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研究者はロボットがお好き

「また新しい怪人?よくもまぁ役立たずを量産できたものね。」



科学者に向けて嫌味ったらしくそう告げたのは、同じ組織でロボット開発をしている研究仲間だった。

彼女によれば「あなたが先に所属していなければ、自分が博士と呼ばれるはずだったのに」とのことで、出会った当初から思いっきり逆恨みをされている仲だ。


二人とも博士と呼んでいたらややこしいので、機械専門の彼女のことは組織で「第二の博士」もしくは「ドクター」と呼んでいたりする。



「ちょうどいいわね。あなたとは違って有能な部下がやっと完成したところよ。そっちの怪人さんとはすぐにサヨナラすることになるでしょうけど、紹介するわ。」



言い方がひっかかるが、それは仕方のないことだった。

科学者の怪人は毎回倒されたことにしてあるし、生還させているのは誰にも言ったことがないのである。

敵を欺くにはまず味方から、という考えなんだとかで。



「それで、有能な部下っていうのは?」


「この子よ!」



ドヤ顔で自慢してみせたのは、完全なる人工知能を搭載させた戦闘用アンドロイドとのことだった。

自然の生命体と違わぬ受け答えと考え方に、科学者は感嘆の声をあげる。



「素晴らしいなっ。君の自信作というのも頷ける。」


「そうでしょ?この調子なら、いずれ地上の生物全てが機械にとって変わる日が来るのも時間の問題ってやつよ。」



相変わらずのことながら。悪の組織に入っただけあって、この科学者と同じぐらい危険な人物であることは明白だった。



「主人のために、全力を尽くす所存です。」


「へぇ、主人のこと好きなんだね。」


「はい!敬愛しております。」



うちの怪人もこれだけ素直な良い子だったらなぁという目線を向ける。

そんな科学者に対して怪人は不満そうな顔をする。悪の組織に良い子もなにもあったもんではない。

だが誰より気にくわない顔をしていたのは、部下ロボットを作った研究者だった。



「ちょっと、やめてよ。私のことなんか敬愛しないでくれる!?」


「何言ってるんだ?敬愛されるのは良いことじゃないか。」


「冗談じゃない!私のことを愛するように作ったんじゃないんだから、勘違いされたら困るのよ。」


「あぁ、なるほど。」



自分に好意をよせるロボットを自作したとなれば、たしかに恥ずかしいというかなんというか。

わざとではないらしいが、そう思われるのを嫌がるのは納得できた。



「あなたが毎回作ってる怪人とは違うんだから!!」


「え?」


「は、はぁ!?この人に好意なんて抱いてませんけどぉー!!?」


「なんであんたが焦ってるのよ。」






と、そんな会話を交わしてから数日後のこと。

ボロボロになって帰ってきたロボットと、それを抱える怪人を見つめて、マスターである研究者は唖然としていた。

ヒーローに倒されたと思っていた存在が、目の前にいたからである。



「…どおりで、どの怪人も似たような思考を持ってた訳だ。」


「別に、博士のことは何とも思ってないですからね。」


「そこ強調しなくて良くない?」



本当であればヒーローに倒されていたはずだったロボットだったが、科学者の怪人によって助け出される。

生還していた秘密を明かすことになるのはわかっていた。

それでも、見過ごすわけにはいかなかったのだ。



「余計なことを。別に持ち帰らなくたって、自壊機能があったから技術が盗まれる心配もなかったのに。」


「だからこそ、救うしかなかったんだよ。」



ヒーローたちに倒されなかったとしても、敵の手に落ちると見なされれば壊されてしまうのだから。

そんな話を聞いて、ロボットは感動する。



「どうしましょう。主人よりも好きな人ができてしまいました。」


「「「え?」」」



予想していなかった言葉に、全員が面を食らった。

少しの間を置いて、惚れたと言われた科学者が言葉を発する。



「えっと…よかったね?」


「は!?何が!!」


「だって、主人が好きだと困るって言ってたし。」


「あんたに惚れるよりは百倍マシだってのっ!!」


「っていうかロボットさん、馴れ馴れしく博士にくっつかないでくださいませんかね!?」



研究者がロボットを、怪人が博士を引っ張り剥がす。



「目を覚ましなさい。あんな変人より私の方が素晴らしいってこと教えてあげるわ。」


「博士、ロボットは無事に回収できたんです。奴の修理はドクターに任せて僕の処置をしてください。」


「なんか君たち、どこか似てない?」


「「似てません!!!」」


「そうかなぁ…。」

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