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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
3章・水着回

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人生とゲームを掛け合わせたら、それは闇のゲームだよね?1


 不幸な事故はあったが、俺の洗浄ターンも終わった。

 まりんも変なことを言わず行うこともなかった。

 詩にゃんはちゃんと手を洗い洗浄へと戻った。

 軽い雑談をする程度で、誰も事故について触れようとしなかったは救いだ。


 そして、長い回想も終わり、今に至る。


「なかなか、楽しかったわね。また暇な時にしましょうよ」

「俺はもうごめんだ」

「メェー君嫌だった?」

「嫌じゃないけど……心臓に悪い」

「今度はもっと刺激的にしたいわ」

「結構刺激的だったよ、リンちゃん」


 両手に花。

 右にまりん、左に詩にゃん。

 なぜか、寄り添う感じで俺に身を寄せている。


 不思議なことに、もう慣れた。

 刺激的だが嫌ではない。

 

 不幸な事故のせいか、賢者になったのかもしれない。


「ふふ、でもまぁ、ゆっくりお湯に浸かるのも悪くないわね」

「そうだね、メェー君の肩に頭乗せるの落ち着くな」


 もうすでに湯を楽しむ感じらしい。

 もう二人が隣にいることに違和感を覚えなくなっている。

 誰かに心を開くとはこんな感じなんだろう。


 まりんは共犯者であり、ビジネスパートナー的な意味合いで信頼している。手元からなくなっても方向性の違いと納得できたはずだ。

 もし、手元から離れたら少しは寂しさを感じるんだろうか。


 詩にゃんは、可愛くて愛おしい推しの子だ。

 好きになる努力をして、好きであることが普通になるようにしてきた。今では、好きだと自覚できる。

 思い込みでも勘違いでも、それを嘘だと言いたくない。


 幼馴染に『気持ち悪い』と言われたあの日から、もう誰かに期待することは止めたはずだ。

 それでも、期待したくなる。

 いつまでも二人が傍にいてくれることに。


 でも、それは叶わないだろう。

 俺はまりんを好きなってはならないから。

 詩にゃんを選ぶことは決定事項だ。


 本当に手放すには惜しいほどの可愛い女の子だね。


「どうしたのよ、まじまじ私の顔を見て、惚れちゃった?」

「詩にゃんは可愛いなって改めて思ったんだよ」

「詩子と比較するなんて……私が詩子に勝てるわけないでしょ」

「詩にゃんは可愛いしな」

「ええ、私達の共有財産よ」

「ちょっと、私はものじゃないですよ」


 目の前の等身大の女の子に夢中で、幼馴染も面影は俺の中にはもうなかった。

 かつての俺は幼馴染という幻想に縋っていて、あの子のことを見ているようで見ていなかったのかもしれない。


 たしかに、あの頃の俺は『気持ち悪い』と言われるだけはある。

 まりんの嫌った『中身を見ない気持ち悪い奴』だったんだ。


★☆


 風呂場から俺の部屋へ舞台は代わり、それぞれ、普段着へと身を包む。


 なぜだろう、服を着ていることに名残惜しさを感じてしまう。それだけに魅力的な光景だったのかもしれない。

 きっと、他の女の子ならここまで思うことはなかっただろうね。


「さて、じゃあどうしようかしら?」

「宿題でもしますか?」

「悪い、俺は終わらせた」

「私も終わらせたわ」

「……もしかして、私だけ終わってない」


 詩にゃんのぽかーんとしたお顔は、いつ見ても眼福なり。


「じゃあ、私と奏が手伝おうかしら?」

「ううん、大丈夫。せっかく集まったんだし、何か他のことしようよ」


 と言われても、俺の部屋には漫画とゲームしかない。


「詩子のマッサージ――」

「そういうのはもういいよ」


 詩にゃんは咄嗟に両手で可愛い象徴を隠す。  


「詩子、可愛い!」


 まりんのダイレクトハグが詩にゃんを襲う。

 もう、挨拶みたいな感じになってるね。


 何か遊べるものないか探すか。

 ゲームはカードゲームに、トランプ、ボードゲーム、家庭用ゲーム機。

 複数にで遊ぶとするなら、ボードゲームか家庭用ゲーム機。

 

「人生を模したボードゲームでもする?」

「悪くないわね。でも私はお互いに一つのシートの上で手足を指定した色に置いていくゲームをしたいわ」

「ないわ」

「私はボードゲームがいいな。楽しそう」

「詩子、体を動かさないと、健康に悪いわよ」

「頭が悪いまりんには運で人生を決めるゲームが適任だろ」

「失礼ね、勉強はできるほうよ」

「頭の柔軟性の話だよ」

「奏よりあるわ」

「じゃあ勝負だ」

「望むところよ」

「二人とも仲がいいね」


 俺は押し入れからボードゲームを取り出す。


 昔はよく遊んていた。大失恋からは一度も触ってなかったな。


「箱ボロボロね」

「まぁ、小学校に上る前から家にあるからな」

「大切にしてたんですね」

「まぁね」


 箱を開け、プレイマップと台をセット。

 ゲーム内通貨と役職カード、駒を振り分けた。


「ルールは分かれるよな?」

「ルーレットを回してスタート地点からその数字だけ動かし、止まったマスの指示に従うんでしょ。最終的に持ってる資産を比べて順位を決める。簡単よ」

「駒小さく手可愛いですね」


 車型のコマにピンを挿すタイプだ。

 最大六本させる。

 まずは自分を一本として挿してスタート地点へと置く。


「メェー君、この車にペンで書いてる『ソプラ』ってなんですか?」

「……昔、仲良かった子が書いた名前だよ。自分専用だってね」

「そうなんですね。なら他の駒使いますね」


 ソプラ、そんな名前だった気がする。

 もうフルネームも思い出せない。


「奏にも仲のいい人がいたのね」

「俺が一匹キツネになる前の話だよ」

「キツネ?」

「それ、私が前に言った掛け言葉ですね。一匹狼と一匹キツネ」

「詩子、掛け言葉になってないわよ。せめて、『どっちも孤独でしょう』くらい言わないと」

「本当だ!」


 もう孤独なキツネはどこにもいない。

 ゲームの駒ですら対戦相手がいるだから、もともと一人な奴なんて案外いないのかもしれないね。


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