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赤月詩子は友達が欲しい5


「私ね、ずっと、気になってたんだ。詩にゃんさんのこと。いつも独りの子を探しては、皆の輪に誘ってる、誰かの孤独を許さないその姿勢が気になった。

 最初はただのお人好しだと思った。特に深い入りするほどの興味もなかったから考えなかった。

 でも、飽きもせず、逃げていく奏君に声をかけ続けるのはなぜだろう。そう疑問に思ったの――」


 ――圧倒的カリスマ性を見せつけて、雄弁に語る。

 今、目の前にいる語り部の言葉を遮ることが、誰にもできなかった。

 

「ただのお節介にしては、熱量が違う。そこに生きる意味を見いだしてる。

 人が良くて、誰にもでも優しい聖人を演じてると思った。でも、挨拶をする程度までの関係で止めている。その程度のものに必死になる理由はなにか考えた。

 詩にゃんさんは自分が繋いだ手を信じていないって答えにたどり着いた――」


 ――詩にゃんは、逃げることもできず、声に耳を傾ける以外できなかった。否定することすら肯定につながると、分かっているのだろう。


「――人と縁を繋ぐことに必死な人が、自ら繋いだ手に深入れしない。まるで、それはいつでも捨てられる不確かな物みたいに。思い入れが強くなれば強くなるほど、捨てられるダメージが大きくなる。それが怖いんだって――」


「ちが――「だから、切り捨てられても、擦り傷だと妥協できる関係しか築けない」


 図星を疲れて、今にも泣き出しそうな感情は、逃げどころが分からずパンクしかけている。


「手元から離れることが前提だから、手広く代わり(スペア)を用意する必要がある。それが赤月詩子を聖女足らしめる理由ね」


 マリンの言葉は、宣告だった。

 放課後の静寂の中で、詩にゃんが鈴の音を鳴らす。


「そ、それの、何が悪いの?」


 泣くことを我慢しながら必死に音にした言葉に聞こえた。


「最高よ赤月詩子さん。いえ、詩にゃん。こんな逸材がいたなんて知らなかったもの」


 先ほどまで攻め立てるように言葉を並べてた奴の言葉とは思えない。運命の相手に出会えたようなそんな歓喜に満ちあふれている声だった。


「ふぇ……」


 詩にゃんの思考回路はこれで完全に壊れただろう。

 もう大好きと言わんばかりの抱擁をかますマリンに、借りてきた猫のように動かなくなってしまった。


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