プロローグ
ここは、人間界とは全く違った、裏表の世界、『幻想郷』。ここでは、数々の摩訶不思議な事にが起きる。幻想郷の住民はそのことを、『異変』と呼んでいる。この世界は昔、数々の異変に悩まされていた。その数々の異変を解決したのは、博麗神社で巫女をしている、通称『ぐうたら巫女』こと博麗霊夢である。
そして、今年も春がやってきた。
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プロローグ
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最近変な噂を聞く。
『ねえ、なんかさあ最近異変が多くない?』
『なんかねえ黒い巫女姿の人だったよね?』
幻想郷中に黒い巫女姿の噂が流れている。
幻想郷はごく稀に、外の世界、いわゆる大結界の向こう側の世界から、外来人、つまりは生身の人間が、紛れ込んでくることがある。外来人たちは、この世界に住むこともできる。
私はそんななか、人里離れた、山奥の神社で、いつも通り、掃除をしていた。山の上から、人里を見守りながら。
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「これでよし………。これで、この幻想郷は破滅へ向かう…。待ってろよ、博麗霊夢……。俺はお前を…」
暗い部屋の中でただ一人、準備をしている人間がいた。いや、人間ではあるが、ただの人間ではない。特定の能力を持つ人間と言った方が正しいだろう。彼の能力は二つある。まずは『空を飛ぶ程度の能力』。この能力は博麗の巫女にもある。その名の通り、ただ単に空を飛ぶだけの能力だった。
厄介なのは二つ目だ。彼にしかない能力、伊吹萃香の持っている能力に似ているが、効果が全く違う、『重力を変化する程度の能力』。これが一番厄介な能力である。
「博麗の巫女。見てろよ……」
彼はニヤリと笑うと、その場を去った。