青春失恋計画の会議は放課後のカフェで3
「まずは第一目標は詩にゃんと友達になること。それが成立しないと、親密な関係は築けないと思う。何か案はあるかな奏君」」
俺にペンを向け聞いてくる美少女様。
「そうだな、率直に恋人になってくださいって言うのはどうだ?」
「流石、奏君は言うことが違うね。それは友達になる常套句だもんね。私もよく言われたよ」
「だろー」
俺は少し呆れたような乾いた返事を返した。皮肉を込めて言ったんだが、美少女属性には本気で友達になるための常套句だったらしいのか、椿は首を振りながら頷いてる。
「私は友達だったとしても嫌なんだけど、詩にゃんはどうなのかしら?」
椿には、友達になるためのドア・イン・ザ・フェイスが通用しないらしい。
椿の次に可愛いと思う詩にゃんにそれが通じるかどうかは、分からない。『ひとりぼっち撲滅運動』なる慈善活動をしてる彼女に、それを言えば、確実に友達になれる。
「まぁ、友達にはなれる。けど、代償とし振られるな」
「そうなるよね。そんな薄っぺらい失恋は、至高の失恋リストである私でも選択肢に入れたくないわね」
恋人関係になるための布石に、振られるのはリスクでしかない。妥協の友達。相手の拒絶の選択肢として選ばれた友達だから、それ以上の関係になるとハードルが上がる。
当然のように、椿もそれを理解してるのだろう。
「じゃあ、相手から友達になりたいって思わせるしかないわね」
「それは同意だ」
「まずは、同じ時間の共有からかしら? 接する時間を増やして、奏を好きだと誤認させる……私も奏を好きになるための資料が手に入るかも!」
嘘から出たまこと、たとえ始まりが嘘だとしても、それを本物にすればいい、か。
「悪くないな。ちょうど、今週の土曜日、クラスの集まりに誘われてんだよ! 詩にゃんから、そこで実行してみるか?」
意表を突かれた様子で、椿は俺を見る。
合わせ鏡のように俺も眺める。
本当に整った顔立ちしてるな。世の中の汚いものを見たあと、彼女のご尊顔を見れば、すべてが浄化されるに違いない。
「一本取られたわ。流石ね、奏君。私の協力なしで青春の一ページを飾ろうとするなんて、成長したわね、私の知ってる奏君じゃないみたいで、悲しくなってくるかしら」
すげぇ分かりやすく芝居めいた言い方で、「シクシク」と呟きながら、その様を演じる美少女様。
下手くそな演技なのに見て、俺は自然と笑みを浮かべていた。




