友達って何をするものだっけ?3
姉と同級生の女の子二人に密着されて無反応ではいられなかった。
俺の理性が熱を持ち膨張しているのを感じ、慌ててまりんと詩にゃんを離す。
「天ネェ暑いから冷房入れてくれ、俺が干からびちゃうから」
「かなでが干からびちゃうのは駄目よ! 貴方達も一緒に探して」
天ネェは俺を離して、まりんと詩にゃんを引っ張りエアコンのリモコンを探し出す。
「今日は暑いから扇風機も持ってくるよ」
そうして、逃げるようにして部屋から出る。
「色々危なかったな……」
胸の鼓動を感じるほど、まだ脈打っている。
少しその熱を冷ましてから戻ろう。
☆★
理性も取り戻し、扇風機を持って自室へ戻る。
「詩子ちゃん、可愛い! お姉さんの妹になって!」
天ネェが詩にゃんに抱きついて、頭を撫でていた。
それは俺と結婚しろって言ってるに等しいんだが……分かって言ってる?
「陥落されるの早すぎだろ」
俺がここを離れて三分も経ってないうちに、詩にゃんはお姉さんの心を鷲掴みしている。
「あら、おかえり。もう少し私達の残り香で色々堪能しても良かったのよ?」
「まりんは営業運転だな、詩にゃんが借りてきた猫みたいに動かなくなってんだけど……」
全力で天ネェに可愛がられて、詩にゃんの覚醒モードが切れたのか、フリーズしていた。
「一緒にエアコンのリモコンを探している時に、奏の事をどう思ってるのか聞かれたのよ。その結果よ」
「説明になってないんだけど」
俺は持ってきた扇風機のコンセントを挿して、電源を入れる。
エアコンの冷房も相まって部屋は涼やかになっていく。
「お姉さん、詩子ちゃんのこと好き大好きよ。だって詩子ちゃん、かなでになら何をされても良いって言うもの、お友達として大歓迎よ」
「言葉だけでよく信用したね」
「かなでが大好きなお姉さんが、詩子ちゃんの愛を見抜けないわけないでしょ!」
「おお、そうか」
全てを暴露され、詩にゃんは動揺を隠せず、俺も言葉に迷う。
「でも、椿ちゃんのこと、お姉さんは好きになれないかな」
爆弾発言の次に核兵器持ってくるのは止めて。
まりんは楽しそうに笑ってる。
天ネェは詩にゃんを可愛がりつつ、まりんを見据える。
詩にゃんは場の空気感に置いていかれ、キョロキョロと視線を泳がしている。
「理由を聞いてもいいですか? 嫌われるようなことは言ってないと思います」
「だって、椿ちゃん、義務感で奏のこと好きになろうとしてるでしょ。それは嫌!」
天ネェの直感には驚かされる。
まりんは失恋するためには本気の恋をしたい。
例え、義務感からスタートしても本物にするつもりでいるはずだ。
それを見抜くとは。
「奏のことを友達として、好意を持っています」
「それは本当に好意なの?」
「はい」
まりんは笑顔を崩さずに答えた。
天ネェは疑うような視線を向けている。
「じゃあ、証明して」
「証明ですか?」
「友達として、かなでをどこまで受け入れる事ができるか、証明して見せて」
天ネェがまりんの覚悟を問う。
まりんが俺の方へと振り向く。
「嫌だと思ったら、言ってもらっても良いかしら?」
「わ、分かった」
何をされるのか俺には分からない。
まりんは正面から俺に抱きつき、腕を回して両肩を掴む。
頬と頬が触れ合う。冷房で冷えた肌はヒンヤリしていた。
「奏、下手に動くと怪我するかもしれないから気をつけてね」
直後、湿った柔らかな感触が、俺の耳たぶを優しく、けれど逃がさない強さで挟み込む。
「……っ!?」
慣れない刺激に背筋が跳ねた。
歯先が薄い皮一枚を慎重になぞり、吸い上げるような甘噛みの感触。
まりんの舌先が、微かに俺の耳の形をなぞる。
耳元で甘噛みの捕食音が脳を揺さぶる。
「……友達としてここまでなら許せるわ。証明になったかしら?」
まりんは顔を離す。
俺の耳たぶから、まりんの唇まで糸を引く。
天ネェと詩にゃんは、目の前の出来事を処理できず、目を丸くしていた。
「ふ、不純よ! そう思ってお姉さん、自重してたのに!」
「リンちゃんのスケベ!」
天ネェと詩にゃんが顔を赤くする。
「ちょっとしょっぱかったけど、悪くなかったわよ」
口元を隠して視線を俺から逸らし、まりんは耳たぶの感想を言う。
先週、指先を口で挟まれて、動揺していた俺が馬鹿みたいに思えてきた。
「汚いから口をゆすぎなさい」
「そうね、今度は洗ってからにしましょうね」
思わず、甘噛みされた耳たぶを手で隠す。
楽しそうにまりんは口端を歪ませる。
「詩子ちゃん、かなでが悪い女にたぶらかされる前に助けないと、詩子ちゃんも噛むのよ」
「え、え、えぇ!」
「あら、詩子もするなら、反対側は未使用よ?」
「お姉さんは我慢するから、詩子ちゃんが先よ」
なんか俺を取り残して皆で盛り上がっている。
「アイスが溶けるから、早く食べよう」
皆少し頭を冷やしたほうがいい。
俺の耳たぶはガムじゃないんだからね。




