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割れたコップ

作者: 流星仔猫

この物語は鬼影スパナ様(ID: 472968)の「美人すぎる幽霊に告って玉砕したらラブコメが始まった件 ~0から始める小説書き講座付き~(仮)」(Nコード: n5787fw)に書かれている「ガラスのコップを落とした。コップは割れた。君はそれを片付けた」を練習として書かせて頂いたものです。


ただの練習です。期待しないで下さい。


「それにしても久々ね、こんな風に話をするのも」


彼女は高校時代の親友だ。あの頃は私よりも小さくオドオドした印象だったのに、今では私よりも大きくなっている。

身長も、けしからん事に胸も。肩まである枝毛を知らなそうな黒髪。不健康に見えない程度に痩せたお腹にスラリとした足。どう見ても2児の母には見えない。


「ほんとにね。霧子の子供が生まれる前だから......もう5年前?高校の頃にはきりちゃんが先に結婚して子供を産むなんて夢にも思わなかったよ」


汗をかいたロックのウヰスキーを片手に暑さなんて感じないように走り回る子供を横目で見る。


「本当にね......人生って何が起こるか分からないのね」


その時、私の手に衝撃が加わり汗をかいたウヰスキーは私から手を離して床へと近づいていく。


「あっ」


時は既に遅し、床へぶつかったウヰスキーは自身を撒き散らしながらその入れ物たるグラスにヒビを入れていく。


パァン!


ウヰスキーを入れていたグラスはウヰスキーと破片、ついでに氷を撒き散らしながら割れてしまった。

それでも子供はお構いなしに走り続けようとする。



動くな(・・・)!」



時が止まった。誰もが微動だにしない。子供達の顔を見ると目を見開き私を見ている。

そして崩れていく子供達の顔。


(あ、やばい泣かせた)


「「うえぇーん」」


子供の泣き声の大合唱だ。


「あぁ、よしよし。お姉さんは怪我をしないように言ってくれたんだよ、こっちおいで」


申し訳ない気持ちになりながらも霧子が子供を安全な場所に誘導して泣き止ませてる間にコップの破片を集めていく。

大学の時からの付き合いだったこのコップともお別れか。霧子が誕生日に買ってくれたコップ。

別に特段高いものではないそうだが紙コップでウヰスキーを飲むのはウヰスキーに失礼だそうだ。

それからウヰスキーを飲む時はずっとこのグラスを使ってきた。

まぁ、霧子から貰ったグラスで霧子の子供が怪我をしないでよかった。


あらかたの破片をかき集め、雑巾で水気を取ったあたりでようやく子供たちは泣き止んだようだ。


「あの、ごめんなさい」

「ごめんなさい」


霧子の子供達は霧子のそばを離れずに謝ってくる。

まだ片付けが終わってないから動くとまた怒鳴られると思っているのだろうか?

霧子が謝らせているようで視線を送るが助けてくれそうも無い。

私みたいな彼氏いない歴=年齢に子供の相手は荷が重いと思うのだが。


「いきなり大きな声出してごめんね、でもいたいいたい(・・・・・・)したく無いでしょ?」


わたしはなるべく優しい声を心がけて子供たちに話しかけた。

私に怖いイメージが付いてしまったようだ。コレから彼女達が帰るまでに巻き返せるだろうか?


それから霧子に子供を見てて貰って床を丁寧に水拭きをして掃除機を念入りにかけ万が一にもガラスの破片で子供たちが怪我をしないように片付けていく。

子供が怪我をすることなんてどんな悪人でも望まないだろう。


片付けが終わりしばらくすると子供達はまた2人で騒ぎ出した。

はぁ、今度新しいグラスでも買いに行くか。

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