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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
3章・水着回

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恒常的に起きるスケベはラッキースケベと呼べるのだろうか5


 毛を見たいと言うまりんの意見を跳ね除け、二人の女の子からの洗浄が続く。


 まりんは俺に抱きつき両手で弄ぶかのように洗い始めた。背中にクッションを押し付けて動揺を誘っているみたいだ。俺に同じ技は二度は効かない。もうすでに反応してるから。


 詩にゃんはお腹を丁寧に洗う。おへそに親指を入れ、俺がしたときのように熱心だった。


「メェー君、お腹に毛が生えてるんですね」

「奏って意外と毛深いのかしら、胸毛もジャリジャリとした手触りよ」


 毛の話から、また毛の話。

 普段、人に見せない分、処理なんてしない。


 小鳥遊たちとプールに行った際は、上着を着ていたから気にしもしなかった。


 腹と胸元を晒す二人を前にして、臆病なスタイルで臨むことは彼女たちの覚悟を軽視するようで、上半身裸にした。

 女の子に毛の触り心地の感想をもらうというのは、どうにも居心地が悪い。


「奏、今日は我慢するけど、いつかアンダージャングルも見せてね」

「わ、私も……」

「詩にゃん、まりんと競わなくていいから、見ても楽しものではないよ」


 まりんの手つきが挑発的だ。

 男は女の子よりも鈍感だから、くすぐったいだけだ。悪いな未開発なんだ。


「詩子の方が柔らかかったけど、毛の触り心地は絶妙ね」

「レビューをやめろ、誰も得しないぞ」

「奏だって私の感触を楽しんだじゃない。これで公平よ」

「俺は真剣にまりんを洗っただけだよ」


 詩にゃんはお腹の洗浄を終え、次は足へと視線が向かう。


 俺の水着で隠されたアームストロング砲が僕はここにいるよって主張してる。無視してくれと願うばかりだ。


「メェー君、その、大きくなってますけど、これって痛くならないんですか?」


 詩にゃんはアームストロング砲の性質についての知識はあるみたい。

 純粋な質問なんだろう。子どもが赤ちゃんってどうしたらできるのって質問と同じ類だ。

 日本の教育、保健体育とかで学んだところで、それがどういう状態かなんて、その性別でなければわからない。

 つまり、この質問は日本教育の怠惰が生んだものであり、詩にゃんは悪くない。

 

「血が集まって血管が太くなってるなら、多少は痛いんじゃないかしら?」

 

 まりんは俺の胸から手を離し、背中を洗い出す。

 君たち、俺の体を使って保健体育の自習を始めるの止めよう。


「どうしたら、戻るんですか?」


 それはね、冷水ぶっかけて、君たちが服を着たら戻ると思うよ。

 なんて、言えるわけもない。

 そもそも、詩にゃんはこの現象がなぜ起こっているのか理解しているのか、些か疑問だ。


「詩子、それは興奮した男性に見られる現象よ。犬だって、餌とか遊んでもらったりして興奮すればなるんだから、同じ哺乳類の人間でもそう変わらないわよ」


「つまり、私達と一緒に洗いっこしてメェー君も楽しいんだね」


 これは拷問かな。

 秘密を吐かなければ、純粋な乙女の幻想を汚すぞと言われているようだった。


「ふしぎですね、メェー君」


 アットホームな雰囲気を出す詩にゃん。


「不思議ね、奏?」


 まりんは挑発的に耳元で囁いた。


「本当に不思議だね」


 もう同意するしかない。

 まぁ、たしかに考えたら不思議だな。 

 誰かに教えてもらったわけでもない。遺伝子に組み込まれた仕組み、ある意味呼吸と同じだ。

 生きるために必要なプロセス。人類の歴史ともいえる。


 あれ、ならなんでこんなに動揺してるんだ俺。

 やっぱり社会が悪いんじゃない?


 人の欲は止まらない。

 なら、当事者たちの誠実さが問われる領域だ。

 それが守られないから、社会が厳しく制限をかけるのだろう。


 誰か一人を殺していい権利を与えられ、一人目でも殺れば二人目への精神的防壁は瓦解する。やってはダメでも自制が利かなくなる。


「メェー君、メェー君」


 思考の世界に浸っていると、詩にゃんの声で呼び戻される。


「その、洗ってもいいですか?」


 バツの悪そうな口調で詩にゃんが言う。

 洗いっこをしてるのだから、わざわざ許可などいらないと思うんだけど。それが詩にゃんの誠実さだとするなら嬉しいことだ。


「もちろんだ」


「は、はい!」


 びっくりしたように詩にゃんは返事をした。


「奏、髪を洗うから目を閉じて」


 俺は目を閉じる。泡が目に入ったら大変だもんね。

 

 足に詩にゃんの手が触れる。

 何事もなく終わると思った矢先、水着の中に詩にゃんの手が侵入する感触がある。


 太ももを洗ってるのかな?


 冷静を装っていると、突然の不意打ちに白い石鹸の泡が飛び散った。


★☆


 あまりの醜態に涙が出てしまった。

 なんて情けないんだろう。

 詩にゃんは何が起こったのか理解できていなかった。

 

「詩にゃん、ごめん」


 俺は謝ることしかできない。

 破裂寸前だった風船に針が刺さった。その結果だ。

 それでも、きっと俺が悪いのだろう。


「どうして、メェー君が謝るんですか?」


「取り敢えず、手を洗おうか。そこは自分でするから、もういいよ」


 まりんは何事かと横から様子を見てきた。


「やるわね詩子、完敗だわ」


 まりんが感慨深くそう言った。


 これをラッキースケベというほど、俺は不真面目ではない。

 単なる不幸な事故だ。


 詩にゃんは小首を傾げたまま自分の手――ぬるりと光る指の隙間を、感触を確かめるように見つめていた。

 

 きっと、石鹸の泡を見ているのだろう。


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