刑期58年
冒頭の冒頭といった感じで何一つ始まってませんが、覗いてやってください。
カンッッ
乾いた、それでいて清々しい音が鼓膜に突き刺さってきた。
『この人間を現世58年の刑に処す』
くぐもった、当然のように不快な声が鼓膜に侵入してきた。
---ちょっと待ってくれ、俺はもうあんなとこ嫌だ、考え直してくれ---
俺の声は口から発せられず脳内で響きわたる。
『今度は楽しめると良いですね』
案内してくれた女性の女神の様な微笑みがこの刑期の深刻さを物語っていた。
俺は今待機所と呼ばれる部屋で昆虫やら、動物やらおっさんやらグラマーな清楚系女子やら、多種多様な生命が待機している。
この待機所は現世、つまりは地球で人間として生を成す予定の連中ばかりだ。
皆、当然の様に暗い。
このあらゆる世界で一番しんどいのは人として刑期を全うする事だからだろうな。
俺は今回で何回目だろう。
数えきれない、というか3世代前の事は覚えていない。
さすがに半端ない情報量だからな。しかも、刑期が始まったら一旦消されるし。
今度はどうだろう。
楽しめるかな。
さっき声を掛けてきた案内の女の子をタイプの子にしようか。
それじゃあ、≪地獄≫行きの声がかかるまで、しばらく寝ましょかね。
人の歴史の裏側には様々な宗教が絡んでいると思います
色々な価値観、倫理観が描ければなと思い勉強し直してきます。
ちなみに自分は一応無宗教です。