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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
4章・元幼馴染

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八木奏が失恋契約を結んだ理由


 俺には昔好きな人がいた。

 小学生になる前、隣の部屋に住んでいた女の子とよく遊んでいたのだ。


 最初は一つ上の姉と仲が良かったのだが、俺も遊びに混ざるようになって自然と仲は深まった。


 その子の髪は銀色に輝いていた。

 北欧系のハーフということもあり肌も白く、どこか他と違った特別感を纏っていた。


 でも、中身は負けず嫌いで、ゲームに負けると拗ねて部屋の隅で縮みこむような子だったことを覚えている。


 ゲームで負けが続き、終いには私は貧乏神だ、幸せになれないんだと泣き出したこともあった。


 俺の母親がその子に貧乏神のカードを作り、何か小言を囁くと暗く沈んだ顔が明るくなった。


 そのカードにはボロの布を纏った銀髪の女の子が描かれていた。


 普通なら怒ると思うけど、その子は嬉しそうにしていた。


 親の都合で遠くへ引っ越すことになり、別れ際にその子が貧乏神のカードを俺にくれた。


 カードを手渡す時その子は泣いていた。


「このカードをソプラだと思ってね、でね、大人になったらソプラはかなでと結婚して福の神になるんだ」


 俺も泣きながら頷いて、そのカードを受け取った。


 それからの俺は貧乏神を福の神にするために頑張っていた。勉強、スポーツ、ボランティア、自分にできることは全部していた気がする。


 その想いが、ソプラを忘れさせてくれなかったんだろう。


 中学に上がり、ソプラと再会した。

 また、親の都合で戻ってきたようだった。


 まだ、大人にはなっていなかったが、俺が頑張っていることを知ってほしかった。

 ソプラは凄く可愛くなっていた。

 いや、元から可愛かったはずだ。

 俺が中学生男子になって、可愛さの概念は更新されていた。


 その容姿と明るさでソプラは皆の中心にいた。

 貧乏神の姿はそこにはなかった。

 

 不安になった。

 ソプラの隣に立つために頑張り続けたのは俺であり、他の誰かに譲るつもりはなかった。


 だから、告白をした。


 幼い頃からずっと好きであり、福の神にすると。

 自分は君のために頑張った。

 昔君に言われてからずっと君しか見ていなかった。

 返ってきた言葉は「気持ち悪い」だった。


 その子は俺のことなんて覚えていなかった。

 たとえ昔仲が良かったとしても今は関係ない。

 八年間想い続けた? そんなわけない。

 どうせ、ソプラの美貌に惹かれて、思いついたような嘘を言ってる。

 

 湯水のように、その子から否定の言葉が流れてきた。

 挙句の果てには彼氏がいるからそもそも無理だ、そう言われたのだ。

 期待していた。

 気持ちを受け入れてくれなくても、頑張ってくれてありがとうと言われることを。

 そうでなくとも、彼氏がいるから無理のひと言だけで良かったはずだ。

 

 俺の世界は壊れてしまい、何も口にすることもできず、ただ、心が壊れていく音がした。


 今にして思う。


 俺は結局、中身の無い幻想に恋をしていただけだった。

 『気持ち悪い』と言われても、仕方がなかったのかもしれない。


 青春がしたい

 恋人だって欲しい


 真鈴は契約により、俺に言い訳(恋人)を作る責任を負った。その代わり、失恋をする義務を俺に背負わせた。


 恋人ができたかったらまりんが一生恋人で、

 恋人ができたらまりんを捨てる。


 俺にとって、どっちに転んでも利益につながるロジックだ。


 俺だって一人の人間であり、普通に青春に憧れる高校生男子でもある。

 恋人だって欲しいと思うのは自然なこと。

 極端に裏切られることを恐れていてもそれは変わらない。

 好きで一人を選んでいるわけじゃない。

 そこでしか息をすることができないから選んでいるだけだ。


 肺呼吸の生き物が陸でしか生きられないように、

 エラ呼吸の生き物が水の中でしか生きられないように、

 ぼっちは孤独の中でしか生きられない。


 当然、裏切りのリスクは健在してるけど、真鈴の失恋がしたいという感情をぶつけられて、過去の失恋経験を思い出したゆえに、ちゃんと失恋させてあげたいとも思ってしまった。


 それが手を取った理由。

 一人だと勇気はでないけど、リードしてくれる人がいると安心感を覚える。


 人は酸素がないと生きることができない。

 なら、誰かの孤独に寄り添えば、ぼっちは一人じゃなくても生きることができると思う。


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