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4話 魔力の測定

 すみません、今回短めとなっております。

 さらに2年がたち、私は7歳になった。この2年の間で私は魔力の扱いを覚え、魔法の使い方も覚えた。両親やネロはそのことを知らない。私が本を読んで独学で覚えたからだ。

 私の家の中での立ち位置は2年前と変わらない。いや、もっと悪くなっているともいえる。私の過ごし方はこの2年で全く変わっていない。一日中部屋にこもり本を読む。部屋から出るのも会話をするのも必要最低限だけ。のびた髪を切らずにそのままにしているせいで不気味さが増している。使用人からは無愛想だと陰口をされ、親は一切私には構わずにネロの相手ばかりする。それでも、ちゃんと食事は出るし使用人も身の回りの世話をしてくれる。それに、ネロはまだ時々遊びに来てくれる。だから悲しくはない。


 今日は魔力を調べるらしい。今日調べるのは魔力量と属性だけで、本格的なステータスを見るのは10歳になったときと聞いている。それは人間などの寿命が短い種族に比べて、吸血鬼やエルフなどの寿命が長い種族は成長が遅いからだ。


 魔力を調べるための道具は、水晶球みたいなものだった。魔力量で光の大きさが、属性で光の色が変わるらしい。そして鑑定を使ってみて分かったことだが、この道具、測れる魔力の量に限界があるようだ。そして、私の魔力はその限界を超えている。限界を超える魔力を測ることはおそらくできない。そして、測ろうとした場合どうなるかは分からない。測らない方が安全なのだろうが、私にはどうすることも出来ない。


「まずはネロ、これに手を置きなさい」


 父親がネロにそう促す。ネロは言われるがままに手を置く。すると、水晶玉に赤色、緑色、茶色、青色、黄色、水色、黒色の光が現れた。水晶球の中にあらわれた光の大きさは、水晶球いっぱいにまで広がっている。


「7属性だと!?それにこの魔力量!この年でこの魔力量は見たことがないぞ!」

「やっぱり私の子ね!大きくなるのが楽しみだわ!」


 両親はとても興奮しながら喜んでいる。ネロもうれしそうだ。


「さぁ、次はアシュレイの番だ、早くしなさい」


 父親がそう促してくる。仕方がない、なるようになるしかない。

 水晶球に手を置く。すると水晶球に光が───現れなかった。


「何?魔力がない…だと?」


 父親がそうつぶやき、蔑むような目を向けてくる。


「魔力が無い?」


 父親に続き、母親がそうつぶやく。


「出来のいいネロに比べてアシュレイは駄目ね。いつも部屋に閉じこもりっきりで不気味だと思っていたけれど、魔力もないだなんて」


 母親もそう言いながら、私を蔑むような目で見てきた。ネロも、何か言って来たりはしないがその目は明らかに私を見下している目だった。私は絶望した。ついさっきまで好意的に接してきてくれていた人が、こうも簡単に変わってしまうものかと思った。


「今日はもう解散だ。ネロは自分の部屋に戻りなさい。アシュレイは少し付いてきなさい」


 父親がそう言った。ネロは母親と共に自身の部屋に戻って行った。そして私は父親の後についていく。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 歩いている途中は特に会話をすることもなく、ただ歩いているだけだった。そして、私と父親は父親の部屋の前に付いた。


「入りなさい」


 そういって父親は中に入って行く。私もあとに続き中に入る。

 父親が自分の机から一つの水晶球のようなものを取り出してこちらに歩いてくる。


「この家には魔力の無いような出来損ないはいらない」

「そんな…」


 父親は手に持っている水晶球のようなものに魔力を込める。すると水晶のようなものが一瞬輝き、次の瞬間には私の視界は切り替わっていた。


 そこはどこかの森の中だった。家の近くにこんな森はなかったはずだ。私は家を追い出されたことに絶望した。何しろ、荷物は全て部屋に置いてあるのだ。つまり、私は今持っている物だけでどうにかしなければならない。しかし、今持っているものと言っても身に着けている衣類くらいだ。


「暗い…」


 森はとにかく暗かった。今は昼のはずなのに夜のように真っ暗だ。

 ここでじっとしていても何もできない。とりあえずどこかに移動しよう。そう決めて私は森の中を歩き始めた。

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