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第十七話 「不覚。」

「ねぇ・・・いったい何が起きているの?何であの人は血が出てたの・・?」

桜井が混乱したように言う。


ここは三階のフロアにある服屋。

このショッピングモールは、直方体で、細長い。つまり三階に来たからといっても、すぐに機械調整室にいけるわけでもなく、このバカみたいに長い建物から探し出さなければならない。


(まてよ・・・?)

仮に、犯人が頭脳を持った悪夢だとしよう。

もし、さっきの悪夢がその犯人の手下であれば、マズイ状況じゃないか?

先ほどのアナウンスで、次は被害者が出る(現に若者が一人切られている)と宣告していた。

しかしそんなこと解るのだろうか。この馬鹿でかい建物のすべてを把握するって言うのは困難・・そのために悪夢が(さっきの骸骨とか)いるにしても、それを犯人が知るためには・・

偵察が一定間隔で機械調整室に戻っているのか?

そうすれば、異常を見かけた偵察が報告できるし、時間がかかり過ぎて帰ってこなかったら、異常があると判断できる・・・

それならば。まだどこかに偵察の悪夢がいるはず。そしてそいつのあとを付けていけば、犯人のところへ・・・

よし!


「桜井、やっぱりお前はここにいたほうがいい。犯人は何をしてくるかもわからないし。」

そう告げると、桜井は不服そうに顔をしかめた。

ヴァリエも確かに戦力になる。しかし、悪夢が飛び回り、犯人がまだなにものともいえない。

それにまだ犯人の要求。目的は何なのか。

まだじっとしていろ、の指示しかないのでは、下手に刺激すれば危険。

一人のほうが身軽という意味もある。

ともかくこれ以上桜井に関わって欲しくなかった。


「でも、私が・・もしも。」

さっき男が血まみれになって倒れたのを目撃しているからかもしれない

桜井は急に不安になってきていた。

大丈夫、ヴァリエが付いてるし。


「安心しろよ。すぐ帰ってくるから、とにかくうかつに動くなよ?」

そう告げた俺は、反論されないようにさっさと背を向けて服屋を後にする。

そのままショッピングモールを駆け抜ける。

このショッピングモールは、五階建てで、四階以降が駐車場、南北に伸びる直方体だ。

俺は今、南の端にいるため、必然的に北にいくことになる。

斬られた男の周りで混乱している集団を尻目に俺は先を急いだ。


「なぁ真。悪夢の気配とかないのか?」

桜井がいないので、普通に会話できる。

今は子供の姿で俺の肩に乗っている。


「ない・・けどまぁ近くに来ればわからないこともないかも。」

なんとまああいまいな答えである。

それはいいとして、あれから犯人が音沙汰なしなのはやはり気になる。


「どう思う?犯人はやっぱり頭脳を持った悪夢なのか?」

真は、あまり考えてるようには見えなかったが、今回は一回も戦闘してないので、考える余裕はあったはずだが・・・


「う〜ん。私、その手の悪夢は初めてだから・・・」

なんかといか

やっぱりといか子供だと頼りない。


「あっ、何その顔!絶対頼りないとか思ったでしょ。もう・・」

なんというか・・

と和んでいる場合ではない。

悪夢を探さなければ。


「あれ!京平、あの悪夢。ほら全身タイツみたいなやつ。」

男性トイレから出てきたイイ体に真っ黒の全身タイツを見にまとった奇妙な男。

うほっ、いいおt「そんなこと言ってないで!ほら。」


「・・そうだった。いかんいかん。で、あいつに気づかれないように尾行する」

尾行は普通気づかれないようにするもんだ。とかいうんじゃないぞ。

イイ男悪夢は、堂々と歩き、こっちには気づかず、北に向かって歩き出す。


「(よし。そのまま機械調整室に帰るまでつけるぞ)」

そろそろ、こそこそ、ささっと

物陰に隠れたりなんだりしながら、尾行を続ける。

・・結構歩いた。一向に機械調整室が見当たらないような・・・


ピンポンパンポーン

「・・愚かな人間生物共よ。聞け。私の言うことを聞かぬものが現れた。約束どうり、犠牲者を出そう。・・・言っておく。私は生命なんぞ興味はない。」


・・・ヤベー。

言うことを聞かぬものって・・・俺?

でも、いい男悪夢は俺に気づいていないし、他の悪夢にも見られていない。

でも他にうろちょろしてるやつもいないし。

約束どうり・・って爆発か?

くそっ、・・

あれ?


「何も起きないな・・」

建物内はざわめきが起こっているが、特に異常はなく、犯人が何をしたかったのかも解らなかった。




「いったい何なの・・?金城君は・?」

桜井は混乱していた。

すぐ戻るといっても、10分やそこらで帰ってくるはずもない。

こうやって取り残されるのが・・・一人でいるのが嫌だから付いてきたのに。

そんな桜井はさきほどのアナウンスで、犯人が、うろうろしているものがいるといったとき、気が気じゃなくなってきた。

そして先ほどからずっと寒気を感じている。


「・・・・。」

ヴァリエはその寒気の正体も知っている。


「これはこれは・・・まさか旧友、同志『ミラージュナイト』だったとはね。」

ヴァリエに対峙して立つ男。

人とは見えない容姿。

髪は長く、漆黒の雨が滴り落ちる。というかのような黒髪。

マントともコートともいえぬ上着には、鎖のようなアクセサリーがされ、右肩の部分だけ布地がない。顔は中性的だが、大人っぽく、恐ろしく目がギラギラしている。

そして人ともいえないのは、その露出した肩。

肩に大剣が刺さっている。


「・・・あんただったとはね。驚きです。まさか破壊者アレスでしたとは。」

ヴァリエは丁寧な口調で、でも驚きを含み、襲撃者。おそらくこの件の主犯者に遭遇した。


「あなたは何年も前に、敗北し、姿を消したと聞いていますが。」

・・・すっかり桜井は蚊帳の外。


「そう、私は本来負けるはずのない相手に敗北を喫した。その後、青銅の壺に封印され、私は守護霊ではなくなった。」

古い、昔話をするようにいった。


「では、あなたはもうただの悪夢ですね、どうしてこんなことを?」

ヴァリエは冷静に、できるだけ情報を引き出そうとする。


「・・・私は、人間の憎しみが見てみたい。」

アレスは落ち着いた声で、

そのくせ顔はにやけて、

そう答えた。

次回は戦闘が始まります。

さーて、ぶっ壊そうかな〜

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