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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
2章・青春ラブコメ編

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57/90

友達って何をするものだっけ?6


 友達を家に呼ぶのがこんなに疲れるとは思いもしなかった。

 女の子に密着され、耳たぶを甘噛みされ、餌付けする。

 これが友達同士であっても普通はしないことくらい、俺にだって分かる。


 部屋から抜け出した後、友情を堪能して疲労しているまりん達の為に、パスタでも作ることにした。


 うん、もうそろそろお昼だしね。


 今日、母親は外に遊びに出かけていて帰ってくるのは遅い。

 どのみち昼食を作らなければならない。


 レトルトソースを湯煎してパスタを茹でるだけ。


 四人分を皿に盛りつけるのは結構面倒に感じるが、濃厚な友情堪能フィールドに浸かるよりはマシに感じる。


 パスタを少し多めに茹でている間に皿を用意する。

 沸騰する音や熱が、俺の心を落ち着かせる。

 

 二人はまだ、まりんを可愛がっているのだろうか。


 いつも攻めっけ強めだから、ふと見せる弱味とのギャップが対比効果を生んでいた。

 天ネェはともかく、いつもまりんに弄られてる詩にゃんにとっては、楽しい時間だろう。


 まりんからしたら嬉しい状況なんだろうか。


 否定こそ自己証明を測る唯一の手段。

 そんな失恋志願者にとって、友達と初対面の人に交友の証として耳たぶを甘噛される。


 しかもそれは自ら交友の証として、証明した手段だ。

 逃げるに逃げられない。

 そこまでされて、自分に対しての友好だと確信を持てるのだろうか。

 友達だから、初対面だから、中身を見てくれていると信じられるのだろうか。


 たった一人でも自分を否定してくれたら、それ以外を信じる勇気を持てるのかもしれない。

 

 まりんが俺を好きになるかどうかは知らない。

 耳たぶを甘噛する程度に好感は持たれていることは確認済みだ。


 タイマーの音が思考の終わりを告げる。


 ……考えれば考えるほど頭が痛くなるね。

 

 パスタを湯切り、皿に盛りつける。

 

 『友好ハムハムタイム』に終わりを告げに行くか。


 部屋の扉に手をかけた時、ふと思う。

 俺が部屋から抜けて十分は過ぎているのに、俺を探しに来なかった。

 

 普通に考えれば逃げ出したと思われてるだろう。

 あのまりんが薄情者に仕返しをしないはずがない。

 何かしらの罠でも張っているのか?


 こっそりと部屋を覗くことにした。


 なぜか、詩にゃんがまりんと天ネェに攻められていた。


 前後から挟まれて、両方の耳たぶを口で舐めたり摘んだりされている。


 詩にゃんは温泉にでも浸かっているかのように、その感覚を楽しんでるように見えた。


「――ぅ……ふぇ……んっ」


 詩にゃんが声を出すのを必死にこらえていた。

 天ネェもまりんも詩にゃんの反応を楽しんでるようだ。


「詩子ちゃん、可愛い食べちゃいたい」

 天ネェは単純な友愛行動として捉えてる。

 悪気もなく、本気で喜んでると思ってるな。


「詩子、想像してみて……今、貴方の耳たぶを弄んでるのは奏なんだって……」


 まりんは自分の醜態を、詩にゃんをターゲットにすることで誤魔化そうとしているみたいだ。

 ミイラ取りがミイラになったように、言った本人も恥ずかしそうにしている。

 

 今、声かけたら、俺の両耳が危ない気がするから、キッチンに戻ろう。


「――メェー君、ダメェ……」


 去り際、俺の鼓膜を震わせたその声が俺の足を一瞬止めた。

 いつの間にかスマホが右手にはもう握られていた。

 お宝映像間違いなし。

 だが、本人の意思に反して撮影したりするのは理に反している。

 

 こんなことなら、友好活動の記録保存という名目でカメラを回しておくべきだった。

 誰が予想できた。

 天ネェに招待するように言われた時は、そのついでに夏休みの宿題を終わらせる勉強会を開く予定だったんだよ。


 後から言い訳はいくらでもできる。

 撮影許可がない以上、信頼を裏切る行為と同義だ。

 

「奏、戻ってくるのが遅かったわね?」


 忍び足を決めて立ち去ろうとした時、覗いているのがバレてしまった。


「お昼用意したから……」


 俺はそう言って扉を閉めた。

 


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