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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
3章・水着回

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八木奏はドレスコードが大事だと常々思う6


 まりんはバスチェアに腰掛ける。

 俺はマリンの正面から、詩にゃんは後ろから挟むように膝をつく。


 視界にまりんしか映らない。

 目の保養にはなるけど少々刺激が強い。


 ボディソープの泡を手につけ、容器を詩にゃんに渡す。

 

「じゃあ、お望み通り、手で洗うぞ」

「どうぞ、やってちょうだい」


 いざ、やるぞ。と構えたのはいいが、どこから手を付ければいいのか困る。

 まりんの右腕を詩にゃんが洗い始めたので、俺は左腕から洗うことにした。


 肩から肌を撫でるように手を動かす。


「奏、脇も忘れないでね」

「俺だけかよ」

「詩子はちゃんとやってくれてるもの」


 詩にゃんは女の子だから俺と違って心理的ハードルが少ないんだよ。

 覚悟を決めて手を脇下へと伸ばそうとした時、詩にゃんが「リンちゃんの肌、すべすべですね。メェー君もそう思いませんか?」とピュアすぎる爆弾を投下した。


 脇下から二の腕、肘へと手を滑らせる。たしかに肌はすべすべだった。しかも柔らかい。


「人に、洗ってもらうなんて、こそばゆいもの、ね」


 まりんは少し声が震えていた。


「にしても本当に綺麗な肌してるよな。毛の処理とかも抜かりが無いみたいだし」


 脇にも毛が生えてなかった。俺なんて擦ればジャリジャリ音鳴らすよ?


「メェー君、私も毛を処理してるからすべすべだと思うよ」


「きっちりしてるな」


 まぁ、わざわざ水着を見せるって意思で着てるんだから、よりよく見せる努力はしてても不思議じゃないよな。

 これで脇毛が生えてましたなんてことになってみろ。俺が新しい扉を開くところだったぞ。


「まるで、物語のお姫様気分ね」

「随分と可愛い事言うね、どちらかと言うと女王様じゃない?」

「あら、奏は鞭で打たれたいのかしら?」

「ジャンルを間違えてるぞ」


 最初はドギマギしていたけど、やってみれば大したことない。

 人間の適応能力って凄いな。


「ほらほら、指と指の間もよ」

「楽しそうだな」

「だって、こんなこと心を許せる人にしか頼めないじゃない。奏と詩子にしてもらって嫌と思わないなら、そういうことでしょ?」


 近づいてくる者達は美少女という外見にしか興味を示していない。まりんはその価値観のせいで、他人と自分に境界を作っていたのかもしれない。


 心を許すことのできる人間とは、その境界の内側にいることを意味する。


 自己の存在証明を失恋という形で否定されることで、まりんは初めて中身を評価されたと信頼することができる。

 

 俺と詩にゃんを心許せる人だと信頼できるのは、まりんの中で裏切られた時の痛みよりも、信じて得られる喜びが優先されたからなんだろうか。


 ふと、思う。

 まりんは、まだ失恋をしたいのだろうか。


「じゃあ、今度は奏が胸下、詩子が胸元をお願いしようかしら?」

「リンちゃんはスケベですね」

「それはもう今さらじゃない。ここまできたら限界を攻めるわ」


 今を精一杯楽しんでやろうと意気込むまりん。

 まるで、いつか壊れる関係を予期して、今しか得られない幸福のために全力のようだ。


「奏、どうかしら?」


 その時の俺は少し考え事をしていた。

 まりんに言われたからと、まりんの胸下に手を突っ込んだ。

 

「――ひゅ……なかなか大胆ね、奏」

「ん、なにがだ……」


 ポヨンポヨンな何かを両手で掴んでいた。

 意外と重いんだな。と指に沈む肉圧に感想を抱く。


 何をしてるんだろう?


 恐る恐る、まりんの顔を覗くと、顔を少し赤らめて動揺していた。指が少し動くだけで、彼女の肩が微かに跳ねる。


「リンちゃん、どうしたんですか?」


 まりんの後ろから、詩にゃんは様子を窺うように横から顔を出す。


 詩にゃんと目が合う。目をパチパチとさせて、恥ずかしそうに口を開く。


「メェー君でも、その、胸を触りたいと思うんですね」


 俺の人生経験でこんな場面の正しい解答なんて導き出せないよ。

 慌てふためいて、手を離すか。それとも、何事もなく洗浄活動に戻るべきか。


 俺の動揺が震わせていたせいか、まりんから、小さく声が溢れる。


「詩子も、胸元から水着の生地までお願い、ね。なんなら、水着の中もしていいわ、よ」

「水着の中は、自分でしてください」

「なら、奏に頼もうかしら?」

「やっぱり、私がしようかな!」


 詩にゃんもまりんの胸を触りたいらしい。

 これはチャンスだ。


「お、俺は満足したから、詩にゃんにあとは任せたよ」


 そう言って、そっと手を離す。

 名残惜しさが手に残っている。


「あら、まだ反対の胸が残ってるわよ?」

「わ、私、リンちゃんの胸を、下から上まで一人で洗いたい、です!」


 詩にゃん、ナイスアシスト。

 これ以上過激になると俺の危険アラートが鳴って、この舞台から逃げ出していたことだろう。


 何事も節度は必要だ。

 

 色々度が過ぎてると思うけど、踏み留まるという意識を持つことが大事だ。


「詩子のエッチ」

「リンちゃんに言われたくないよ」

「そうね、詩子がしたいなら仕方ないわね」

「もうっ――」


 詩にゃんが後ろから手を出して、まりんの胸を掴んだ。

 手のひらで持ち上げ揉むように撫で回し洗い始める。


「柔らかい、大きい……」


 詩にゃんがその重みの感想を溢す。

 詩にゃんは手を布の下へと入れると、目の前で洗われているまりんは耐えるように声を押さえる。

 

「んっ――」


 目の保養……いや、目に毒だ。

 視線を外しつつも、瞳孔が引き寄せられてしまう。

 これが万有引力ならぬ万乳引力……

 

 またつまらぬことを言ってしまった。

 

 目の前の百合百合風景を眺めることしかできなくなり、目のやり場と居心地の悪さに地蔵になるしかなかった。

 まりんの溢れる息と、魅惑的な悶えるまりんの姿。

 

「リンちゃん、気持ちいい?」


 詩にゃんの挑発も相まって、脳が焼かれそうになる。


 これを健全というには無理がある気がする。

 詩にゃんも楽しくなってきたのか、手の動きにキレができてきたような気がする。その布を持ち上げそうな勢いだ。


「あ……」

「その、リンちゃん……ごめんね」


 ラッキースケベって、この世に存在するんだね。

 

「詩子のエッチィ……」


 恥じらいながら、まりんはズレてしまった布の位置を自ら戻した。


 ほらね、ドレスコードは大事だよ。


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