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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
2章・青春ラブコメ編

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友達って何をするものだっけ?4


 扇風機とエアコンで部屋は冷えてきた。

 さっきまでの熱気が嘘みたいに思える。


「お姉さんは椿ちゃんのことを……本当は認めたくないけど、好意があるという点は認めました」


 詩にゃんを足の上に乗せて、頭を撫でながら、天ネェが言う。

 威厳はどこへやら、単純に妹(仮)を可愛がってるお姉さんになっている。


「認めてもらえて嬉しいです」


 まりんは動じることもなく答えた。


「呼び出したお姉さんが言うのもなんだけど……かなでと何をして遊ぶつもり? さっきみたいなエッチなのは駄目よ」


 むぅって威嚇してるけど、天ネェと詩にゃんの組み合わせが威厳の欠片も感じさせない。


「甘噛みがエッチだなんて、お姉さんは可愛いんですね」

「お姉さん、馬鹿にされてる!」


 まりんは天ネェに近づいていく。


「そんなことないですよ?」


 天ネェの頭を撫でて、挑発的にまりんは言った。

 

「やっぱり馬鹿にされてるよね!」


 八木さんの家の天音さんを弄るなんて流石だと思う。

 我が家で一番騒がしいのが天音お姉さんだ。


 俺は袋からアイス棒を取り出す。

 若干、溶けかけているが、崩れるほどではない。


「あ、メェー君食べっこするんだよ」


 どうやら、食べさせ合いのことは無かったことにはできないみたいだ。

 

「仕方ないね、はいあーん」


 ポッキーゲームのことはこれで満足してもらって、忘れてもらおう。

 詩にゃんはお口を開ける。歯並びが綺麗で白くて健康的だ。


 白いミルクアイスの棒アイスを詩にゃんの口へと運ぶ。


「はむ……ちゅぱ……れろ……」


 食べさせてもらう時間を堪能するように、棒アイスをしゃぶる詩にゃん。

 咀嚼音とビジュアルが、アダルディックに聞こえるのはきっと気の所為だ。


「なかなかシュールな光景ね」


 まりんはスマホを向けて、カシャリと音を鳴らした。


「リンちゃん、写真恥ずかしい!」


 詩にゃんが慌てて、物申す。

 舐めて溶けたアイス棒が俺の手元に残っている。


「あら、記念写真よ。それよりアイスが崩れるわよ」

「もぅ……あーん」


 続きを寄越せと口を再び開ける。

 アイスの冷たさに慣れたのか、少しずつ噛み進み口に入れていく。


 なんか、雛鳥に餌付けしてるみたいに思える。


 食べ終えて、アイスの棒だけが手元に残った。

 ……捨てるよ? うん、捨てる捨てる。

 心の中で不思議な誓いを立てる俺。


「あら、詩子、口元についてるわよ」


 まりんは詩にゃんの両肩を掴み、そっと顔を口元へと近づける。


 驚きで固まる詩にゃんの唇の端を、まりんの舌先が迷いなく丁寧にさらっていく。


「……んっ……ふぇっ!?」

「ふふ、甘いわね」


 まるで、さっきの俺みたいな立場にいる詩にゃん。

 友達の舌の感触を知る日が来るとは思っていなかったのだろう。その気持ちはよく分かる。

 羞恥心と混乱で、詩にゃんは触れた部分に触れる。


「リンちゃんのスケベ!」

「嫌だったかしら?」

「嫌じゃないけど、スケベ!」


 俺達は友達同士で何をするのかよく知らないけど、たぶん、これは普通じゃないはずだ。


「椿ちゃんは誰でもそんな事するのかな! お姉さんわからないわ!」


「詩子と奏だけしかしませんよ。お姉さんも混ざりますか?」


「かなで〜、椿ちゃんが怖い、助けて!」


 あの天音お姉さんをここまで動揺させるなんて……


「取り敢えず、アイスでも食って落ち着いたらどうだ」


 そう言って、俺はアイスを袋から出して、天ネェの口へと運んでやった。


「食べる!」


 時々、こうやって食べさせてるから慣れたもんだ。

 なぜか、詩にゃんとまりんから不機嫌な視線を送られてる気がする。


「奏って誰でもそういう事をする人なのかしら?」

「メェー君……」


 いやいや、これは正当性は俺にあるはずだ。


「家族にあーんは普通だろ?」


 普通だよね、父さんも母さんにしてもらってるぞ。


「それは私達は家族のように心を許せる存在として認めてる、そう捉えても良いってことかしら?」


 質問を質問で返すなと、女性の手しか愛せない変態と同じ事を言うわけにもいかない。

 たかがあーんに特別な意味なんてあるわけもないんだから。

 けど、人は否定されると悲しむ生き物だ。相手がどんな人間でも否定は辛い。


「ご想像にお任せします」

「ふーん、じゃあ、次は私にもしてくれるのね?」


 まりんは逐一意思確認をしてくるな。

 俺もしかして調教されてない、気のせい?


「悲しい、お姉さんに咥えさせて、他の女の子といちゃつくなんて酷いよ!」


「天ネェ、その誤解を生みそうな表現は止めようね」


 アイスバー一つで、何でこんな会話が生まれるんだよ、不思議だよ。

 

「メェー君、誤解って何?」


 ほら、純粋な子が疑問を持っちゃったじゃないですか、いや、俺が余計な事を言わなかったら疑問すら抱かなかったのか!


「ほらほら、奏、誤解って何のことかしら?」


 人をからかうように笑みを浮かべるまりん。


「誤った解釈をすることだよ。世の中に的外れな捉え方をする人がいるから、発言には細心の注意が必要なんだよね」


「そう……なんですね?」


 キョトン、と首をかしげる詩にゃん。


「私がはっきり説明しようかしら!」

「余計なことを言うな!」

「お姉さんは分かった上で言ったから……その、ごめんね」


 天ネェは俺から目を逸らす。


「どんな誤解だったんですか」

「えーと、それは……かなでが女の子をもて遊ぶ悪い男って意味で……」


 自分で言って恥ずかしがるな!


「メェー君は良い人ですよ!」


 この空間で一番の良い子は詩にゃんだよ。

 

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