椿真鈴は失恋がしたい1
本気で失恋したい。
本気の恋もしたい。
矛盾した二つの感情が、私を魅了した。
自分の美少女と言う鎧を、世界で一番価値のあるものだと知っている。
必要とされているのは、美少女と言う外面であり、その中身は関係ない。
豪華な宝箱があったとして、外箱の装飾ばかりに目がいって誰も中身を見ようともしない。もしかしら、爆弾が入っているかもしれないのに。
だから、私には外箱が見ない人が必要だった。興味があるのは中身だけ。
そんな達観した人が必要だ。
その中身を見て、それが宝石だとして、受け入れてくれる人がいたとしよう。
――私はそんな人を信じることができない。
箱が豪華だから中身も豪華だと思って開けたんだと、きっと思う。
誰にも私を見つけてもらえない孤独が、私を『ひとりぼっち』にするんだろう。
呪われた装備のような、それでいて、世界で一番愛している外箱のせいで、私は人を信用できない。
もし、中身を見て、箱ごと捨ててくれる人がいたら、それはちゃんと私を見てくれた人だ。
それだけが私の価値の証明だと信じている。
私にとって見つけてもらうことは、捨ててもらうことだ。
――だから、私は捨てられたい。




