第八話 「烙印」
ビルの上で守護霊たちが戦闘しているころ・・・
地上。
「さてさて・・・守護霊の戦闘中は、人間は暇ですなぁ」
榎本が含み笑いをしながらそういった。
「だいたいなんだよ!いきなり戦闘を始めて!守護霊同士だろ?意味ないだろ。」
いきなり現れ、守護霊をけしかけ、戦闘に持ち込む。
榎本の行動の意味がわからなかった。
「まぁ、落ち着け。守護霊でも人間のように喧嘩はする。」
「答えになってねぇよ。」
「そうだな・・・強いて言うのであれば制裁だな。守護霊の力を知り調子に乗っている小僧へのな。」
いちいちイラつく野郎だ。
「暇だな・・・ここで特別授業と行くか。お前には知らないことが多すぎるからな。」
いったいどうしたいんだこの人は・・・
「まず、守護霊がしてはいけないことが二つある。
1つ目は人間を殺すこと。
人を守るための存在なのに殺しては意味がないからな。」
「殺したら・・何かあるのか?」
守護霊は目には見えなくとも、影響を及ぼすことがある。
そのため、今も戦闘はビルの上で行われていた。
「守護霊ではなくなる。
そして二つ目だが、死神に魂を売ることだ。」
守護霊ではなくなるとどうなるのか。それは教えてもらえなかった。
「死神?魂を売るって?」
知らない単語。いや、死神は漫画とかでも良く出てくるが、実際に存在しているとなると、話は別だ。
「ああ、まぁ実在するかどうかは知らんが、死神に魂を売ると、守護霊は人間になれるらしい。」
「えっ・・・」
「人間とは、生まれた瞬間から、死を持っている。いつくるかもしれない死を。だが守護霊は持っていない。時間がたっても、寿命で死は訪れない。他人から殺されることはあるが・・・それが守護霊と人間の大きな差だ。そこに死をつかさどる神、死神が守護霊に死を与える。
そうすれば、人と霊の差はなくなり、人間になれる。という逸話がある。」
「・・・・。」
「まぁ、関係ないがな。」
そして榎本の話は終わった。
真はどうしているだろうか。
あの國酔とかいうやつに負けてはいないか。
見上げると、國酔の一撃が真の腹部を貫いていた。
「真!」
守護霊の戦闘に人間は参加するすべはない。
そう思い知らされていた。
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真は不覚だった。
大切なことを忘れていた。
というのも彼女自身、守護霊との戦闘ははじめてだったからである。
守護霊はそれぞれ独自の個性を持っている。
性別や技、容姿などもそうだが、戦闘に大きく影響があること。
烙印。
「ふん。その程度か」
國酔が空で素早く方向転換する。
空中では足場はないため、普通ならそんなことできない、しかし國酔ならできた。
烙印。方向転換の際に彼の足元に空中で烙印が押される。
それは空に直径二メートルぐらいの円形で、それを足場にして、空中での方向転換、などを行っていた。
そして彼はまた突進に突きを加えて真を狙う。
「同じ手が・・・」
國酔を真はひらりとかわす。
「二度も通用しない!」
方向転換してきた國酔をめがけて、手にと持った炎から包丁のなだれのように放つ。
が、包丁の雨が来る前に、また足元に烙印を押し、上に逃げる。
また上に烙印を押し、今度は上から切り下ろしてくる。
(くそっ・・これじゃあ意味がない・・)
攻撃をかわすにも、威力を増すにも使える國酔の烙印は厄介だった。
(それなら・・・)
真はビルを飛び移り、コンクリートがあちこちひび割れている廃ビルに飛び移る。
「逃げるのか いや もう終わりにしようか」
真は腹部の傷を引きずっている。
守護霊は流血こそしないが、怪我は戦闘力や体力を大きく消耗する。
明らかに不利だった。
そして國酔には、烙印によって、突きの速度を異常に上げ、一撃必殺にすることもできる。
「いくぞ」
國酔が、烙印を踏み台にして、空を翔ける。
真っ黒な体が速度を上げて廃ビルの真を目指す。
國酔の体が、廃ビルの上に来た刹那―――――。
「展開!捕捉。」
真の短い二言で、廃ビルが変形する。
ビルの上二階ほどが砕け散り、原型をなくす、がしかしすぐにまた新しい形を形成する。
ビデオの巻き戻しのようにコンクリートの巨大な腕が完成しその腕が國酔をつかむ。
「むっ これは」
「そうだ。」
巨大な腕にはびっしりと烙印が施されていた。
「私の烙印は、絶対服従。生物でも物体でも烙印を押せば私の思うがままにできる。」
不意に真が笑う。
「この腕でどうするつもりだ」
巨大な腕に握られる形の國酔は身動きが取れない。
「暴発」
國酔をつかむ腕が音と立てて爆発した。
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その様子を地上で見ていた二人。
「むう・・・」
榎本が苦しそうにうなった。
「どうした!お前の守護霊。」
今の状況、確実に真が勝っていた。
だからかもしれない。
油断していた。
ガラッ。
後ろで白のワゴン車が扉を開けていた。
「え?」
呆然とした俺を・・・
「ふん!」
榎本が押し込める。
ワゴン車に・・・
「なっ何しやがる・・くっ、」
睡眠薬をしみこませたハンカチだろう、を押し付けられ、意識が朦朧とする。
つまり俺は榎本に誘拐されたのか!?




