表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
2章・青春ラブコメ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/87

友達って何をするものだっけ?5


 今回、まりんと詩にゃんを天ネェに紹介した後は、勉強会を開く予定だった。

 だが、蓋を開ければ、青いか疑わしい青春ラブコメ臭漂う空間が出来上がっていた。


 詩にゃんは青春の女神だから、この空間のレーティングを下げてくれている気がする。


「奏、私の番よ、あーん」


 もう何がって、聞き返すのが面倒になってきた。

 期待してることはわかるよ?

 でもさ、俺にそんなことされて嬉しいかって疑うのが俺なのよ。


 天ネェは俺が好き。

 詩にゃんは俺を友達として好き。

 じゃあ、まりんは?


 義務感で好きではないと、耳たぶ甘噛みで否定した。


 当然、友達として、なんだろうと思うだろう。

 でもね、俺はまりんと友達じゃないんだぜ。

 そんな契約は結んでいない。

 いつの間にそのスタンスに収まってるんだよ。


 もちろん、失恋相手として、俺はそれに応える義務がある。

 だが、これは義務感で応えるべきなんだろうか。

 

 耳たぶに残った感触が俺にそう訴えてくる。


「かなで、そんなに椿ちゃんの口の中が気になるの、お姉さんのお口には無関心なのに?」

「メェー君もスケベ!」


 考え事してたら、詩にゃんからスケベ認定されていた。

 

「いや、まりんのお口の中が綺麗だなって……」


 俺は言い訳が下手です、素直な良い子なので。

 予想外の発言には詩にゃんと天ネェが黙り込む。

 まりんは恥ずかしそうに口を閉じていた。


 アイスバーを袋から取り出し、まりんの口に、優しく突っ込む。


「ほら、お望みのものだ」

「いじわる」


 まりんは一口だけアイスを口に入れると、舐めるかのように口の中で転がし始めた。

 それは歪んだ口元を誤魔化す仕草にも見える。


「何だ、恥ずかしかったのか?」

 

 いつも後手に回って受け身状態だった。

 好戦的にからかってやるのも悪くないね。


 カードゲーマーは後攻で捲くり札がない時、死んだ魚のような目をして受け身でいるしかないからね。

 いざ、逆転の一手が来ると水を得た魚のように高揚するもんさ。


 何やら不満そうに頬を膨らませるまりん。

 可愛い顔もするもんじゃないか、俺がその辺のモブじゃないから、そんなトラップには嵌まらない。

 ちゃんとレッド◯ブートは手札にある。


「奏、残りを手渡して」


 どうやらサレンダーを決めるらしい。

 俺は勝ち誇った顔で、アイスバーの優先権をまりんへ渡す。


「奏はまだ、食べさせて……もらってなかったわよね、 どうぞ?」


 食べかけのアイスバーを俺へと向ける。

 カウンターを決めさせてもらおう。

 

「いや、俺の分あるから、それは食べなよ」


 ここで無理にでも俺に食べさせようとすれば、俺に食べて欲しいと言ってるようなものだ。


「奏に食べてほしいのよ……嫌かしら?」


 チェーンしてカウンターを決めてきやがった。


 ……もうカウンターできる札が俺にはない。


 否定すれば、意識してると思われる。

 肯定すれば、嫌ではない事を認めることになる。

 妥協案として嫌ではないが好きとは言ってない。これしか残されていない。

 

 いや、まだ、効果処理は始まっていない。

 詩にゃん&天ネェに救いの視線を送る。


 まるでラブコメのワンシーンを観るみたいに期待の眼差しを向けられていた。


「奏、あーん」


 審判の時が下された。


 ふぅん、潔く負けを認められるのが真のカードゲーマーだ。


 俺は諦めて口を開けた。

 微かに溶けているミルクアイスはとても冷たくて甘い味がした。


「その……どうかしら?」


 間接キスはまりんでも恥ずかしかったのか言葉が弱々しい。


「企業努力に感謝だな……」


 もう下手なことは言わないようにしよう。

 全部裏目に出ている気がする。


「そう……」


 暫く、沈黙が流れる。


「椿ちゃん……いえ、真鈴ちゃん!」


 静寂を破ったのは天ネェだった。

 抱きかかえていた詩にゃんを離すと、天ネェはまりんに抱きついた。


「お姉さんは真鈴ちゃんを気に入りました!」

「――っ!」


 いつも、余裕のまりんが動揺を隠せていない。

 天ネェはじゃれつく大型犬みたいにまりんに体を擦りつける。


「こんなに初々しいもの見せられて、お姉さんは感動しました」


 普段から詩にゃんにセクハラをしているまりんが、慌てふためいていた。


「お姉さんの方が意地悪だったよね。でも、真鈴ちゃんのこと好きになったわ」


 天ネェはそう言うと、まりんの耳たぶを口で挟んだ。


「――んっ」


 まりんの肩が跳ねた。


「んはぁ、これがまりんちゃんの友好の証でしょ? これでお姉さんとも仲良しね」


 まりんは顔を真っ赤にして涙目になっていた。


「そ、そうれしゅね……」

 まりんの呂律が回っていない。


「耳たぶの甘噛みってくせになるわ、うふふ」

 そう言うと天ネェは二度目を行う。

 まりんは肩を震わせ、目を瞑る。


「や…め――っ」


 天ネェを押し返そうとしている両手にも力が入っていない。


「リンちゃん……はむ……」


 詩にゃんも参戦してきた。


 一人の女の子を、二人の女の子が絡み合うワンシーン。

 

 思春期の男子高校生には刺激が強い。

 下手に音を立てると巻き込まれかねない。


 友達って何をするものかよく知らない。

 たぶん、人それぞれなんだろう。


「かな……たす……っ――」


 慣れない感覚に悶えてるまりん。

 俺はそっと部屋から離れることにした。

 ほら、男の子に、悶えてる姿とか見られたくないでしょ。

 俺の優しさだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ