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Basketball Synergy  作者: 双鶴


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3/11

3話

寺本瞬は、校内ではとにかく自由だ。

授業中に先生の雑談に乗っかって「それ、俺の親も言ってた!」と大声で笑い、

昼休みには男子たちとくだらない話で盛り上がる。

「女子ってさ、給食の牛乳飲むとき、なんか上品ぶるよな」と言っては、

「瞬くん、また変なこと言ってる」と女子に呆れられる。


「隠してカッコつけるよりいいだろ。俺は思春期という妄想を満喫したい」

そんな瞬の名言(迷言)に、男子たちは爆笑し、女子たちは「…バカじゃないの」と苦笑する。

でも、誰も本気で怒らない。瞬は、ふざけることに全力で、誰にでも分け隔てなく接する。

男子には気さくで、女子には遠慮がない。

それが“モテない理由”だと本人も理解しているが、気にしていない。


「俺は美幸に鍛えられてるから、女子の扱いには慣れてる」

「それ、逆効果だと思う」と周囲に笑われるのも、いつものこと。


瞬の周囲には、いつも笑いがある。

でも、その笑いの輪の外で、ひとりだけ違う視線を向けている女子がいた。

小谷圭子。女子バスケ部のマネージャー。

瞬の茶目っ気に笑いながらも、どこか引っかかるような気持ちを抱えていた。


放課後、境内の練習が終わったあと。

圭子は、美幸を呼び止めた。


「ねえ、美幸ちゃん。ちょっとだけ、いい?」


美幸はタオルで汗を拭きながら振り返る。

「ん?どうしたの、圭子」


2人は境内の隅、石段に腰を下ろす。

夕暮れの光が、寺の屋根を赤く染めていた。

風が少し冷たくなってきて、境内の木々がざわめく。


「瞬くんってさ…いつもあんな感じだけど、あれって…本気でふざけてるの?」

圭子の声は、少しだけ揺れていた。


美幸は笑った。

「うん、あれは本気のふざけ。瞬は、ふざけることに全力だから」


「でもさ…あの人、バスケのときは全然違うよね。すごく真面目で、丁寧で…」

「そうだね。瞬は、バスケだけは絶対に茶化さない。そこは、私も信頼してる」


圭子は、少し黙ってから言った。

「美幸ちゃんは、瞬くんのこと…どう思ってるの?」


美幸は、タオルを膝に置いて、空を見上げた。

「うーん…なんだろ。家族みたいな感じかな。隣にいるのが当たり前すぎて、考えたことなかった」


圭子は、うなずいたような、うなずけなかったような顔をした。

「そっか…そうだよね。幼馴染だもんね」


その言葉に、美幸はふと圭子の表情を見た。

夕焼けに照らされたその横顔は、少しだけ寂しそうだった。

でも、圭子はすぐに笑ってみせた。「変なこと聞いてごめんね」


「圭子は、瞬のこと好きなの?」

美幸の問いに、圭子はすぐには答えなかった。


「…ううん。まだ、わかんない。ただ、気になるだけ。なんか、気になるの」


その答えに、美幸は「そっか」とだけ言って、また空を見上げた。

鐘の音が、遠くで鳴った。

2人の間に、言葉にならない何かが流れていた。

それは、友情でも嫉妬でも、恋でもない。

でも、確かに“揺れ”だった。


その揺れは、まだ小さな波紋。

でも、誰かの心に触れた瞬間、きっと大きく広がっていく。


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