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気になる同級生

 クラブキュイジーヌで習ったフランス料理を早速おじい様にごちそうしてみた。

「ほう、これは珍しい。なに? 箸でも食べられるようにアレンジしたと? 朱莉さんは才能があるなぁ。うむ、うまい! あっさりとして、口当たりもさっぱりとしておる。なに? 全部、和風にしてみたとな? それで醤油味……」

 という感じで好評だった。ちょうど郁哉さんも遊びに来ていて、仕事の話を聞いていたら、彼もほとんど外食だって言うじゃない。それで、お弁当を作るって言ったら、目を丸くしてた。

「いえ、驚いただけです。わたしとのお付き合いは嫌がっていたので」

「それと、健康問題は違うの。いきなり結婚なんて絶対いやなだけ」

「というと、まだわたしには脈があるってことですか?」

「それは~……」

 返答に困ってしまう。なんというか、郁哉さんみたいなイケメンにじっと見つめられて、にっこり微笑まれると、こっちが逆に照れちゃう。それになんだか意味深ににこにこ笑ってるし。

 お料理オイシイって言ってくれるのはうれしいんだけど、あんまりほめないでほしい……。だんだん顔がほてってくる。

 なんだろう、この感じ。

 年上なんて接点ないと思ってたけど、食べ物で仲良くなれるんだね。原点?

 それにすごいおいしそうに、あたしの和風フランス料理を食べてくれてる。お箸の使い方きれい……。指、細いな……。爪も綺麗。

「どうしたんですか? 顔が赤いですよ?」

「え! いえ!? あ、なんでもないです!」

 うわ! み、見とれてた。ちょ、ちょっと、綺麗かなって思っただけ! 

「大丈夫ですか?」

 そう言いながら、こっちに来ないで! きゃー! てのひら、おでこに当てないで! そんなに密着しないで! あたし、免疫ないんだから……!

 危うく、失神しかけたけど、おじい様が激しく咳払いしたおかげで、残念なことに郁哉さんは体を離してくれた。コロンのいい香りがしたな……。男の香水っていやみだと思ってたけど、郁哉さんは似合ってる気がする……。



 次の朝、執事の井上さんに郁哉さんのお弁当をことづけた。あたしと同じ内容のおかずだけど、問題ないよね? 

 教室に入ると、天使の席に見慣れない奴が座ってた。なにあのメガネ。度がきついのか、グラスの奥の目がめっちゃ小さく見える。小さいながらに紺色の瞳。金髪。そんでもってあたしと眼があってじーっと見つめ返してくる。

 まさか、あのメガネ、天使? 嘘……、マジですごいメガネ……、ぷッ。

 と思ってたら、天使、もといメガネがこっちに向かってくる。なんか、チョー怖い顔してるんですけど。こ、殺される? 

 つかつかやってきて、あたしの前に立つと、ものすごく小さい声で、「ごめん」って言って、走るように教室を出て行った。

 え?

 顔が赤くなかった? それよりになんに対してのごめん? 

 ………………。

 記憶が走馬灯のように駆け巡り、昨日の午前中のなかったことにしてしまったことが思い出された。

 思い出したとたん、あたしは顔から火が噴くくらい恥ずかしくなってしゃがみこんでしまった。

 み、見えてたってこと!? うそ~!! なんでこんな時間差攻撃受けなくちゃいけないのよ!

 クラスの御子息たちがあたしを心配してくれるのをよそに、あたしは気がすむまでうずくまってた。


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