義娘を引っ叩こうと腕を上げた瞬間に前世の記憶を思い出した侯爵家の後妻
屋敷で義姉と娘の教育を見学しに教育を行なう学習室を覗きに行くと娘が義姉からイヤリングを奪おうとして居るので何をしているのか娘達に質問をします。
「お義姉様の宝石が素敵なので譲って欲しいと言っているだけです」
「この装飾品等母の形見なので許して下さい」
義娘に制裁を食らわせる為に右手を振り上げましたらダムから放流された水の様に前世の記憶が蘇り混乱しながら振り上げた腕で、娘を引っ叩きます。
「お義姉様の持っている母上の形見の宝石はビジョンブラッドのルビーだから貴女の赤の髪では目立たないでしょう。二度とこんな事をしない様にお尻を百叩きですからね」そう言うと娘を引きずって部屋を出ていきます。
そして娘が反省の言葉を述べる中で百叩きをすると自室に帰らせました。
そして思い出した前世の記憶を振り返ります。
私はウエルス侯爵家の主人であるエドワードの愛人でした。
エドワード様が恋愛結婚をしたミシェル様はアナスタシア嬢を生むと産後の肥立ちが悪くヘッドで寝込んでいる時間が長くなりました。
そこでエドワード様は性欲を発散する為にミシェル様と同じ色の蒼銀の髪の毛と金の瞳を持つ私を愛人にしました。
しかし治療の甲斐なく4年後に死去して1年の喪が開けると同時に私を妻に迎い入れセシリアを義妹として養子縁組みをしました。
妻になるまでセシリアには伯爵令嬢としての教育を施していました。
そして侯爵夫人になった私と義妹になったセシリアはアナスタシアを屋根裏部屋に押し込んでメイドの様な仕事をさせつつ母の形見も全て奪い取ると処分をしてアナスタシアをいじめ抜きます。
アナスタシアが15歳になると無理やり王命で王太子の第一王子の婚約者に指名されます。
第一王子はアナスタシアに優しい言葉も掛けずに王妃教育の合間に第一王子の仕事も押し付けセシリアを恋人として可愛がり、3年生になり卒業パーティーでアナスタシアに婚約破棄をしてセシリアを新しい婚約者に指名します。
アナスタシアは母の遺品のドレスをリメイクしてパーティーに参加して居ましたが歩いて館に戻りすがそこには公爵令息のアルベルト・ハワードが居てアナスタシアにプロポーズをして王太子妃と義妹と第一王子に罰を加えて行きます。
私は打首の上晒し首にされセシリアと第一王子は王太子と王太子妃と共に北の廢離宮で死なない程度にされた上で毒の入った食事と水をあたえられていきます。
そして第二王太子妃は元侯爵令嬢で能力が皆無の王太子と王太子妃の変わりに王太子妃の仕事と王太子の仕事をこなして国の崩壊を押さえながら第二王子を王太子として無事に国を安定させます。
前世の記憶を思い出し終わり、アナスタシアが6歳になると侯爵令嬢としての教育を始めますがセシリアも同時に教育を受けさせます。
アナスタシアは教えられた事を一度でマスターしますがセシリアは何度も繰り返して覚えて行きます。
その才能の差を三人でのお茶会でセシリアの頑張りを褒めてアナスタシア義姉様の才能に憧れる様に誘導して行きます。
そしてセシリアがアナスタシアの物に興味を持たない様に二人にお揃いのデザインで髪の色に合わせた宝飾品を定期的に作らせます。
二人の娘の評判が他家にも広がり始めたアナスタシア10歳の頃に旦那様にお話をします。
「貴方、アナスタシアをウエルス侯爵家の跡取りから外せないかしら」
「どう言う事だ」
「それがアナスタシアがアルベルト・ハワード公爵令息と相思相愛なのに二人共立場を考えて我慢しているようだから」
「それでセシリアを跡取りにするのか」
「セシリアも大好きな義姉のアナスタシアに憧れて勉強を頑張ったから優秀な婿を迎えれば侯爵夫人をこなせると思うわ」
「優秀な婿と言えばハトコのウエルス伯爵家の三男坊が学園に首席で入学して全科目で首席を守っているから上位官僚の道を確保して欲しいと言っていたからセシリアとは年の差は六歳だから二人を合わせて見るか」
アナスタシアが十五歳になると王家からアナスタシアと第一王子の婚約の話が来るので急いで旦那様を誘導します。
第一王子と言えば王太子が婚約者の侯爵令嬢との婚約を破棄して男爵令嬢と真実の愛などとほざいて結婚した生まれたものの王太子妃が甘やかし過ぎた為にろくに学習をしておらず王族だと言うのに前代未聞のEクラスと言うのに令嬢に粉をかけるのに必死だと貴族の間で噂されています。
王妃の命令で第二王太子妃となった侯爵令嬢との間に出来た第二王子は優秀なので貴族の半数は第二王子を支持して残り半数は明言していないだけです。
大体王太子と王太子妃の仕事を第二王太子妃がこなしていると言う現状が可笑しいと全ての貴族の総意です。
それに焦った王太子妃が第一王子の後ろ盾として何とか婚約できる娘の居る筆頭侯爵家のアナスタシアに王命での婚約を持ち込みながら第一王子はアナスタシアを蔑ろにするのですから邪魔をしなければなりません。
何とか旦那様を説得するとアナスタシアを呼び出して質問をします。
「このままウエルス侯爵家の跡取りとして婿を取るのとアルベルト君と結婚するのとどちらか良いかしら」
アナスタシアは顔を赤らめながら返事をします。
「跡取りを放棄して良いのですか」
「旦那様の許可は取りましたから貴女の好きにして良いわよ」
「それならアルベルト様と結婚したいです」
「そう、それなら申し込んでみるわ」
そう言うとハワード公爵家へアナスタシアとアルベルト様の婚約の話とセシリアを跡取りに変更して旦那様のハトコであるケントとの婚約の話を進めました。
話が纏まって手続きが済んだ頃に王家から王命でのアナスタシアとユリウス第一王子の婚約の話が来ました。
第一王子の学園での成績の悪さに中立派が次々と第二王子派になっていくので王太子妃が焦って何とか婚約できる令嬢の中で一番高位の貴族の娘であるアナスタシアを婚約者にしようと考えたのでしょう。
そんな出来の悪いユリウス第一王子との婚約など許せないのでハワード公爵家と共に既に婚約しているからと婚約の話を拒否して両家は一族揃って中立派から第二王子派へ移行しました。
それを見た残りの中立派も急いで第二王子派へ移行して全ての貴族が第二王子派となりました。
それを聞いた王は王太子である第一王子を後継者にするのを諦めて王太子を廃嫡して元王太子一家を北の廃宮へ閉じ込めると第二王子を王太子とした上で王弟を後見人としました。
私はドアマットヒロインを生み出す前に前世の記憶を取り戻したお陰で無事に私と娘に降りかかるヘイトを王太子一家に押し付けたために無事に侯爵夫人として暮らせる事になった事に喜びながら娘の教育とアナスタシアの婚約の準備を進めます。