第六話 「職員室にて。」
職員室。暖房とコーヒーのにおいでムンムンしているこの部屋には今、榎本を入れて2人しか教師はいなかった。
もう一人は、若女教頭で、年齢もまだ20代後半から30代前半に見える。
(一部の生徒からは、コネで入ったのではないかと評判が悪いんだよなぁ……)
「まぁこっちに着たまえ」
教頭がいる前でさすがに守護霊の話はないだろう、いや、もしくは教頭も霊関係なのだろうか?
ちなみに教頭は「藤崎 恭子」と言う名前だ。
「カンニングの件だが……単刀直入に言おう。守護霊をつかうな」
ズバッ。っときた。当然ここで認めるわけにはいかない。
「何のことっすか?」
いかにも、頭が逝ってるんすか?と言いたげな顔で言った。
ここで認めれば俺は何かされるだろう。
「隠さなくてもいい。そのオチビさんを使っただろうが」
「なんのことやら……」
「ロリコンか?」
「違います」
「そうか」
「変態ですか」
「馬鹿にするな」
「すいません」
意味不明だ。やはり真に関係あるのだろうか。
「いや、とすると守護霊が変わったのか」
榎本は、自分の考えを堪能するかのように呟いた。
「えっ?」
初耳だ。守護霊が変わる?
もしや……榎本は知ってるのか?
「教えてくれ」
これは守護霊を認めると言うこと。つまりカンニングを認めた。ということ。
でも俺にはそんなことどうでも良かった、つまり守護霊についてもっと知りたかった。
真は教えてくれないし……
「ほう……まあいいだろう教えてやる。
守護霊はな、人間のように成長する、つまり生まれた時は赤ん坊。幼年期、少年、青年、大人と言うように成長していく。成長スピードは人間より速いが……その中で途中なんらかの影響で守護霊が死んでしまうことがある。当然人間は取り残される。
そこに悪夢などが漬け込むと危ないため、新しい守護霊を宿すわけだ、その新しい守護霊は、主を変えたことにより、本来の力が使えなくなり、子供の姿になる。それがお前の今の状響だ」
一気にいいきった。えーっと
「そう。そのとうりよ」
真がやっとしゃべった。
「私は今から二年前くらいにあなたの守護霊となった。つまり前の守護霊は死んでしまったのよ」
「そう……か」
実際前のやつなんか知らなかった。だからどうでも良かった。
そんなことより
「何で先生は僕の守護霊が見えるんですか?」
榎本の守護霊は俺には見えない。なのにやつは俺のが見えている。
劣等感と言うやつだ。
「ははっ、私ぐらいになれば『つながり』がなくても見えるようになる」
乾いた笑をしながらそういった。
「『つながり』ってなんだよ」
自分にわからないことがありすぎる。
それでも必死に榎本との差を埋めようとする。
「そんなにいうのなら、その守護霊に聞けばいいんじゃないか?」
真を指差す。
「なっ、!」
指された真は、怒り、いや驚きで固まっている。
そうか。
「じゃ、詳しい話は、こいつから聞きますので、それでは」
と言って俺は職員室の出口を目指す、あと十歩!
だが……
「まて、本題はこれからだ。カンニング、したんだろう?」
ゲームオーバー。バッドエンドだ……。
それから予鈴がなるまでみっちり絞られた。教室に戻ろうとして、足を止める。
教室も前にショートヘアが揺れている。
桜井だ。
俺を見つけて、小走りでやってきた。
「あ、金城君、これ」
数学のワーク、貸してたやつだ。特に問題を解いた様子は見られない。
「もう予鈴なったぞ、昼休み、終わるだろ。」
つまりおれは昼メシを食い損ねたというわけだ。
いつ食おうか……。
「ああ、うん。そうなんだけど……ちょうっと、えと……」
桜井はうまく口が回らないようだった。
いつもは俺と話すことがないからかな?
自然と俺は真を見る。真は俺に守護霊について詳しく教えてくれるはずだ。
今は桜井を観察しているが。
「なんだ? いいたいことでもあるのか?」
俺はそう直球でいく。うまいこと言えるようなやつでは俺はない。
「あ〜っ、あのね。明日、暇?」
「ええ、ああ、暇だけど……」
「遊びに行かない?」
思わず真を見た。自分でも不思議だったが、女の子に囲まれて(桜井は二人っきりだと思っているようだが)言われるのは少しばかり恥ずかしいというやつだ。
それに桜井の守護霊だっているだろうし、
「もちろん、友達も一緒に」
桜井が思わず妥協した。




