灰を埋めその上に名前を書いた木の板を立てただけの、簡単なお墓が完成した。たとえ簡易的なものでも、私にとってはすごく重要なもののように感じられた。


「簡単なのしか作ってやれなくてごめんな」

「ううん…大丈夫…簡単なのでも…お墓だから…」

「そうか…」

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