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失恋こそ至高の恋、学校一の美少女は失恋したい!振られるために【ぼっち】の俺の恋人作りに協力している――失恋青春計画  作者: アリティエ
2章・青春ラブコメ編

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友達って何をするものだっけ?1


 夏休みとは人を堕落させるものだ。

 夜ふかしできるし、朝寝坊し放題。

 学校から出された宿題やって、ダラダラ過ごせる至福の時間。


 エアコンの効いた部屋で、何の生産性のない日々に「平和だなぁ」と感想を口にすること。

 それが本来の夏休みだ。


 天音お姉さん(天ネェ)に、「例の友達をお家に連れて来なさい」とご指示を受けている。

 

 人生最大の失恋が起きるまで、自分磨きに没頭していた。

 あと、天ネェのお世話もあった。

 あの頃の俺が友達を作らなかった理由だ。 


 今は『ひとりぼっち症候群』たる病気のせいで友達を作らないでいた。


 八木奏やぎかなで十五歳は、人生初、お友達を家に招待するという一大イベントを迎えようとしている。


 契約上、友達と定義しているが、友達ラベルが貼られていることには違いない。


「あ、メェー君、こんにちは」

「5分も遅刻よ。こんな猛暑の中待たせるなんて、そんなに汗びしゃな私たちが見たかったのかしら?」


 麦わら帽子を被って白いワンピースをまとう。

 その可憐な笑顔は可愛いの暴力だよ、詩にゃん。


 ゆったりとした青いショートデニムに、黒いホルターネック。

 髪をサイドに寄せ、白いうなじが視界にちらつく。

 まりんは、あれだ……目のやり場に困る。


 二人とも首筋に汗を流している。


「悪い、途中コンビニ寄ってたから少し遅れた」


 そう言って、コンビニで買ったお茶と、アイスバーをそれぞれ、二人に渡す。


「ここから少し歩くからな。その詫びだよ」

「ありがとうメェー君……スイカのやつだ。私これすきなんだ」

「ありがたく頂戴するわね。当然、食べさせてくれるんでしょ?」


 まりんはアイスバーを取り出して、俺に向ける。


「いや、自分で食べろよ。人に食べさせたら時間かかるし、溶け出したアイスが俺の手に垂れる」


「それもそうね、この形状だと最悪地面に落としちゃうかしら。長方形のやつなら頼めたわね」


「はい! メェー君のお家に行く前に買って行こうよ。私も食べさせてもらいたいです」


「うんうん、やっぱり人に食べさせてもらうアイスは格別よ。決まりね」


 女子二人で食べさせ合いが決まった。

 なるほど、女の子同士でアイスバーを食べさせ合うか、無限大な可能性に満ちていて悪くないな。


「家に着いたら勝手に食べさせ合いして貰っていいよ」

「まるで他人ごとのように言うわね。奏も参加よ」


 姉の乱入が容易に想像できる。


「俺のお姉さんを攻略しない限り、それは不可能だと思うけどね」


 超がつくほど過保護だからな。自分の役割を簡単には渡さないだろう。

 

「奏のお姉さんは随分と独占欲が強そうなのね」

「メェー君のお姉さんはどんな人なんですか?」

「うーん、そうだな……、とっても素直で思ったことすぐに口にする人かな?」

「素直ってところは奏そっくりなのね。会うのが楽しみだわ」

「いや、俺は素直じゃないだろ? 結構捻くれてる自覚は持ってるよ」


 何事にも裏がある。カードゲームとかやってると、裏をかくことが鍛えられるから大得意だ。


「お姉さんに気に入られれば、奏にとって不利益にならなければ、何をしてもいいって、いうことね」


「何でそうなるんだよ」


「だって、お姉さんが一緒なら、ポッキーゲームも解禁なんでしょ?」


「ハンドからマウスにいつ進化したんだよ……ハンドトゥマウスな」


「マウストゥマウスの方がドキドキすると思わないかしら? 嫌なら、食べさせ合いっこで我慢するわ」


 嫌……嫌ではないがそれを素直に認めるのは癪だ。

 それと同時にドア・イン・ザ・フェイスを仕掛けられて、それに乗るのも癪だ。

 

「それは恋人同士ですることだろ?」


 妥協回答。これが俺の精一杯だ。


「詩子は私とポッキーゲームしてくれないのかしら?」


 俺の回答が完璧すぎて詩にゃんから陥落して、流れでポッキーゲーム大会でも開く魂胆か。


「え……それは、うーん――」


 ――悩んでいる詩にゃんの耳元で、まりんは何か小言を告げる。

 

 ポッキーゲームは同性同士でもきついはずだ、詩にゃんでも簡単には同意しないはずだ。


「私もポッキーゲームがしたい! メェー君は私とポッキーゲームするの嫌かな?」


 腕を後ろで組み、体をくねらせ、恥ずかしげに上目遣いで覗き込まれる。

 

 『あざとい』と『可愛い』が交差する時、新たな物語が始まる。


「詩にゃんがやりたいなら、友達として応援するさ」


 俺に詩にゃんを悲しませる行動は取れない。

 それが小悪魔の囁きで唆された結果だとしても、詩にゃんイズハッピーは絶対だ。


 ポッキーゲームってチキンレースみたいなものだろ? 

 臆病で小心者の俺には負ける未来しかないから安全だ。


「ちなみに、敗者は勝者の言うことを聞くことね」


 小悪魔から悪魔のルールが追加されてしまった。

 負けたら命令される。

 勝ちにいっても事故に繋がるかもしれない。

 それに必死に命令したがってるようにも見える。

 もしくは、キスしたがってるようにも見えてしまう。


 最悪、わざと負けようものなら、女の子に命令されたい変態としても扱われかねない。


 詩にゃんは思わないだろうけど、まりんなら確実に煽ってくるだろう。

 


「……何でも望みを言えばいいさ」

 

 勝負を投げる俺に、まりんは三日月のような笑みを深めた。


「まだ、ゲームは始まってないわよ?」


 不戦敗は無いみたいです。

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