死刑になった私の話。
ご覧いただきありがとうございます。
今回のストーリーは少し残酷な描写があります。苦手な方はページを閉じてください。
私の復讐劇、お楽しみください。
暑い夏の日だった。
久しぶりに街並みを少しだけ歩いたが、この世界は何も変わってない。
両腕には手錠がかけられた私の両手ではもう、自由になることはなかろう。
自分の足で歩くのも今日で最後かもしれない。
そんなことが頭によぎりながら警察に囲まれ裁判所に足を踏み入れた。
寒い冬の日だった。
大寒波が都心にもやってきて雪がしんしんと降っていたあの日、私は少ない給料で買った黒い車を車道に止め、食品会社の入口を見張っていた。
「崎山知佳」
私をいじめていた卑怯で卑劣な奴。
コイツは私を殺した人。
知佳ちゃんからイジメられた後、私は学校に行けなくなった。
笑うことも悲しむことも出来なくなって魂が抜けたように廃人として過ごす毎日。
それでも私は何とか高校を卒業して大学生に入学して就職した。
でもどんな時でも忘れたことはない。
私を殺した知佳ちゃんに復讐するために今まで生きてきたつもりだ。
そして今日、その決行日。私は迷わずアイツを殺す。
この日のために裏サイトで探偵を雇った。その情報によると知佳ちゃんは午後五時に退社するらしい。高校時代の卒業アルバムを開きながら出入口を歩いている人々と顔を照らし合わせる。
「いた。」
知佳ちゃんを発見したのはそれから三十分たったころだった。情報通り午後五時に会社の入口に姿を現したのだ。
練りに練った私が作ったシナリオ。この日のために準備したオフィスカジュアル風の服装で私は、車から降り知佳ちゃんの下へ走っていった。
私は知佳ちゃんの目の前で躓き体勢をくずした。
「あ、大丈夫ですか。」
知佳ちゃんは私に手を差し伸べる。
「ありがとうございます。大丈夫です。あれ・・?」
私は知佳ちゃんの顔をまじまじと見る。ここまでシナリオ通り。この先が復讐劇の大切な部分になる。慎重にしなければと気を引き締める。
「どうかしました?」知佳ちゃんは私を見る。
「あ!!知佳ちゃんでしょ?ほら!高校一年の時同じクラスだった大森彩子だよ!」
「え!大森さん?!」知佳ちゃんが計画通り食いついた。
「そうそう!懐かしいわ!仕事帰り?」興味のかけらもないが話を盛り上げに行く。ここで何気ない会話をはじめて、どうにか車に乗せなければならない。
「そうそう。」
「もしかしてアイのモトで働いてるの?この会社、アイのモトの本社でしょ?」
「そうなの!就活頑張ったの。大森さんも仕事帰り?」
「私も仕事帰りで今コンビニよってたところ!良かったら車で家まで送るよ。話したいし!」
私は賭けに出る。
「ホント?でも悪いよ。」
「全然大丈夫だって!それにこれから一年生の頃の担任の古谷先生と会う予定なの!」
知佳ちゃんは驚いた顔をして
「え?会いたい!」と言う。古谷先生と知佳ちゃんは当時仲が良かった。しかし、知佳ちゃんと古谷先生は卒業後は接点がないと情報が入っているため、嘘をつくチャンスであると私は考えた。ここまでスムーズにいくとは思わなかったが、思い通りに行った。
「じゃあ車、乗って!」
「うん!ありがとう。」
そう言って私は知佳ちゃんを車に乗せた。そして運転席に素早く座り、ロックをかけた。
これからがショータイムだ。
そして私はハンカチで口を覆い、足元にセットしてあった催眠ガスを解放した。
「何この音?」知佳ちゃんは車から出ようとする。しかし、私が車内からドアを開けられないように小細工をしておいたため開かない。
混乱していたが知佳ちゃんはすぐに眠りについた。
私はそれを確認した後、車を発車させた。上手くいった!
そこで高校時代に聞いていたルールの「死ねよこの野郎」って曲をかけながら車を運転した。
「う、うーん。」
知佳ちゃんは目を開いた。そこは、山小屋のようなところで手足を縛られ、口にはガムテープが張られていた。椅子に体をなわで縛られ身動きが取れない。
「知佳ちゃん。目覚めた?」
私は椅子の後ろから知佳ちゃんに顔を見せた。そしてガムテープをはがした。
「なんで?なんでこんなことをするの?」
知佳ちゃんは涙目である。
「私をイジメたの覚えてない?」
「いじめた?そんなことしてないわ!」
「嘘だ。私を仲間外れにして、周りの人に悪口言ってたの私が知らないと思った?」
「そんなことしてない!」
「そう。あ、そういえば、知佳ちゃんのお友達にこの前会ったの。」私は数時間前、知佳ちゃんと一緒に私をいじめていた、風香ちゃんとの会話を流した。
「ごめん!私や知佳が大森さんをイジメてました!もういいでしょ?早くこれ外してよ!」そう取り乱している
「認めるんだ?」
「はい。」
「じゃあ償って。」その後風香ちゃんを撃った銃音が響いて録音が終わった。
そう、これは数時間前同じ場所で私は風香ちゃんを殺した。
「え・・。」
知佳ちゃんはフリーズする。
「お友達、死んじゃったんだよ?知佳ちゃんも死んで償わなきゃ!ね?」
私はペンチをもって知佳ちゃんの頬を持ち口を開けさせた。「なにするの?」
「切るんだよ。その舌を。」「やめて。。」
「やめて?私は知佳ちゃんのその舌のせいで心を何度も言葉と言うナイフで刺されたの。知佳ちゃんのその舌を切らなきゃ、これからももっとあなたは人を傷つける。」
そう言って私は知佳ちゃんの舌を切った。「あああ!」
知佳ちゃんが叫ぶ。
「知佳ちゃんには私が受けた倍苦しんでもらわなきゃ、殺してあげられないよ?だから生きるのあきらめな?」
私はそう言ってのこぎりやトンカチ、ナイフを使ってとにかくぐちゃぐちゃにした。
そして気が済んだ頃には、知佳ちゃんはもう人の原型をとどめていなかった。
私はフフフと笑った。しかし私の心は何かが満たされない。
ずっと知佳ちゃんを殺すことを目標にしていたのに。
心の傷が癒えない。なんで。
私は「わー!」といって崩れ落ちその場で大泣きした。
その数日間、私は知佳ちゃんの死体と共にその小屋にとどまっていた。
そして警察がやってきて私は逮捕された。
メディアでは戦後史上最悪の殺人と取り上げられた。私の卑劣な殺人の話はもちろん、知佳ちゃんたちが私をいじめていたという事実も取り上げられた。
しかし、その話題は数日しか報道されず、大手事務所アイドルの不倫疑惑の話題で埋め尽くされていって社会からはこの事件のことは忘れ去られていった。
「被告人を死刑と処する。」
私の最後の判決はそう言い告げられた。
私は天を見上げる。なぜか口角が上がる。
そしてはじめて私は震える手を見た。
「あっはは!ざまあ見ろ!」そう言って狂ったように笑った。
秋。雲一つない青い空が広がっている日。
私の刑は実行された。この社会を変えることが出来ずに私は死んだ。
読んでいただきありがとうございました。




