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7話 影の熊

 茂みを掻き分け姿を現したのは真っ黒な熊だった。


「ガァァァァァァァァ!!!」

「っ!!なんでこんな浅いところにシャドウベアーが…」


 私はシャドウベアーのステータスを調べるために上級鑑定を使った。


種族:シャドウベアー

性別:メス

Lv30

HP:1000/1000

MP:400/400

STR:150

DEX:30

VIT:100

INT:90

AGI:40

MND:60


 スキル

・怪力

・影纏Lv5


 属性

・影魔法Lv4


 強い。少なくとも、ライさん一人では負けてしまうだろう。そして、おそらく三人で相手をしても怪我を負ってしまう。けど、私だったら多分一撃で倒せてしまう。けど、それだとライさんたちに怖がられてしまうかもしれない。だから、私はこうする。


「ダークウルフ…シャドウウルフ…行って…」


 私の指示を聞いたダークウルフとシャドウウルフ達はすぐに影に潜るそしてシャドウベアーに襲いかかった。


「シャドウウルフ…アシュレイの指示か。心強いな」


 そういいながらライもシャドウベアーに向かって行った。


「はぁっ!!」


 ライがシャドウベアーに切りかかる。しかし


「っ!」


 ライが切りかかった瞬間、シャドウベアーの全身に毛と同じ真っ黒な鎧が現れた。おそらく、影纏のスキルだろう。


「影の鎧か、こいつは厄介そうだ」


 シャドウベアーが腕を振り襲いかかる。ライは後ろに下がり避ける。


「『ファイアーランス』!」


 そこにメンティーラの魔法が飛んでくる。


「ガッ!?」

「魔法も鎧に防がれるのね…これは少し辛いわね」


 シャドウベアーは炎の槍を受けて一瞬怯んだが、ダメージはそこまで無いように見える。


「だったら鎧で覆われてない部分を狙って…」

「ガァ!」


 シャドウベアーの鎧に覆われていない部分を狙ってリューゲが弓を放つ。そしてそれは見事に鎧に覆われていない部分に刺さり、さすがにシャドウベアーもダメージを受けたようだ。そしてシャドウベアーは一番近いところに居たライに襲いかかろうとする。


「ガゥ!」


 そこにダークウルフが跳びかかる。そしてシャドウウルフ達も一斉に跳びかかる。


「「「「「ガルッ!!」」」」」

「ガァァァァァ!!」

「「「「「キャウンッ!」」」」」


 シャドウウルフたちが一斉にシャドウベアーの鎧に覆われていない部分を爪で切り裂く。しかし、その攻撃を受けた直後にシャドウベアーの反撃により吹き飛ばされてしまう。


「ワォーーン!!」


 シャドウウルフたちが吹き飛ばされるのを見たダークウルフが闇魔法を発動する。


「ガァッ!」

「ガゥッ!?」


 しかし、それは影を爪に纏ったシャドウベアーによりかき消されてしまう。そしてダークウルフも吹き飛ばされる。


「おらぁ!」

「ガッ!?ガァ!!」

「ぐっ…」


 ダークウルフを吹き飛ばしてできた隙にライが切りかかる。すぐにシャドウベアーに反撃されるも、それは盾で受け止める。


「今だ!」

「『ウィンドアロー』!」


 ライが距離を取りながら叫び、そこにメンティーラの魔法が撃ち込まれる。翼を使って空を飛びながら上空から鎧のない部分に向けて、風の矢を飛ばす。それはひとつだけではなく5つ同時に飛んでいく。


「ガァァァァ!!!」

「やったか!?」


 メンティーラが撃った魔法は全て鎧の無い部分に命中した。そしてシャドウベアーが倒れていく…が


「ガァッ!!」

「キャインッ!!」


 シャドウベアーは倒れるときに影魔法を使い、一番近くにいたシャドウウルフに攻撃した。シャドウウルフのすぐ下の影が尖り、シャドウウルフを貫く。


「っ!?」


 私は急いでそのシャドウウルフに近づき、抱きしめる。


「クーン…」


 しかし、シャドウウルフは動かなくなる。


「大丈夫?…」


 シャドウウルフから返事はない。


「ねぇ…嫌…」


 私の目から涙が溢れる。たとえ出会ってから1日しかたってないとはいえ、死んでしまうのは嫌だ。


種族:シャドウウルフ

性別:オス

Lv25

HP:0/400

MP:300/300

STR:60

DEX:20

VIT:70

INT:75

AGI:50

MND:40


 スキル

・連携Lv4


 属性

・影魔法Lv2


 周りにダークウルフや他のシャドウウルフたちも集まってくる。そして動かなくなってしまったシャドウウルフに擦り寄る。


「アシュレイ…残念だがそいつはもう死んじまってる…死んじまった生き物は生き返らないんだ…わかるだろ?」

「嫌…」


 そんなことは分かってる。けど、それでも、悲しいものは悲しいんだ。嫌なものは嫌なんだ。


「クーン…」

「うん…大丈夫…」


 ダークウルフが心配して擦り寄ってくる。けど、もう大丈夫…ずっと一緒にいたシャドウウルフ達が引きずっていないのに私が長々と引きずるわけにはいかない。


「ライさん…この子…どうすればいい…?」

「そうだなぁ、弔ってやるとなると、埋めるわけにもいかないし燃やすかなぁ…」

「まって、その子の素材を使ってアシュレイちゃんに装備を作ってあげましょう。その方がその子も喜ぶと思うわ」

「けど、こいつ1匹の素材だけじゃ足りないと思うんだよなぁ…」

「だったらそこのシャドウベアーの素材も使えばいいわ」

「そうするか」

「え…でも…シャドウベアーは…ライさんたちが…」

「きにすんな。それにシャドウウルフ達も手伝ってくれたしな」


 そういってライさんはシャドウベアーから素材をはぎ取りに行く。


「じゃあアシュレイちゃん、その子からも素材を取るから…ちょっと貸してくれるかしら?」

「うん…」


 シャドウベアーはメンティーラさんに渡す。私は解体の仕方も分からないから頼むしかない。リューゲさんは弓を構えながら周りを警戒している。


 それから私はライさんとメンティーラさんが素材をはぎ取り終わるまで、ダークウルフに抱き着いていた。

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